なぜ?自公の議席はあまり変わらない予測
あれだけ大騒ぎしておきながら、結局は自公の議席はあんまり変わらないというマスコミ予測である。
世論の潮目はかなり変わった。今回の解散は自分への疑惑に答えられず、問題を先送りすればウヤムヤにできるかもと、淡い期待を持った安倍首相が、自分と自分の家族やお友達をかばうために、800億円もの税金を使って、衆議院議員全員の首を切ったのが今回の解散劇だ。そのことはもちろんみんな知っている。
じゃあなんで結果が今までとあんまり変わらないという予測なのか?
つまりこういうことだろ?↓
上の図は反戦な家づくりの明月さんが貼っておられた日経からの引用(画像クリックで記事全文)だ。自民・立民・希望・共産の4候補が争う東京4区の情勢だが、だいたい全国的にもこういう結果になるだろうという象徴的な選挙区だ。
安倍首相へは不支持のほうが上回っている。これは全国的にもそうだ。そして自民党に投票する人は全体の3割もいればいいほう。それでも小選挙区なので当選者は自民党だけということになる。実際の投票率が50%程度なら、2割程度の支持でも議席を独占できる。
「棄権した人なんて知らないよ」と言ったとしても、得票率でも野党のほうが上回ることは確実だろう。それでも与党だけが当選する。だって小選挙区なんだから。もし全選挙区で東京4区と同じようにまんべんなく4人が立ったとすれば、理論上は2割台の支持で議席の100%を独占することも可能な制度。それは最初からわかってたこと。
よって出来上がる議会は世論や実際の社会構成とはかけ離れたものとなる。小選挙区制の国がみんなそうなるわけではないが、日本では今まで例外なくそうだった。
なので与党側にはその自覚が求められ、自制的に思慮深くふるまって、できるだけ幅広い合意形成の努力をする現実主義が求められるわけだが、安倍首相のような子供じみたイデオロギー先行の人は「勝った勝った!」としか思わない過激派なので、そのあたりは期待できないだろう。安倍首相が「独裁的」と評されるのはそういう勘違いした発想と、現実よりもイデオロギー先行な政権運営だからだ。そうでなければ、少なくとも国会で答弁もできずに立ち往生するような「共謀罪」は歴代政権にならって撤回しただろう。さらにこのフィクションとしての多数派を、現実にも多数派にするための手を次々と打ってくるだろうが、それは日本の民主制にとって非常に危険な状況である。
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例として、選挙直前に感情的に非国民狩りを扇動するサンケイの記事をみて震えた。こういう意見や反論ではなく、いきなり日本を貶める者(非国民とか反日だの言い方はいろいろだが)などのレッテル貼って、そのレッテルを貼られた人は問答無用で「あぶりだせ」「やっつけろ」「殺せ」という流れになるのが、まさにネトウヨクオリティそのものの論法だ。責任あるマスコミや公職の人間、まして政治家がこういう言動をすることは許されないが、今後はこういう非国民狩りや反日狩りが大手を振って横行する、報道の自由もへったくれもない国になっていきかねない。この記者は「日本の新聞記者でよかった」ではなく、「サンケイの記者でよかった」と書くべきであった。自分自身が日本の報道の自由が狭められている実例として記録されていくであろうことに、全く気がついていないピエロである。
日本の風土にあった選挙制度とは
さて、ピエロはこのくらいにして、今は言っても詮無いことだが、やはりどうしても日本の風土に英米の小選挙区制度や、二者択一の二大政党制はあわない。常に「一大政党制」になってしまう。以前は中選挙区制度で多様な世論を集約し、自民党が3割程度の支持で過半数の議席を取る構造だったが、そろそろ日本も比例代表を主にして、欧州のように5つか6つくらいの選択肢があり、それらが時々の情勢や利害で合意形成しながら政権をつくる程度には民主制に習熟するべきだと思う。その程度のことは日本人にもできると信じたい。その交渉を「野合」だなんだと言うほうが民主主義をわかっていないのだ。
だいたい日本のような白か黒かではなく、ある程度の多様性を好む風土のところに小選挙区を無理に導入するから、常に時の第一党だけが実際の社会的な支持の何倍もの議席をとってしまうという、歪な構成の議会ができあがるのだと思う。こういうことが続けば政治というか、議会制度そのものへの不信感が徐々に醸成されかねない(たとえば投票率や遵法精神の低下など)。以前は自民党が極右からリベラルまでの多様性を飲み込み、派閥間で擬似政権交代をおこなっていたのだが、一人しか当選しない小選挙区のもとでは、そんな牧歌的な風景も失われた。あなたが投票してきた「自民党」は、もはや名前だけが同じ別のイデオロギー政党になってしまったのだ。
小選挙区制度の枠内での妥協的な提案
もし小選挙区制度の範囲内で提言するとすれば、その欠点を是正するための方策として、多くの国でとられている決選投票制度をあげたい。これは第一回の投票で過半数を得票する候補がいなかった場合、上位2候補で第二回投票となる。二人しかいないので、必ず勝った方が過半数となる。上の東京4区なら、自民と立民(あるいは希望)との決選投票となる。少数政党が切り捨てられるという欠点は変わらない「強制的二大政党制」だが、「世論の集約」という小選挙区論者の主張する利点は活かせ、少なくとも今のように世論と大幅に食い違う議会構成になることも少しはさけられる。ほかにも知事選や市長選など「当選者が一人しかいない」場合は必須の制度である。
これに少数政党が代表する国民の声も反映させるための比例代表をミックスするのだ。この場合、比例代表と小選挙区のどちらを主にして議会構成するのかで、制度設計は大幅に変わってくる。たとえば基本は比例代表で議会を構成しつつ、地域の声(そういうのも必要だろう)として小選挙区を加味するとかだ。いずれにせよ、少数政党に投票した人も含めて有権者全体が、ある程度は世論の反映(集約)として納得できる議会構成になるように知恵をしぼらねばならない。そして常に為政者や当選議員は、自身の公約を守りつつも、対立候補に投票した人の声にも耳を傾けて合意形成をはかるような謙虚さが必要だろう。日本を本当に二大政党制にしたいと主張するなら、実はここまで言わなくてはならないはずだ。
野党内での争いは白熱?
まあ、そういうわけで、シラけた気持ちになるのをギリギリでこらえつつ、気持ちはすでに選挙後の闘いへと向いている。私たちは過半数ではないがそれは安倍政権もおなじことで、私たちは決して少数派ではない。それぞれの運動課題では拮抗しており、むしろわれわれのほうが日本の世論の多数派でさえあり、そして世界の99%に属しているのだ。そういった中でさてどうするかということだ。潜在的多数派に依拠しつつ、それをどうやって掘り起こそうかということである。国際連帯やその経験の交流も重要になる。
立憲民主党の一人勝ちか
唯一おもしろい結果になるかもしれないのが、野党の中での争いだろう。どこが野党第一党になるかという「二位争い」が白熱する可能性がある。当初は「政権交代」の声さえあった希望の党(現有57議席)が失速して現有議席の維持程度という予測が多い。そしてダークホースの立憲民主党(同15議席)が倍増どころではない勢いで、今のところ40議席台との予測が多いが、このまま勢いを増せば希望と並ぶかもしれない。共産(同21)と社民(同2)はその影にうもれて現有議席が維持できるかどうか苦しいところだそうだ。それでも立民との大幅な選挙強力に踏み切ったのは尊敬に値する。共産党に対する見方を少し変えて、みんなで気を使ってあげなくてはならんな。でないと、また気が変わって「オール与党VS共産」とか言い出されても困るし。
あと、公明党(同35)と維新(同14)も現有議席の維持が微妙だとか。え?じゃあ、伸びるのが確実なのは立憲民主党だけってこと?一人勝ちじゃん(笑)。「自公希維」はいずれも9条壊憲派だから、与野党の区別はあまり意味がない。当面の壊憲を阻止するためには、護憲3党で3分の1を確保する必要があるが、かなり難しいかもしれない。来年は壊憲阻止闘争が激しくなる心づもりはしておいたほうがいいだろうな。
いずれにせよ、日本会議などは「希望の党によって国会から社共以外の改憲反対勢力をほぼ駆逐する算段がついた」と思っていただろうが、駆逐どころか民進党から護憲リベラルを絞り出して濃縮したような立憲民主党ができて、これが民進党をも上回る支持率(民進党はだいたい8%で、立憲民主党は最後の世論調査ではついに希望を抜いて13%に達した)を獲得しているのだから、ちょっと溜飲が下がる理由にはなるな。だが、だいたい「リベラル」っていうのは保守なのであって、私は立民が護憲だなんてことは思ってもいないわけだが、それでもいつの時代にも国民の3割くらいはいる、護憲・リベラル・平和などのキーワードを支持する部分の受け皿を、国会からなくしてしまうほうが不自然で無理があるのだ。民進党がふらふらするから、共産党にとられたり、支持なし層で眠っていただけだ。もともと民進が毅然としていればよかっただけなのだ。
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やはり投票率がカギ
実は立憲民主は最終盤戦で、東京などの大都市で自民と競り合いにまで持ち込めているところが意外に多いとのこと。だが最後の地力では自民に一日の長があるだろう。これが最終的にどうなるかは投票率にかかっている。上の東京4区の図は序盤戦での支持先だが、この「その他」の部分よりも多い層が棄権にまわる公算が強いと思う。この図だけでもわかるように、ふだんは棄権するような層が、たった数%くらい投票に行くだけで、結果はがらりと変わってしまう。自民と立民が競り合っている選挙区で、軒並みに立民が当選して自民が落ちたとしたら……。これはかなり面白いことになる。今まで「山が動いた」選挙では、だいたいいつもより投票率が少し高いのはそのせいだ。これが投票率が低くて自民が少しの得票で軒並みに当選してしまうと、かなり悲惨なことになる。投票率が一つのカギになる。国民の投票率が下がるほど伸びるような党に勝ってほしくないが。
沖縄選挙区にも注目を
社民党は応援してあげたいけどな。辺野古基地問題を抱える沖縄の小選挙区では勝てそうで、比例であと1議席ということだろうが、かなりの比例票が今回は立民に流れてしまうだろうから、苦しいだろう。その沖縄では鳩山内閣で最後まで辺野古基地建設に反対して政権を追い出された社民党の人気は全国平均よりかなり高い。その一方で維新の人気も比較的高いそうで、これは全国の首長が沖縄の負担軽減というのは口先だけで「基地は沖縄で持っとけ」という冷たい態度の中、橋下大阪府知事(当時)だけが「大阪で引き受けてもいい」と言った唯一の首長だったためだ。まあ言っただけで何もしてないんだけどね。それでも基地も安保も必要とかいう右翼の人々は「沖縄の皆さんありがとう。今度はうちで引き受けます」くらいは言うべきだよね。人間として血が通ってるならね。まあ、そういう人とは趣旨が違うので一緒にやる気はないけどね。
沖縄は前回小選挙区すべてをオール沖縄がとったが、激しい選挙戦を反映して、落選者もすべて比例で復活当選。なんと沖縄県からの立候補者全員が当選した。落選者がなかったので今回の選挙では候補者全員が前職。今回も場合によってはそうなりそうだが、どうせなら、というかなんとしても、今回もきっちり小選挙区で議席を確保したいところ。基地問題以外でもいろいろな争点やしがらみもあるんでしょうし、本土の人間が勝手を言うようですが、基地反対の民意が圧倒的多数派なんだから、選挙でもそのことを示してほしいです。そうでないと安倍のことだから「勝ったんだから基地に賛成してもらったんだ」とか民意を捻じ曲げて、沖縄をなめてかかってくることは明白ですよ。今まで基地のおかげで経済が潤ったことなんでないじゃないですか。むしろ悪くなってきた。それでとうとう沖縄が怒り出したら手のひら返して猫なで声。そんな信用できない人間についていってもいいことなんてあるわけない。今までと何も変わりませんよ。
あとは比例区での各党の得票数、それから投票率だね。棄権も含めた絶対得票率を分析することで、だいたい今の社会の力関係がわかる。それは議席数や支配者の意向とは直接には関係がない。そこに注目していきたい。
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私たちは過半数ではないがそれは安倍政権もおなじことで、私たちは決して少数派ではない。 総選挙投票をひかえて https://t.co/SmSoNp44rY @kousuke431 さんから
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