「ぶっとばせ!弾圧・排除12・1集会」に参加して

会場風景●弾圧の経緯

ぶっとばせ!弾圧・排除12・1集会」に参加してきました。これは大阪での野宿者強制排除と警察による集中弾圧に抗議するためのものです。

大阪の野宿者支援の運動は今も大変に元気です。「非暴力不服従」を掲げて全国的な野宿者支援ネットワークを作りつつ、大阪市と互角以上にわたり合っておられます。ところが今年の9月27日にこれへの報復弾圧があり、5名が令状逮捕されました。直接には市の職員が本人に断りもなく野宿者をビデオ撮影しているのを見咎め、その無礼を注意したことをもって「暴行」であるとされたものです。逮捕されたうちの一人である稲垣さんは「職員の腕をつかんだ」などとされていますが、本人は強く否定しています。

だいたいが100歩譲って「腕をつかんだ」などが事実であったと仮定しましょう。それでも「無断でビデオを撮ろうとした無礼者の腕をつかんで制止した」ことの何が罪になるというのでしょうか?責められるべきはこの職員ではないでしょうか?私なら、もし家族や友人が、「人に見られたくない」と思っているような状況の時、無神経かつ無断で権力者然とした輩が当たり前のように傲然とビデオ撮影していたら、即座にぶん殴るかもしれません。もしあなたなら家族や恋人が同じ目にあっていたらどうしますか?何もせずに見捨てておきますか?しかも今回逮捕された方は、口頭で抗議したかはしれないけれど、実際には言われるような「暴行」などしていないと言っておられますし、実際、それがごく自然だと思います。

●差し迫った暴力的排除の危険性

さらにこの冬には野宿者への新たな暴力的排除の準備が進んでいます。 というか、今回の逮捕は、排除の「下準備」として行われた可能性が高いとのことです。大阪市は現在、西成公園の野宿者に対して、しきりと排除圧力を強めています。ここには本年1月のうつぼ公園強制排除で追い出された野宿者もテント生活を余儀なくされているそうです。また、長居公園では来年「世界陸上大会」が開催されます。さらに大阪城公園は大阪府がしゃにむに誘致をはかっている「G8サミット」の開催候補地とされています。これらの行事のさいに、あるいは誘致活動のために「見栄えが悪い」という理由で強制排除が行われる可能性が高まっています。

昨年のうつぼ公園強制排除の以前は、野宿者と大阪市には話し合いの良き伝統があり、こういう場合には大阪市の要請によって、野宿者が自主的に移動するなどの措置がとられてきました。これは野宿者が2万人以上という大阪における、非常に良い伝統だったと思います。ところが本年以降、この穏やかな施策はひっくりかえされ、大阪だけではなく、名古屋や東京でも有無を言わせぬ一方的で暴力を用いた強制排除の嵐がふきあれます。まさに国家をあげた野宿者狩りのような状況になりました。

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会場にあった寄せ書き●日本全体の状況から見なくては

立川や葛飾でのビラまき弾圧、吹き荒れる君が代処分、各地の大学での活動家狩り、社民党弾圧、戸田議員への議会追放策謀、郵政民営化、公務員バッシング、そしてこの野宿者狩り、さらに教育基本法改悪による愛国心の強制、改憲、これらはすべてセットの同じ枠内で見ないと日本の真実の姿が見えてきません。そして見えてくるのは、背筋が寒くなるような日本の未来です。これらに個別に反対していてもダメだと思います。過去のしがらみを越えて大同団結しないと個別撃破されていきます。

今や日本で「実力闘争」を掲げかつ実践している勢力などいません。平和的な非暴力闘争ばかりです。そんな中、警察権力だけが突出して果てしなく暴力的で過激化しています。今やこの国で「過激派」と言えば公安警察のことなのです。何の罪もない人々がビラをまいただけでも次々とその思想ゆえに逮捕されています。そして教育基本法が改悪されたら、子供たちの通知表に「愛国心」の項目ができて、「よくできました」「ふつうです」「もっとがんばろう」などと「心」に点数がつくようになるのですよ!君が代処分などの「踏み絵」も先生だけの問題と思っていたら大間違い!愛国心は「家庭」や「地域」にも求められるようになるのです。そして総仕上げが改憲です。そういう世の中が「いつかくる」ではないのです。もう目の前まできているのです。左派の皆さん、その覚悟はできていますか?

さて、この日は朝から大阪駅前でのビラまきと宣伝、昼から大阪市に「強制排除反対署名」の提出が行われました。私はこれらの昼間の行動には参加していませんが、署名提出に際して、大阪市が「拒否・排除」の姿勢をとったらしく、一時は騒然としたらしいです。集会参加者が「一時はどうなってしまうのかと思いました」などと発言されていました。本当にいったいどうなってしまったんだ大阪市!「ミニ小泉」とあだ名される関市長にすっかり毒され、自己保身で隅々まで良心を失ってしまったか?

発言する野宿者●夏祭り映像の素晴らしさ

各団体などからの発言や行動の報告の後、長居公園で行われた野宿者主催の夏祭りの映像が公開されました。行事自体はゲームやのど自慢など、そんなに奇抜なものではありません。どれも無料で誰でも参加できるものばかりで、金をとるような模擬店などはありません。それでもとっても賑やかで、ものすごく生き生きしていました。何よりこの夏祭りを自分たちの力で成し遂げた野宿者の方々の嬉しそうで自信を取り戻した顔が忘れられません。終わり近くにサンバのリズムを演奏しているうち、通りがかりの外国人観光客まで飛び入り参加して、みんなで楽しそうに踊っている映像があった。本当にいい映像でした。

どうして大阪市は、そして日本は、こういう素晴らしい運動や、素晴らしい人々と結びつくことができないんだろうか。どうして逆に警察権力を使って弾圧するようなことしかしないのだろうか。どうして野宿者の人々の人間としての自尊心や生きる意欲を取り戻して支援するのではなく、逆に自尊心を踏みにじって意欲を奪うような、差別的な施策しか打ち出せないのだろうか。そんな「自立支援策」が成功をおさめるとは到底思えない。そんな簡単なことが何故にわからないのか?面倒だからわからないふりをしているだけなのか?本当に見ているうちに「日本国民」の一人であることが情けなく思えてきました。だけどわけ知り顔で情けながっているだけではいけません。この国のすることに責任の一端をになっていかなくては。

●野宿当事者の発言

集会はその後、公園で共に過ごしている現場の支援者の発言へと続き、最後に、発言のプログラムには入っていない野宿当事者の人達にも、自由に挙手で発言してもらいました。その自由発言で一番心に残った発言を紹介して、このエントリーを終えたいと思います。

逮捕された5人の方々のうち、お一人は私のそばのテントで一緒の公園で寝泊りしている仲間です。この方から聞いた言葉を伝えたいと思います。
それは私が大阪市のやり口に怒って『もう公園を我々の決起で大阪市から独立させて自治管理していかなあかん』と言った時のことです。彼は『それは違う』と言うのです。
『私たちは公園に住まわせてもらっているのだ。だから地域に迷惑をかけるようなことをしてはいけないし、大阪市とも喧嘩してはいけないんだ。そうではなくて、私達の運動と大阪市は、お互いに足らないところを補い合うような協力関係でなくてはならない。大阪市のやることで、間違っていることや、現実にあわないことを直していく、そういう住民と行政の相互補完が私たちの運動なんだ』と。
私はその言葉を聞いてすごく感動しました。そうして私は聞きたいのです。どうしてこういう人を逮捕したのかと。

この逮捕された野宿者の方は、獄中でも「自分のことはいいから、他の人が一日も早く釈放されるようにして下さい」と言い続けておられるそうです。この方は本当に民主主義というものがわかっている素晴らしい方だと思います。私も基本的には単ハネ分子で、すぐ頭に血が昇って「公園の自主管理を!」とか叫びだすクチですから、こういう思慮深い聡明な方は運動の(そして実は行政にとっても)宝だと思います。

私も問いたいです。「どうしてこういう人達を逮捕するのか」と。私はこの方がいう「行政と住民の相互補完」以外の民主主義を知りません。大阪市の考える、あるいは野宿者支援運動を罵倒するような人が考える、何か別物の「民主主義」がこの世にあるのでしょうか?

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参考リンク

「支援法」は強制収容が狙い釜ヶ崎地域合同労働組合委員長 稲垣浩
 (逮捕された稲垣さんの「労働党」サイトへの寄稿文)
強制排除阻止行動に参加して(ブログ旗旗)
大阪野宿労働者への強制排除抗議闘争(旗旗ムービー)
釜パト活動日誌

ここまで読んでいただいてありがとうございます!

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1件のコメント

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