軍事独裁国家に潜伏したビデオジャーナリスト=VJたち
2007年9月、世界中のトップニュースがビルマの反政府デモの様子を報じた。路上は10万人の人々で埋め尽くされ、地を揺るがす民衆の興奮―革命の予感がした。世界はその瞬間、この国の未来を信じた。
苛烈な情報統制によって外国人ジャーナリストの入国が厳しく制限されているビルマ。にも関わらず、世界中のニュースが2007年9月の大規模な反政府デモの様子を報じることができたのはなぜか? その陰には、拷問や投獄のリスクをかえりみず、情報を発信し続けるVJ〈ビデオジャーナリス〉たちの活動があった。隠し撮りされた映像は密かに国外へ送られ、無償で国際的なメディアに配信される。日本人ジャーナリスト長井健司氏が射殺される瞬間を世界中に配信したのも彼らである。ジャーナリズムの精神を体現する彼らの活動は、いまこの瞬間も続いている。
デンマーク人映画監督 アンダース・オステルガルドは、VJたちが撮影した断片的なニュース映像を再構築し、膨大な映像がはじめて一編の大きな物語へと紡がれた。矢継ぎ早に飛び込んでくる最新情報。走りながら撮影されたスリリングな映像は、現場の緊張と恐怖を私たちに体感させる。アカデミー賞では惜しくも『ザ・コーヴ』に敗れたものの、40以上もの国際的な賞を受賞した。日本公開は2010年。
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