人は誰でもいつかはおくり、おくられるものだから
遺体を棺に納める“納棺師”となった元チェロ奏者の男(本木雅弘)が、仕事を通して触れた人間模様や上司(山崎努)の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作。
最初は仕方なく続けていた主人公も、やがて“穢れた職業”だという差別意識をむき出しにする周りの人間に、「その儀式なしに、故人との別れは成り立たない」ことを訴える。初めはショックを受け「穢らわしい」と拒絶した妻(広末涼子)さえも、儀式の凄みに刮目せざるをえなくなる。そんなある日……という物語。
実は私は就職活動をしていた若い頃、自分の性格や適正を考え、葬儀屋が私の天職かもしれないと本気で考えて就職先をさがしたこともありました。結果的にその時は左翼運動をしていた頃でもあり、学生向けに私が思っていたような葬儀屋の求人もなかったのですが、この映画を見ていろいろ泣きそうになりました。
封建時代から死体を直接扱う職業は被差別部落の伝統職だった時代もありました。そのせいで私の友人の女性は葬儀屋でアルバイトをしていた時「葬儀屋って部落なんでしょ(ヒソヒソ)」という扱いをうけ、ちょっとここでは書けないような隠れた陰湿な差別的態度を目撃することが多々あったそうです。私はその様子を聞かされて、やっぱりまだ現在でも、そういうことが普通にあるのかとショックを受けました。
いったい何なのでしょうか。この世に“穢れた”人間や職業などあるはずもありません。むしろ尊敬すべき立派な仕事や人々だと思います。
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