投稿者: 司 宮二
米が9月に未臨界核実験 オバマ政権下で初、ネバダで
(朝日2010年10月13日)
米国が核爆発を伴わない未臨界核実験を9月半ばに実施していたことが12日、分かった。実験は2006年8月以来4年ぶりで、「核のない世界」を提唱するオバマ政権下では初めて。オバマ大統領には核廃絶の主導役として期待が高く寄せられてきた中で、国際的な批判も出そうだ。・・(中略)・・
オバマ政権は、安全保障上の核兵器の役割を縮小するとし、ロシアとの新たな核軍縮条約の早期発効や核テロ対策などに力を注ぐ。ただし、核兵器が存在する限りは現在の核戦力を維持する方針も明確にしており、核関連設備の近代化や管理体制を強化するために関連予算を増額していた。あらゆる核実験を禁じる包括的核実験禁止条約(CTBT、未発効)の批准を目指す一方で、未臨界実験は同条約に違反しないとの立場だ。
だが、未臨界実験は、核兵器の廃絶を目的とするCTBTの精神に反し、同条約の空洞化につながるとの批判は根強い。また、核爆発が本当に起きていないかどうか、地上から検証することは難しく、そのことに懸念を表明する国も多い。(後略)
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「平和賞何だったのか」被爆者ら怒り
(毎日2010年10月13日)
米政府がオバマ大統領の政権下で初めて臨界前核実験を実施したことが明らかになり、被爆地の広島・長崎では波紋が広がった。「核兵器なき世界」を目標に掲げ、昨年のノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領への期待が大きかっただけに、怒りや失望の声が渦巻いた。
広島県被団協の坪井直理事長(85)は「一言で言えば、裏切られた。どんな国、理由であれ、核実験と名が付くモノは絶対反対」と批判。
「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表(71)は「『核なき世界を目指す』と言いながら、核開発や核戦力の維持をする米国の核政策の表れ。言行不一致で許せない。インドやパキスタン、イスラエル、北朝鮮などに対し、開き直りを促進してしまう可能性がある」と批判した。
長崎原爆被災者協議会会長の谷口稜曄(すみてる)さん(81)は「ノーベル平和賞まで受賞して、あれはいったい何だったのか。米国は被爆者に対し、どう謝罪するのか」と怒りをあらわにした。
長崎原爆遺族会顧問の下平作江さん(75)は「核兵器に遭遇すると息絶えるまで苦しまなければならない。私たちが次世代に被爆の実相を伝えなければ」と落胆した様子で話した。
一方、核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ実行委の平野妙子さん(56)は「『核兵器のない世界を目指す』という大統領の発言はやはり意味がある。矛盾をはらみながらも理想に向かっていることは確か」とわずかな希望を託した。
臨界前核実験 仙谷官房長官「抗議考えない」
(毎日2010年10月14日)
仙谷由人官房長官は13日の記者会見で、米政府による臨界前核実験について「核実験全面禁止条約(CTBT)で禁止される核爆発を行うことなく、貯蔵する核兵器の安全性、信頼性確保のために行っていると理解している。抗議や申し入れは考えていない」と問題視しない考えを示した。実験の是非については「核軍縮に取り組む中で検討すべき事項だ」と述べた。菅直人首相は13日夜、記者団に「核のない世界になって、実験を含めて必要なくなるように努力しないといけない」と述べた。
米未臨界核実験「オバマ演説と矛盾せず」 前原外相
(朝日2010年10月15日)
前原誠司外相は15日の記者会見で、オバマ米政権が核爆発を伴わない「未臨界核実験」を9月半ばに実施したことについて「今回の実験は、オバマさんが(プラハ演説で)言ったことには矛盾しないと思う」と述べ、一定の理解を示した。
前原氏は、(1)未臨界核実験は包括的核実験禁止条約(CTBT)違反にはならない(2)オバマ氏は昨年4月のプラハ演説で、核のない世界を目指すが、経過期間は核の抑止力は維持すると述べた――と指摘した。一方で「被爆者の心情を察すれば、怒りを覚えるのもよくわかる」とも述べ、被爆者らの反発に配慮を示した。
アメリカの未臨界核実験への抗議文
(ブログ「非戦・非核のカレンダー」様より)
アメリカ合衆国大統領 バラク H. オバマ殿
私は今年9月15日ネバダ核実験場で行われた未臨界核実験の決定と実行に強く抗議します。
あなたはチェコにおいて「核兵器のない世界」へ向けての力強いアピールをされて以後、国連やNPT再検討会議などにおいてその姿勢を明らかにされてきました。
しかし、今回私はあなたのネバダにおける未臨界地下核実験の決定と実行の報に接し、驚きと怒りと失望そして悲しみに震えています。
今回の未臨界核実験は、あなたが今まで世界の人々に向けて発してきた言葉を裏切るものであるばかりでなく、貴方の「核兵器のない世界」構想に全く逆行するものであり、世界の核兵器を開発、拡散させるものです。
オバマ大統領。あなたが「核兵器を使用した唯一の国としての道義的責任」の故に「核兵器のない世界」へ向けて歩みだしたことに、被爆者を始めとする全ての核兵器廃絶を願う人々が、核兵器廃絶への希望を具体的なものとして持ったことを思い起こし、ご自分で約束した目標に向かって誠実に果敢に実行に移すことを強く要請します。
抗議・要請のあて先
※くれぐれも丁寧な言葉であなたの気持ちを伝えて下さい。暴言は要請の意義と効果を半減させます。
◎バラク.H.オバマ アメリカ合衆国大統領
在日米国大使館 http://tokyo.usembassy.gov/tj-main.html
〒107-8420東京都港区赤坂1-10-5
代表電話03-3224-5000
◎仙谷由人 内閣官房長官
内閣官房内閣総務官室 http://www.cas.go.jp/
〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1
代表電話03-5253-2111
◎前原誠司 外務大臣
外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/
〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
代表電話03-3580-3311
外務省 ご意見お問い合わせフォーム
https://www3.mofa.go.jp/mofaj/mail/qa.html
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