【イラク・ホープ・ダイアリーより転載】
イラク人は今、外国人の武装グループに怯え、世界中から集まった占領軍に虐げられ、世界中のセキュリティママには「イラク人=テロリスト」と思われている。
けれど、一番大規模なテロに遭っているのはイラク人で、毎日「被害者の会」とか「遺族の会」が発足してもおかしくなくて、一番被害の大きい「ファルージャ被害者の会」は「ムジャヒディン」と名乗っている。「ザルカウィを探す」と言いながら、占領軍の兵士は何も発見できなかった民家でウンコをしてはコーランでそれを拭き、壁になすりつけていく。
ファルージャからアンマンにやって来たイラクの友人たちは強かった。圧倒的な不安に押しつぶされそうな私に、笑顔になる魔法を何度もかけてくれた。
ヨルダンで空爆のない平穏な時を過ごしながら、その一方で差別を受け、ファルージャの悲しいニュースを集め、沈黙に陥ってもなお、彼らは前を向いた。頻発する誘拐、激しさを増す空爆と被害の増大という事実に私の体は耐えきれなくなり、寝込んだり薬を飲んだり……。そして彼らと一緒に泣いた。
それでも私たちは暴力を選ばないと誓う。怒りにまかせたリアクションでは何も解決しない。同胞や家族を思うから、私たちはこれ以上の暴力を選ばないと誓う。
私は日本のみなさんに本当のイラクを知ってもらいたいと思う。怒りが渦巻くイラクでは、私たちの考えはなかなか受け入れてもらえないというのも事実だ。でも、日々変化する中で、私たちのやり方は少しずつだけれど広がっているのは確かだ。
私が拘束中に「暴力ではない方法を探してくれ」と訴えたムジャヒディンのメンバーにもその噂が耳に届いてほしいと願う。
香田さんは「本当のイラクを見たい」と言っていたということをどこかで耳にした。ならば、私にできることは香田さんの見たかったイラクを伝えていくことだ。命に国境はない。命に善悪はない。
(by nao-takato at iraqhope.exblog.jp)
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