資本主義論

選挙で「変わる」ことを望むもの-公共性の回復を

 投票にいってきました。私の選挙区は、今の情勢では当選確実の民主党前職に、前回は比例で当選した自民党前職と、共産党新人の二人が挑むという構図でした。その民主党前職はと言えば、いざとなればどっちに転ぶかわからない中間派ながら、一応は9条護憲派らしい。

 そいでまあ、ちょっと考えた末に、「保守2大政党制」そのものへの批判票として、選挙区は死票覚悟で共産党候補に、比例区は「絶滅危惧種保護」と民主党右傾化の防波堤という二つの観点から社民党にいれてきました。もちろん最高裁国民審査では、自分で呼びかけた通りに竹内行夫さんに「×」をつけてきました。

 まあこれで政権交代になって何かが「変わる」かと言えば、わたし的には変わらないだろうと言うしかないです。それはまず何をもって「変わる」と言うかの認識から議論しないといけないわけで、私としては民主党政権になったところで、現在の体制の枠内での同じ保守政党同士の政権たらい回しを、とても「変わった」とは表現できないわけです。民主党支持者の皆さんみたいに浮かれてはいられません。

 それはともかく、それでも私のような下層の人間にとっては、理想がどうあれ、現実問題としてとにかく少しでも「マシ」になってほしい。それは切実な願いです。

 そういう意味で、例の民主党の「子供手当て」なんか例にとってみますとね、自民党は「ばら撒きだ」とか言うし、共産党まで「配偶者控除を廃止するので増税になる」とか言っているわけです。しかし、もともと配偶者控除というのはなんだかんだ言っても「(専業)主婦の座」を保護するもんであって、昔はともかく今の時代ではかえって女性の社会進出を阻み、その非正規化を固定してきた制度なんですよね。それを廃止し、かわりにどのような家庭であれ、今まで「私事」とされてきた子育てに国家が手当てを出したり、さらに高校教育を無償化していくという行き方も私は「あり」かなと思うわけです。

 たとえば、ついこのあいだまで日本人が思い浮かべる「福祉」といえば「高齢者」や「障がい者」くらいしかないような現状だった。そのせいで「ホームレス支援」などは他の先進国では当たり前にボランティアのメニューに入っているのに、日本では長い間、いわれなき偏見の目で見られてきたんだろうと思うわけです。そこに「若くて健康な人々が人間らしい暮らしをするために税金を投入する」、それも福祉なんだという考えを導入するのは悪くない。決して「景気対策」とかそんなケチな話じゃなくてね。

 それを麻生さんは(賛成・反対はともかく)「ばら撒き」だの「景気対策としての効果」としてしか議論できなかった。麻生さんはこれを「福祉」という観点から、国家の大きな路線のあり方として政策論争していくなんて全く考えもつかない古臭い人なのではないか。それこそ麻生自民党政権の貧困な「福祉観」を表現しているのではないだろうか。そんなふうに漠然と考えていたところ、広島瀬戸内新聞のさとうしゅういちさんが、「控除から給付・サービスへ」という表現で的確に表現してくださいました

 私ら貧乏人からしてみたら、税金をまけてくれというよりも、「人間らしい生存を保障してくれ」というほうが断然に優先レベルが高いです。税金は取ってもいい。ただし収入や社会的な責任に応じて公平に。そのかわり、真面目に働いてきた人間が、突然に路上に放り出されて明日食べるものもなくなったり、子供が病気になっても医者にも見せられないとか、職を失って学校にもいかせてやれないとか、収入がないから子供を作れないとか、そういうことをなくしてほしい。

 一言で言って「自己責任から生存の保障へ」ということです。「自己責任」とセットのように「官から民へ」などという偽りのスローガンの元に進められてきた小泉改革は、まさしく行政や国家の「公から私」への転換にすぎなかった。今の世の中でこそ、政治が「公共性」を取り戻さないといけないのです。その主体が「官」だろうが「民」だろうがそれは問題ではないのです。むしろ在野の人々の努力を政治が後押しするのは良いことでさえあると私は思うのですよ。

 ところが小泉改革のやってきたことは、むしろ「公共性」を「私=資本の論理」に丸投げする結果でしかなかったのではないか。それとセットになった金持ちや企業優遇の減税や規制緩和は、(民衆の目線から見れば)すべからく行政が「安かろう悪かろう」化していく結果しか生み出さないのではないでしょうか。それは体制の危機を民衆に押し付けることで乗り切ろうとする発想であり、付け加えるならば、そういう社会の中でこそ「在特会」のような排外主義やファシズムが育っていくのは以前に書いた通りです。決して民衆をこそ守ろうとする努力は「無駄遣い」ではないし、私たちは寛容性を取り戻していかねばならないのです。

 「私から公へ」、今回の選挙がそういう政治の転換点になって、死ななくてもいい人が一人でも助かるならば、そして真面目で不器用な人が生きやすい社会になるならば、たとえ「体制内の改良」レベルでも、ちょっとくらいは今回の選挙も意味があろうというものだし、つけ加えれば、こういうことを議論してくれてこその「政策論争」だと思います。そんな観点からみれば、麻生自民党のほうがよっぽど「ばら撒き」の名にふさわしいのです。

※映像は日本以上に新自由主義と民営化の嵐が吹き荒れたアルゼンチンで、国鉄労働者の家族を描いた映画『今夜、列車は走る』と、日本の国鉄労働者の家族を描いた記録映画『人らしく生きよう』の予告編です。

コメント

  1. 「今夜、列車は走る」は見ましたよ(^^)盛り上がりは小さいけれども、職と誇りを奪われた国鉄労働者の息子・娘たちが「誇り」を取り戻すため、自分たちで列車を走らせる、いい映画でした。
    今日は、ま「麻生打倒」は確実なので開票速報も見ず「酒盛り」状態にしました。今TVをつけると、「民主圧勝」のようですね。
    でも、これからが勝負です。本当に民が楽しく暮らせる政策を実行させるのか、また「改憲」問題も含め、他国に戦争をしかけることで「民が楽しく」暮らすようにするのは拒否するのか・・・リベラル、「左翼」(いちおう「かっこ」をつけました)、私たちの力量も問われるところです。
    10・11三里塚も含め、がむばりましょう!

    • 三浦小太郎
    • 2009年 8月 31日

    政権交代は明確になりましたが、ここからが勝負どころ。今回の選挙は『嫌自民』の意思が凄まじい勢いで広まり、小選挙区制度の必然として増幅されたのがこの結果。おそらくこのブログに投稿している多くの皆さんは、少数意見が埋没する小選挙区制に反対でしょうが、私は相対的には自民支持者ですが、決して負け惜しみではなく、この制度はそれなりに民意を集約する役割を果たしていると思います。

    自民党が本当に立ち直るかどうかもここから。
    保守政党としての理念を外交でも内政でも作り直し、利権や利益調整ではなく、保守の思想に共感してくれる人たちともう一度謙虚に対話し、自民党に欠けているものを学んで再生を目指して欲しい。正直、今回の選挙での自民党の戦い方は、今だからいいますが私には残念だった。結果は変わらなかっただろうけど、もっと堂々とした戦いをして欲しかった。礼節と謙譲こそ保守にとって最も必要な美徳なのに、自民党議員にはそれが不足していた。まあ民主党にもそんなにはその美徳はないが。

    私は草加さんとはちょっと逆になりますが、政策的には、自民党は小泉改革と心中する決意があってもよかったとおもう。『実はあの改革や市場原理主義には反対でした』とか、今回の自民党候補者が(首相までもが)語ったけれど、政治家の言葉や態度ってこんなに軽いものであってはならないはず。それなら、自民党を脱党して国民新党あたりに行き、そこで立候補する方がまだ筋が通っている。私は、『公共性の復権』が重要なテーマであることはわかりますが、日本の場合、それがかっての自民党の利権構造や地域の閉鎖社会の復活になる危険性はないとはいえないと思う。

    少なくとも自民党は、それをどう評価するかは私と草加さんや皆さんとは正反対でしょうが、新自由主義導入と、北朝鮮・中国に対して、まあパフォーマンスだけだったかもしれないけど多少は対立軸を作った小泉人気であの議席を獲得したのに、今となってこんな風に姿勢を変えるとは情けなかった。もし、あの改革が間違っていると心底思うのなら、この敗北を機に、全面的に経済政策を作り直すことです。そして、改革支持派は「みんなの党」辺りに行くことだな。

    古い話ですが、オバマ・マケインのアメリカ大統領選について、とても印象的な記事があった。マケイン候補の演説会で、おそらくベイリン副大統領候補の支持者と思われる婦人が、「オバマはアラブ人だから信用できない」という意味の発言をした。そのときマケイン候補はすかさず、『奥さん、それは違いますよ、彼は家庭を愛する立派なアメリカ市民だ。たまたま政治的な意見が私と違うだけです』とたしなめたといいます。

    結局マケインは敗北したし、敗色濃厚になってからは選挙陣営は確かにネガキャンに走った。しかし、こういう態度は、私はやっぱりアメリカ保守のある意味での健康さを教えられる気もしました。

    鳩山民主党政権はおそらく近い将来混迷すると思うが、自民党が再生していない限りチャンスはない。

    • たけ(39)
    • 2009年 9月 02日

    さて今回の総選挙は民主党が躍進し、自民党が野に下った選挙だったわけですが、「何が変わるか?」と聞かれても返答に困るというのが正直な感想です。
    公約の内容は似たり寄ったり、外交方針も『従米』であることに(多分)変わりはないから『経済・金融政策』も自民党の路線をほぼ踏襲するものと考えられます。
    『年次改革要望書』の内容はそのまま実行されるでしょうし、恐らく『ゼロ金利』は継続する(投資家経由でアメリカに貢ぎ続ける図式は変わらない)。
    公共工事は逆風が強いから削減の対象であるのは確実ですが、地方はドカタで食ってる割合が結構高いから、ドカタに代わる『仕事』を提供してくれないと地方の景気はいつまでたっても良くはならない。
    つまり、デフレスパイラルは継続するため、景気が良くなるということはまずありえない。
    せめてセーフティネットの構築に力を入れてくれることに期待をしているのですが、それだけの予算があるのかどうか・・・・
    (どうせ、あの大風呂敷の内容も結局は国債で賄うつもりなんでしょうけど。)

    ・小泉元首相の推進した民営化・規制緩和の結果について
    (思いつくまま書き留めただけですが、ほぼそのまま書き込みます。)

    かつて小泉元首相による政策によって、従来自民党の支持基盤であった医師会・農業団体・建設業団体・郵便局が自民党と距離を置くようになった。国民は利権との決別であると錯覚してこれを熱狂的に支持した。
    かくして『小泉劇場』が始まった。その劇中で郵政解散選挙が行われた。結果、衆議院の3分の2超の議席を獲得することができた。しかし代償はとてつもなく大きかった。
    わずかな意見の相違があるというだけで、数十年来の同志多数を粛清に近い形で切り捨てたから、かつての支持基盤が大きく崩壊した。残ったのは全体主義にも似た薄っぺらい党の構造と、新たな支持基盤である国民の『熱狂』だけが残った。いかに『熱狂』していても時間がたてば平静を取り戻す。ただし、それは自民党の支持を失うことに直結する。
    どんなに優れた役者といえども、観客の耳目をいつまでも満足させることは不可能に近い。だから小泉元首相は任期満了を待たずして劇場を去った。
    ワリを喰ったのはその後継者達で、国民は「また何かやってくれる」という期待を持って観劇しても演技のくだらなさに失望し、その度に支持率を低下させてきた。
    そりゃそうだ。演じているのは『政治家』ではなく『政治屋』なのだ。ずぶの素人に一流のパフォーマンスを期待しているようなものである。

    これから『劇場』で演じることになる民主党さんには同情を禁じえません。
    『劇場』で演じることができそうな人材がいるかどうか怪しいし、かといって『劇場』を破棄して旧来の『利権・金権政治』に回帰することは『民意』が許すはずもない。
    恐らくまた、大きな『揺れ戻し』があると思いますが、それまでに自民党にはちゃんとした政策を提示できる政党となってもらうことを切に願う次第です。
    (安倍元首相あたりが中心となって、自称国士のグループができるとかいう話もありますが、そういう連中が受け皿になってもらうのは非常に困る。近い将来、外国為替デリバティブとかCDSとかのバブルが崩壊すると言われてますが、景気がどん底の状態の時にナショナリズム丸出しの政党が政権についた場合どうなるかというのはドイツが証明している。)

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