by ときわ列車
この日記は『「2号機スルーで北朝鮮核実験に血眼」の矛盾とその原因』で書いた考察の「大元」となったmixi日記の転載第2弾です(第1弾はこちら)。
最初に書いたのが2011年5月13日ですので、ここでも引用元のリンク切れ等があるかもしれません。繰り返しますが、その点はご了承くださるよう、何卒お願い致します。
【以下追記・修正の上転載】
以前、mixiで繋がっている方が「有権者は変化なんて望んではいない。望んでいることがあるとすれば、変化などはいらないけれど、景気だけはよくして欲しいってことだ」という主旨の指摘をしており、自分も興味深くその指摘を見ておりました。
そこから僕は考えたのですが、結局は【尊王攘夷】の精神性の影響が残っているがゆえに「景気だけはよくして欲しい」ということになるのではないか…との考えが僕にはあります。つっけんどんな言い方をしてしまえば、「社会構造は今のままか似たようなもの、経済的利益は欲しい」という有権者の姿勢が【市民革命】よりも【尊王攘夷】を良しとした歴史から「必然的に」生まれたものなのです。
幕府が倒れた後、より伝統的な権力機構である「天皇」を近代風に装わせて国家を作り、一面の事実として日本は目覚ましい近代化を遂げます。その一方、日本は「持てる国」になろうと朝鮮や中国、そして東南アジアを侵略していきました。特に日露戦争後は民衆の側が戦争の継続を求める「日比谷焼打事件」が勃発します。確かにこれは「大正デモクラシー」の背景にこそなりましたが、民衆が「国家の拡大主義」を政府よりも強力に求めていき、対外戦争を望むというのはまさに【攘夷】的思考パターンと言っても良いかもしれません。それほどまでに民衆の意識が歴史過程の中で「反動的」になっていったのです。
そして今も、「欧米に追い付け追い越せ」の時代への「あこがれ」を捨てきれない人々が未だに多くいます。それは、「教育勅語」などの効果もあって「天皇を中心とした体制があるからこそ国が栄えた」という認識になっていったのではないかと、僕は考えています。教育勅語に「国難に際しては国と天皇のため力を尽くそう、それが国運を永らえる途(みち)」というものがありますが、ここが国民の意識の反動化に最も影響を与え、さらに「社会構造は変わって欲しくない」という願望にもつながっていくのではないでしょうか…これは【尊王】の思考パターンであります。
僕は、戦後において一番やらなければならなかったのは、「教育勅語」と「軍人勅諭」の完全否定だったと思っています。ですが、教育勅語は今も生き残り、僕の身近では伯母の家に飾ってあるほどです。「国難に際しては国と天皇のため力を尽くそう、それが国運を永らえる途」という「徳目」が「残って」いることが一番問題なのです。しかし「象徴」という形で天皇を生き長らえさせてしまい、一方で「象徴」でありながらマスコミは最上敬語で報道し、国は宮内庁に莫大な予算を注ぎ込んでいる…こんな現状では「植民地時代」への憧れが出てしまうのも無理は無いのです。その矮小版が「バブル時代への憧れ」であり、敷かれたレールに乗ってさえいれば「経済的」には困らない時代……しかしそんな時代はもう2度とくることはありません。
植民地時代でもバブル時代でも、それらに憧れる心理には大事なことが抜け落ちています。それは「自分たちの人権を自分たちで獲得する」ことであり、「差別を作ってまで経済的に豊かになる」ことを「愚か」だと認識できなくなることです。
もう一つ言ってしまえば、巨大企業による「地域独占」という問題は、巨大企業を「(戦前的な)天皇」と考えるとすごく解りやすくなると思います。巨大企業に尽くすことこそが地方の「活性化」になるのであり、原発という自らの命を危険にさらすものでも「国運を永らえる」ためなら受け入れる…こうした「伝統的かつ封建的な力関係」が「資本主義」という近代の産物と結びついて日本のあちこちを席巻していたのではないのでしょうか。そしてそのひずみがまさに今回の震災の如く一気に崩壊した…それが原発事故の一側面なのではないでしょうか?
ここまで書くと、原発事故がある意味で福島県民の「自己責任」に思ってしまう方も多いとは思います。確かに僕ら自身、特に福島の大人達は事故の「加害者性」を認識すべき、という意味での責任はあります。その加害者性の認識なしには根本的な批判はできないでしょうから。
しかし、真の責任が原発を推進してきた政府と東電にあること自体はあまりにも明白です。特に政府は「教育勅語」の完全否定をせず、東電は民衆の反動的意識をいいことに「国運を永らえる」ためと地方をカネで従わせて原発の「安全神話」によって立地地域を「強権支配」してきたのですから。
教育勅語の精神の克服なしに本当の意味での復興などありえません。今目指されている「復興」は、戦前的な日本の再来であり、それは「戦争」という「最大の人災」を招くだけなのですから。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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