労働者派遣法を解体せよ!
鎌田慧さんの発言から派遣法の本質をみる

 「UnionTube」で紹介されている「鎌田慧さん『派遣法を解体せよ!』」 というビデオがあります。参議院会館内で行われたシンポジウム「格差是正と労働者派遣法改正を考える」でのあいさつを5分間にまとめたものです。
 ここでの鎌田さんのあいさつが、私が先日に書いた散漫な文章の問題意識を、かなり政治的にかっちりした方向性でまとめておられるように感じましたので、以下、文章におこしてみましたので是非お読みください。

 私のような感覚的でフワフワした「普段の生活でみんなが感じていること」と、鎌田さんのような、怜悧な分析に基づいたかっちりした提起をつきあわせて、今後もいろいろな角度から考えてみたいと思います。また、先日の投稿でChic Stoneさんから教えていただきました「赤木論文」も面白く拝読しました。第一印象では、私と赤木さんは全く同じことを感じながら、赤木さんはそこに「絶望」を見、私は「希望」を語っているというところでしょうか。

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 「格差社会」と言われていますけれども、これは明らかに「差別社会」でして、あるいは「不平等社会」と言ってもいいと思いますけれども、この根源にこの労働者派遣法があります。85年に成立されてずっと拡大してきた労働者派遣法があります。ですから、この集会は「労働者派遣法改正」とされてますけど、僕は「解体」と言ったほうがいいかと思っています。

 この法律を準備して頑張った信州大学の高梨昌教授は、どういうふうに書いているかと言いますと、彼はこういうふうに書いています。
 「必要なときに必要なスタッフを必要とされる期間のみ企業の要請に応じて派遣する」これが派遣法なんですね。これ、聞いたことがありませんか?「必要な部品を必要な時に必要な量だけ企業の要請に応じて供給する」。トヨタのカンバン方式なんですね。

 駅におかれている無料の求人雑誌の裏表紙に、トヨタ自動車の募集がずーっと載っています。三大紙にも地方紙にも、ずーっとトヨタの期間工が載っていますけれども、そういう期間工が、最低の労働者だった。ところが、労働者派遣法によって、その下に、膨大な、さらに劣悪な労働者が存在しちゃったわけですね。これがどうして民主主義と言えるかということなんですね。同じ構内で、同じ工場で働いている労働者が、まあ、800万とか900万とかの収入があって、同じ労働をしながら、もっと酷い労働をしながら、同じ構内で働いている労働者が200万くらいしかない。それもいつクビになるかわからないし、それから、住居も全く安定しない。

 僕がトヨタ自動車で働いていた時には、寮費とか電気光熱費とか、それは全部無料だったですね。無料だったけれども、今はそれを全部ピンハネしてますよね。安いマンションにいるよりか高い部屋代をとる。電気代から何から全部徴収する。これは昔の炭鉱の「納屋制度」と言いまして、炭鉱労働者を納屋にいれておいて、そこから出してピンハネし、それから賄い料とか酒代とか搾取する制度があったわけですけれども、そういう前近代的な炭鉱制度、あるいは鉄鋼とかセメントとか、そういう近代産業の中につくられていた労働制度が、新たな装いをもって、合法的に復活したんですよね。

 旭ガラスでは、僕は70年に働いてますけど、そこでも、違法な、こういう労働者供給業はありました。それはあくまでも闇に隠れた部分であったわけですよね。それを、労働者派遣法は、こういう学者先生たちが、御用学者が力をつけて、あるいは労働組合も御用組合は反対しなかったわけで、今、「特権クラブ」として、こういう、足元に無権利の労働者が多ければ多いほど正規労働者が安定するという構造を作っていて、その上に乗っかっているわけじゃないですか。こういう不正をどういうふうに直すのかという、社会正義の問題なんですよね

 今まで、臨時工の闘争はあちこちでありました。でも、ほとんど解体しましたね。どうしてかと言うと、支援するところがなかったからです。単産も単組も、身分不安定な労働者を支援しなかったわけですね。ところが、むしろそういう運動が解体することによって、地域で頑張る、今日みえているようないろんな地域ユニオン、あるいは、個人別加盟の労働者、未組織労働者を組織するような労働運動が、ずっと地域に広がってきたわけですよね。その広がりに支えられて、そのネットワークに支えられて、この派遣労働者の労働運動がはじまってきたわけですよね。

 僕はこのガテン系労組の結成集会にも行ってアジったんですけれども、つまり、「もうすでにクビになっている労働者」なんですね。派遣労働者は「クビなし部隊」なんです。クビなし部隊は闘うしか、自分たちの生存はできないんですね。人間の尊厳、労働者の尊厳は闘うことでしか開けない。それを、この、去年、一昨年からはじまってきた、フリーターといわれる派遣労働者の運動が切り拓いてきたわけですね。そして、「連合」もそれに対応せざるを得なくなった。民主党も社民党も共産党も対応せざるを得なくなってきた。

 これ(労働者派遣法)は天下の悪法ですから、いくらしゃべってもきりがないんですけど、時間がないのでこれで終わりにしますけれども、天下の悪法ですから、すみやかに解体していく、その第一歩を改正からはじめていく、そして、労働者が同じ権利と同じ尊厳をもって働いて生活していくという、そいうふうな社会を作るために、ぜひ頑張っていこうじゃありませんか。労働運動として新しい出発を、これからしてほしいと思います。以上です。

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●漫画家の壱花花さんが鎌田慧さんの話に触発されて風刺漫画「人間の部品化」を描かれました。
  ↓
http://www.labornetjp.org/news/2007/1013hana

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