政府試算「全原発停止でもピーク時に6%余裕」を伏せ「1割不足」と発表していた

 経済産業省は今年の夏の電力需給について、「原発ゼロ」の場合、9.2%の供給不足になるという試算を発表しており、それが原発再稼働論者の根拠になっていました。ところが新聞報道によると、実際には「記録的猛暑だった2010年夏の需要+全原発停止」という前提で計算しても、まだ6.0%の余裕があると政府が試算していたことがわかりました。この結果は昨年8月にわかっていましたが民主党政権はこれをふせていました。

 この「9.2%の不足」のカラクリは、1)電力会社が調達可能な再生可能エネルギー(原発約7基分)をゼロで計上。2)火力発電所の定期検査をわざわざ需要ピークの8月に実施すると設定。3)大口契約者への「需給調整契約」による削減もゼロで計上。4)「揚水発電」などの供給力をできるだけ低めに設定など、大変に強引なものです。特に(2)はあまりにも露骨すぎるな。

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 当時の菅政権が、よりな細かな実態を把握することを目的に、経産省に試算の根拠データの提出を求めて、内閣(首相)直属のチームで具体的に再試算したところ、上のような事実が明らかになったということのようです。さらにこれは記憶にも新しい過去最高の歴史的猛暑で、かつ何らの節電対策もしていなかった2010年度の実績という、いわば最悪の事態を想定した慎重なシナリオですから、現実にはさらに大幅な余裕があるわけです。繰り返しますが、それは「現状でも」ということではなく、「今稼動しているすべての原発を停止した場合」にそうだということですよ。

 つか、最初に経産省が発表した時に誰も気がつかなかったのか?根拠データを隠していたということか?まあ、反・脱原発運動の側では、「原発なしでも電力は足りているどころか余っている」と主張してきたわけで、また一つ、原発反対派のほうが正しかったということが明らかになった形です。誠に遺憾ながら(そして今さらながら)こと原発に関しては、私たちは自国政府、とりわけ経産省の言うことは何も信用できないことがまたわかりました。頼みの綱は原発反対派の原子力専門家と外国報道だけというトホホな状態。特に自国民保護ではなく、原発利権派の利害を代表している経済産業省官僚は万死に値する。経産省・保安院・IAEAは、若狭大飯原発3・4号炉の再稼動計画を中止せよ!(→緊急署名へ!

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電力需給:政府今夏試算「6%余裕」伏せる
再生エネ除外、「不足」のみ公表-原発再稼働論に影響-

http://mainichi.jp/select/science/news/20120123ddm001010064000c.html

 今夏の電力需給について「全国で約1割の不足に陥る」と公表した昨夏の政府試算について「供給不足にはならない」という別の未公表のシナリオが政府内に存在したことが、分かった。公表した試算は、再生可能エネルギーをほとんど計上しないなど実態を無視した部分が目立つ。現在、原発は54基中49基が停止し、残りの5基も定期検査が控えているため、再稼働がなければ原発ゼロで夏を迎える。関係者からは「供給力を過小評価し、原発再稼働の必要性を強調している」と批判の声が上がっている。

 公表された試算は、東京電力福島第1原発事故を受け、エネルギー戦略を見直している政府のエネルギー・環境会議が昨年7月にまとめた。過去最高の猛暑だった10年夏の需要と全原発停止という想定で、需要ピーク時に9・2%の供給不足になると試算した。

 この試算とは別に、菅直人首相(当時)が昨年6月下旬、国家戦略室に置いた総理補佐チームに、電力需給の実態把握を指示。経済産業省に対して、発電所ごとの設備容量・稼働可能性、地域ごとの再生可能エネルギーの稼働状況など、試算の根拠データの提出を求め、再試算させた。

 その結果、現在の法律に基づいて電力会社が調達できる再生可能エネルギー容量は759万キロワット(原発約7基分)あったのに、公表された試算は供給ゼロだった。また、一部火力発電所で定期検査による稼働停止時期を猛暑の8月に設定したり、大口契約者への格安電気料金と引き換えに需給逼迫(ひっぱく)時の利用削減を義務づける「需給調整契約」による削減見込みもゼロとしていた。夜間の余剰電力を昼間に利用する「揚水発電」の供給力も低めに設定されていた

 再生可能エネルギーによる電力供給などを盛り込むシナリオで計算し直すと、電力使用制限令を発動しなくても最大6・0%の余裕があった。再試算は昨年8月にまとまり、菅首相に報告されたが、公開されなかった

 国家戦略室で同会議を担当する日下部聡・内閣審議官は「国の政策を決定する過程で、後になって『足りませんでした』とは言えない。慎重に堅い数値をまとめた。供給不足を導く意図はなく、昨年11月に公表した対応策で、再生可能エネルギーや火力発電の増強を必要な取り組みに挙げた」と説明する。

 一方、国家戦略室の総理補佐チームで再試算に携わった梶山恵司・富士通総研主任研究員は「電力会社の言い分をまとめた極端な前提に基づく試算。その数字が、原発再稼働を容認する政治家らの発言にもつながった。再試算は菅政権末期の混乱で公表できなかったのではないか」と問題視している。

(毎日新聞 2012年1月23日 東京朝刊)


電力「余裕6%」公表せず 政府、不足のみ示す

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012012302000171.html

2012夏 原発なくても電力足りる

 今年夏の電力供給力が最大電力需要に比べ9・2%不足するとした昨年七月公表の政府試算に対し、最大6・0%の余裕があるとの試算が政府内にあったにもかかわらず、公表されていなかったことが二十三日分かった。

 公表された試算は、太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電を盛り込まないなど厳しい想定に基づいており、試算に携わった関係者は極端なケースだけ公表するのはフェアではない」と批判している。

 政府は昨年七月、全国の原発五十四基がすべて停止し、再生可能エネルギーによる供給をほぼゼロとした上で、猛暑だった二〇一〇年夏の需要を前提に試算した数字を公表。

 しかし昨年八月に当時の菅直人首相に報告された試算では、再生可能エネルギーによる供給や、需要逼迫(ひっぱく)時に電気を止める条件で料金を割り引く「需給調整契約」による削減見込みなどを加味し、6・0%の余裕があることが示された。

 さらに2・8%の余裕があるとする中間的な試算も報告されたが、いずれも公表されなかった。

(東京新聞 2012年1月23日 夕刊)

「傍聴締め出し」に抗議したことを「反対派乱入」とはなんだ ?!
-嘘つき経産省と保安院は、大飯原発の再稼動計画をただちに中止せよ!-

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動画】大飯原発再稼動 会議が混乱「日程ありきの会議だ」市民団体が猛抗議.
動画】市民反発のストレステスト審査 大幅に遅れて開始

報告】大飯原発再稼働「ストレステスト聴取会」抗議アクション
(東電前アクション!)
 16時頃、「福島事故緊急会議」が呼びかけた傍聴団が中に入って、「傍聴の締め出しは許さない」と抗議。そして、「ワイロをもらった三人の委員を審査から締め出せ」と要求。……途中機動隊の部隊が経産省前に入ろうとするところを外の抗議団が阻止。二度に渡って機動隊を追い返しましたが、別の玄関から入って行きました。 しかし、傍聴団の毅然とした態度、そして「市民の締め出しを許さない」というごくごく当たり前の主張に、機動隊は手出しすることはできませんでした。
 ……結局、「聴取会」は4時間も遅らせて、経産省別館ではなく本館のほうで急きょ開催されました。しかも、後藤正志さんら二人の委員は「傍聴を認めない審議に参加することはできない」と欠席。……「聴取会」そのものを完全に中止させるまでには至りませんでしたが、「ストレステスト」の正当性を完全にはぎとったという点で、18日の行動は大きな成果を作り出したと言っていいと考えます。大勝利ですよ!
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