三里塚】またか!地元に何の説明もなく突然の第三誘導路「前倒し供用」

NAAがまたしても地元住民には何の通告もなく、第三誘導路の供用開始をマスコミに発表
NAAがまたしても地元住民には何の通告もなく、第三誘導路の供用開始をマスコミに発表

地元に何の説明もなく前倒し供用を発表

現地地図(航空写真) お正月三ヶ日明けの4日、成田空港株式会社(NAA)は、市東さんの自宅のすぐ脇を通る第三誘導路の供用開始を、当初通告していた3月31日から3月7日に前倒し変更すると、突然、そしてこっそりと、マスコミに向けて発表しました。要するに供用一週間前に大規模な現地全国集会が予定されていて、学生さんや年金生活者など、時間に融通がきく老青連合がそのまま残り、そこに交代で休みをとった労働者が合流して、現地行動を展開されるのが恐いから、その前にやってしまえということなわけですが、またしても、最も深刻な影響を被る市東さんや、その他の地元住民にも何の説明もなく、彼らがその事実を知ったのは翌日のマスコミ報道を見てからという有様です。

 こんなことは許せない、というか、国民の義務として許してはならない。結局は国もNAAも、建設当初から何もやり方は変わっていない。その発想はあいかわらずの同意なしの着工、軒先工事、逆らう者には脅しと暴力、札束による甘言、立ち退き以外の交渉にはいっさい応じない、相手に対して人としての礼儀や尊厳などいっさい認めないやり方です。

 こんなやり方を「成功」させたら、この国は本当にダメになってしまう。何がなんでも成田空港は失敗させなくてはならないのです(まあすでに失敗していて税金の投入で延命の夢を見ているだけですが)。まさしく三里塚農民の、そして一億円の札束を前にして「私にとっては一億の札束より、一本100円の安全な大根を作るほうが価値がある」と言った市東さんの「利益」を守りぬくことこそが、イコール本当の意味での「全体」や「公共の利益」を守りぬくことにつながる。沖縄や福島を見てその思いをますます強くしています。

政府や空港会社の謝罪はいったい何だったのか

 かつて、いわゆる「円卓会議」に参加された農民のうち、その一部分は反対同盟(旧熱田派)から別れ、芝山町の相川勝重町長や、何かことあるごとにマスコミから「元反対派」の肩書きで引っ張り出されてはNAA擁護のコメントをすることが役割になってしまった石毛博道氏などを筆頭に、当初からの条件派とはまた毛色の違う「共存派」になったわけで、この方たちによると、誠に手前勝手というか都合のいいことに、自分たちが参加していた時の反対運動は「意義があった」が、自分がやめた後の反対運動は(内容や主張が変わったわけでもないのに)、「意義がないもの」なんだそうです。相川さんも石毛さんも、私の1万倍はエゲツナイ反対運動をしていたわけで、それはよくて、今の私がやっているような「おとなしい」ものはダメだという、本当に都合のいい話なのですが、その理由として彼らがあげているのが、円卓会議において、上で私が書いたような政府・公団の無礼極まりない態度を、明確な言葉をもって農民に謝罪したという、まさにその一点にかかっているのです。だからもう反対するべきでないと。本当にそうでしょうか?

 謝罪するのは結構なことだし当然です。この円卓会議による「話し合い」と事実確認によって、少なくとも強制執行までの歴史的な経緯について、空港推進派・反対派・共存派、そのすべての人々の間で認識の違いはなくなりました。そしてこの客観的な事実認定を基礎にして、政府からの公式な謝罪が行われたわけです。ぼくの村の話という尾瀬あきらさんの漫画がありますが、実はあれは空港反対派に取材して描かれたものではありません。石毛博道氏ら、空港共存派の人たちに全面的に取材して描かれたものであり、あそこで描かれていることが、この時に確立した事実認識です(だから途中で尻切れトンボのまま、いきなり何十年も時間が飛んで円卓会議賛美で終わる)。よくネトウヨさんらが、反対派の立場に立ったものだと勘違いして、この漫画の内容にごちゃごちゃ言ってますが、これは政府を含めた当事者双方が記録を付き合わせてお互いに納得した、確立した歴史なのであり、議論の前提になるものではあっても、今更その前提自体をどうこう言ってひっくり返すようなことにはなりません。いくらネトウヨさんらがこの漫画にケチつけて政府を擁護しようが、当の政府自体が「いえ、この通りですよ」と言ってるんだから、とんだピエロです。

 まあ、100歩譲って、それは結構なことだとしましょうか、でも、謝罪や反省を口にだしたのなら、何より大切なのはそのあとではないでしょうか?(あえてこういう言い方をしますが)敵も味方も含めて、多くの人の人生や命までを左右してしまった取り返しのつかない過ち、そのことを率直に反省も謝罪もし、恩讐を超えて「過去のこと」は許してほしいというのなら、まさに文字通りそこから生まれ変わって見せてもらわなくてはなりません。だって個人ならぬ組織に対してそれを本当に許せるかどうかは「未来のこと」を見て判断するしかないじゃありませんか!

マスコミ向けの卑劣な「ごめんなさい詐欺」

 書き出すともう、ものすごい分量になるので今回ははしょりますが(市東さんの畑や第三誘導路建設の経緯だけでもすごい量になる)、結局NAAがやっていることは、空港建設の当初に公団がやってきたこと、つまり『ぼくの村の話』に描かれていることと、何も変わってないじゃないですか。相手が何一つ変わらないのに、なんでこっちだけが一方的に変わらなくてはいけないんですか?それは厚かましいというもんです。いえ、変わったこともあります。まず、空港会社の首脳陣が、言葉使いが丁寧になって、農民に対する侮辱的な発言がなくなった。マスコミ向けに「農民の立場」に理解を示すようなことを言うようになった。

 けどそんなのただの口先だけだということは、末端のNAA職員の言動を見てればわかりますよ。末端の職員は、むしろ昔の公団なんかよりも反対派農民を見下して、侮蔑的な態度をとっている。おそらく若い職員ほどそうなんじゃないかな。昔の公団職員は、目の前で農民の土地を暴力で取り上げる経緯をみてきたから、それなりの罪悪感はあったと思う。それを「仕事」として割り切って、良心を押さえ込むというか、自分を納得させてきたところがあるでしょう。けど今の職員は昔の経緯とか知らない。だからまたしても、昔やった過ちを再生産し続け、反対派の怒りの火に油を注ぐようなことばかりする。むしろ警察官というか、機動隊のほうが昔よりおとなしくなった。そのせいで、会社の職員のほうが機動隊よりもはるかに態度が悪い。まあ、昔も、臨時雇いの人はかなり酷かったらしいけど、今じゃ正社員らしき人がそうだからね。

 もし、会社の首脳陣が言う「農民への反省と謝罪」がその場しのぎの口先だけでなく本当なら、マスコミのカメラがある場所で体裁のいいことを述べるだけじゃなく、末端の職員も含めて「会社全体の態度」として矛盾がないようにしなけりゃ、かえって逆効果というものでしょう。かつてNAAの黒野社長(当時)は、東峰地区の農民全員に手紙を送り、その中で自分たちがしてきたことを、「人間の尊厳を踏みにじる行為」だったとし、その上で、同じことを「二度と繰り返さない決意」ですという謝罪を行いました。でもこれは全くの口先で、マスコミに対して、「ほら、私たちはこんなに謝っているのに、反対派の人が頑固なんで仕方ないんですよ」というポーズ、謝罪したというアリバイ作りにすぎません。なぜなら、市東さんの農地取り上げ(まさに同じことを「繰り返」している!)の手続きをすすめたNAAの担当者が、裁判の中で、この社長の謝罪文を「新聞報道で見たが読んでいない」と答えているからです。

 言っときますがこの担当者はNAAの用地部長、つまり農民の土地を何とかして会社のために確保するのが仕事なんであって、いわば、一番読まなくてはいけない人だったんです。その当人が「新聞で見ただけ」で「現物は読んでない」と証言してるんです!わかりますか?つまり会社(社長)の名前で農民に出した通知を、その農民と直に接しているセクションの責任者は何も知らされていない、「こういう手紙を出したから、くれぐれも言動には注意するように」とか言うもんでしょう普通は。なのに「新聞で読んだ」だけなのです。要するに、「口先だけ」どころか「新聞に載せるためだけ」に出したんですよ。農民に宛てて書いたもんですらないんです。マスコミに見せるために書いたんです。だから直接の担当者には教育どころかそもそも知らせてさえいないんですよ。「市東さんの農地取り上げに反対する会」のブログでは、「社長が社会的責任をふまえた謝罪文を出したというのに、当該の社員がこれを読まないなんてことがあるでしょうか?」と書かれていますが、これはまさに、そんな真っ当な批判や疑問さえ通用しない、嘘つきNAAの確信犯的な「ごめんなさい詐欺」なんですよ。

綺麗事を言う人より単純な銭の亡者のほうがまだ信用できる

 もし、共存派の人が、政府による地域農民に対する謝罪をもって、「謝罪の前は意義があったが、謝罪のあとは反対してはいけない」というのなら、いったいこういう事態、本当は謝罪なんてしていないということを、どう見るのでしょうか?共存派と推進派の違いはなんでしょうか?今のままで見れば、要するに推進派とは「東京に住んでて金(税金)を動かせる人」であり、共存派とは「成田に住んでて金(税金)をよこせと言う人」、ありていに言って、空港利権派とまで言ったら言い過ぎでしょうか?でも現状ではそんなふうにしか見えません。それは円卓会議に参加した人の中でも、純粋に農家としての情熱や、こんな世の中への疑問に悩んで会議に参加した人は、エコロジーや農本主義的な立場から、今でも反対派を形成している(反対同盟熱田派)のに対し、空港(の存在)に寄生して、多かれ少なかれ「自分のところに税金を引っ張ってこよう」とする人が共存派になっているというふうに、見事にわかれているからです。

 そうならそうとはっきり言ってくれたら別にいいんです。それとも共存派の人たちの、何かしら綺麗な言葉に嘘がないのであれば、たとえ地域社会の「発展」なり将来像に違いがあるとしてもですよ、なんで市東さんら被害者を擁護して、「円卓会議の謝罪はウソだったのか!」の一言が出ないのか。そうしたら共存派の人たちの言葉にも、確かに考え方は違うが、少なくとも嘘はないんだと納得できるんですがね。実際にはありもしない「謝罪」を、NAAと二人三脚で、マスコミ向けのイリュージョンとして演出しているだけじゃありませんか。街宣右翼や「在特会」が(本人たちは独立しているつもりで)正しい意味で「権力の手先」なのと同じように、正しい意味で「NAAの手先」としか言い様がありません。農業を愛しながらも葛藤して出て行ったり、裏も表もなく単純正直な銭勘定で出て行った条件派の人に対するほうが、綺麗事を言わないだけよほど嫌悪感も拒否反応も感じないというものです。

 あーなんか怒りで書き出したら止まらない!今現在この3倍から5倍は書く事が頭にある。でもあんまりダラダラ長文書いても誰も読んでくれないしね。まあ別にそれはそれでいいんだけど、あまりにも誰も読まなさすぎると淋しいし(笑)。うー、すごく書きたいけど、あとは他のエントリにちびちび小分けして書いていきます。
とにかくもう、こんなこと絶対に許さん!

参考リンク

B滑走路西側誘導路及び横堀地区エプロンの供用について(NAAプレスリリース)
成田空港、3月からB滑走路西側誘導路など供用開始 27万回対応で(AviationWire)

第3誘導路の供用前倒し弾劾!(2013年1月5日・反対同盟ブログ)

成田空港会社が4日、3本目の誘導路を3月7日から供用開始すると発表したことが報じられました。3月31日予定としていたのを前倒しするものです。試験走行で市東さん宅のすぐそばを威圧するように通過するジェット機の姿は、市東さんの生活と営農を破壊するものです。供用開始など絶対に許せません。新年デモで怒りを叩きつけましょう。1月13日、新年デモ・旗開きに集まろう!

第3誘導路供用開始を断じて許すな!(関実・三里塚)

市東さん宅から100メートルも離れておらず、市東さんの生活を破壊する爆音と振動、そして臭気をもたらすものだ。2010年6月に行われたこの工事のための環境影響評価の公聴会で、その騒音などの調査が、市東さんや東峰地区の島村さんなどの住民が住んでいないことを前提として行うというとんでもないものだったのだ。ここにも市東さんや東峰地区の住民を追い出すということを狙ったものであることが露骨に示されている。

西側新誘導路などを3月7日に供用開始(成田空港サーバー)

東側誘導路は「無用の長物」となるのでしょうか? この供用開始によって、B滑走路の発着回数がさらに多くなり、B滑走路飛行コース直下の騒音が激しくなることになります。

デタラメにデタラメを重ねるNAA(市東さんの農地取り上げに反対する会)

市東さんが、「祖父の代から一度も耕したことのない土地だ」として当初から位置特定の誤りを問題にしてきた「南台41-9」について、NAAは「請求を放棄する」と言い出したのです。開廷するとすぐに市東さんが立ち上がり、「南台の畑の耕作について、不当耕作だと言われてきたが、結局私が間違っていなかったことを認めるのか。それならNAAに対し謝罪を求める」と怒り込めて発言しました。

成田空港問題円卓会議の主目的は空港拡張だった(公共事業と環境を考える会)
成田空港問題円卓会議は何だったのか?(公共事業と環境を考える会)
成田空港はなぜ建設された(公共事業と環境を考える会)

三里塚反対同盟 旗開き・新年デモ(北原派)

三里塚反対同盟 団結旗開き 新年デモ(北原派)

2012年。反対同盟旗開き(北原派)

●新年デモ
・時間:午前10時30分集合
・場所:市東さん宅南側開拓組合道路
・地図:http://bund.jp/modules/gnavi/index.php?lid=1
・デモ:市東さん方畑(元現闘本部脇)までの往復デモ

●団結旗開き
・時間:午後1時
・会場:レストラン「ハナマサ」
・地図:http://bund.jp/modules/gnavi/index.php?lid=21
    千葉県成田市並木町字大久保台219-304
    TeL:O476-23-2328
・参加費:1人2500円

・主催:三里塚芝山連合空港反対同盟(事務局長・北原鉱治)
 http://www.sanrizuka-doumei.jp/home/
 E-mail otayori@sanrizuka-doumei.jp

反対同盟 旗開き・東峰現地行動(熱田派)

三里塚反対同盟 団結旗開き 東峰現地行動(旧熱田派)

2012年。反対同盟旗開き(熱田派)

●反対同盟・旗開き
・主催:三里塚芝山連合空港反対同盟(世話人:柳川秀夫)
・日時:2013年1月13日(日)、正午
 集合:11時00分 京成東成田駅地上 迎えの車待機
・場所:横堀農業研修センター(0479-78-0100)
    http://bund.jp/modules/gnavi/index.php?lid=5
・参加費:1000円
・会場へのアクセス:
 京成上野(9:28発特急)→京成成田(10:35着)
 →普通(芝山千代田行き)乗り換え(10:46発)→東成田(10:52着)

・連絡先:三里塚芝山連合空港反対同盟、大地共有委員会(Ⅱ)
      千葉県山武郡芝山町香山新田90-5
      電話:FAX0479-78-8101

●東峰現地行動・デモ
・主催:三里塚空港に反対する連絡会
・日時:1月13日(日)、午後2時
・場所:旧東峰共同出荷場跡~開拓道路コースのデモ
    http://bund.jp/modules/gnavi/index.php?lid=20
    反対同盟旗開き終了後、東峰出荷場跡地に移動

・連絡先:千葉県山武郡芝山町香山新田90-5
 電話:FAX0479-78-8101

ここまで読んでいただいてありがとうございます!

この記事への質問・一言コメントをどうぞ AIコースケと議論しよう!

AIの回答は、必ずしも正確とは限りません。回答は執筆者の見解と一致しない場合もあります。
回答には文字数制限があるため、制限を超えると途中で打ち切られることがあります。
[広告:これは旗旗の継続を助けています]