アムネスティもファルージャ市民の犠牲に懸念を表明


世界最大の人権団体の一つで、ノーベル平和賞を受賞しているアムネスティ・インターナショナル国際事務局が、ファルージャの情勢に関して「米国軍による無差別で過剰な攻撃の結果、民間人が犠牲になる可能性があることを危惧している」とのコメントを発表しました。以下、アムネスティ日本支部が翻訳したコメントの全文を転載したものです。

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アムネスティ発表国際ニュース
AI INDEX: MDE14/054/2004 2004年11月4日
イラク/ファルージャ:一般市民の保護を保証しなければならない
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米およびイラク軍が、ファルージャでの支配を強化するために総攻撃を準備しているという情報が増えている中、アムネスティ・インターナショナルは、両国政府に国際人権法および人道法を遵守するよう求める。同様に、ファルージャで活動する武装集団に対しても、国際法を遵守するよう呼びかける。

過去数カ月間に行なわれた、ファルージャやその他の都市での米およびイラク軍による軍事行動は、多くの民間人の生命と財産を犠牲にする結果となっている。アムネスティは、これらの犠牲の多くが無差別で過剰な攻撃によるものであることを憂慮している。

アムネスティは、米国政府およびイラク暫定政府はいかなる時にも、両国が批准している国際人権法および人道法、また、すべての国家に適用される国際慣習法を遵守する義務があることを強く訴える。

米国およびイラク暫定政府は、両軍に対し以下を明確に指示するべきである。

・民間人または民用物に対する、あらゆる直接攻撃の禁止(報復攻撃も含む)
・軍事目標と民間人または民用物を区別しない攻撃(無差別攻撃)の禁止
・正当な軍事目標に対する場合であっても、民間人または民用物に過剰な影響を与えるような攻撃の禁止
・ 民間人の生存に不可欠な物に対する攻撃の禁止
・本質的に無差別な兵器による攻撃の禁止
・捕虜、負傷者および降伏した人びとを人道的に取り扱うこと。捕虜を殺害したり、人質としたり、拷問したり、また、とりわけ侮辱し品位を傷つけるなど、個人の尊厳を踏みにじるような取扱いを決して行なってはならない
・民間人が集中する地域にある軍事目標を探し出さないなど、軍事作戦による危険から民間人を保護するため、あらゆる手段を講じること
・すべての戦争法違反を罰し、加害者が裁かれるよう保障すること

アムネスティは、ジュネーブ条約諸規定に則り、軍事作戦中およびそれ以降に拘束されたすべての人を、例外なく、その権利を十分尊重して人道的に取り扱わなければならないことを強調する。誰一人として、取調べを目的としてイラク国外へ連行されてはならない。また、拘束された人びとに対して威圧的な取り調べが行なわれてはならない。犯罪容疑のある被拘禁者は、中立の管轄裁判所によって裁かれなければならない。その審理は公正に関する国際基準に合致し、死刑やその他の残虐で非人道的な品位を傷つける刑罰が科されてはならない。

アムネスティは、ファルージャの武装勢力司令官に対し、所属する兵士に同様の指令を発するよう求める。

・人間の盾など、民間人や被拘禁者といった非戦闘員を軍事作戦に用いることの禁止
・戦闘への協力を望まない民間人が、協力拒否を理由にその権利を侵害されることのないようにすること
・民間人の居住地域に、意図的に戦闘員や兵器を配置することの禁止
・人質をとる行為の禁止
・捕虜の拷問、四肢切断、残虐な取扱い、侮辱、処刑の禁止
・負傷者および病人を収容し、治療を保証すること
・一切妨害することなく、赤十字国際委員会といった人道機関に捕虜との面会を許可すること
・民間人に対して国内外の人道組織が人道物資を供給することを許可すること
・国際人道法に違反した兵士を公に非難し、そのような人権侵害が再発する危れがある状況から、容疑者たる兵士を速やかに排除すること

(背景)

数カ月にわたり、ファルージャはほぼ毎日、米軍による空爆の標的にされてきた。2004年3月に米国籍の警備員を殺害した加害者を捜索するため、同年4月5日、米国海兵隊はファルージャでの軍事作戦を開始した。この地域での戦闘は数日間続き、停戦合意が成立した。しかしその後も、米軍が撤退し、イラク軍がファルージャを支配下に置くまでの数週間、散発的な戦闘が続いた。病院や医療機関によれば、少なくとも600人が戦闘で死亡し、少なくともその半数は子どもを含む一般市民だった。

比較的平穏な時期があったが、その後、ヨルダン国籍のアブ・ムザフ・ザルカウィが指揮しているとされるタウィド・ワル・ジハードのメンバーを含む反政府勢力の「安全な家」を標的とする空爆が、事実上再開された。ザルカウィは、複数の無差別の自爆攻撃と人質事件の犯行声明を出した人物である。7月、病院関係者は子どもを含む14人が空爆によって死亡したと述べた。

8月から10月にかけて空爆が続いた。3人の子どもを含む少なくとも17人が9月始めに殺害されたという。9月25日とその後の空爆につき、AFP通信社はある医者の発言を引用した。「空爆は『ファルージャのジョラン地区で抵抗しているテロリスト』を標的にしていると米軍は発表しているが、私たちは女性、子どもを含む7人の遺体と11人の負傷者を収容した」。10月8日の空爆では11人が死亡し、17人が負傷したと伝えられている。米軍はこの空爆をザルカウィの隠れ場所を狙った『精密な攻撃』であるとしたが、医者や住民によると、その攻撃は結婚式が終わった後の住宅に命中したという。10月20日には、市街地を狙った空爆で両親と子ども4人が死亡したと言われている。

アムネスティは、米国軍による無差別で過剰な攻撃の結果、民間人が犠牲になる可能性があることを危惧している。

上記のニュースリリースの原文(英語)

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1件のコメント

アムネスティが米国および暫定政府への要請行動をよびかけ
現在ファルージャで続いている戦闘において、市民と戦闘員を保護する戦争法が反故にされていることを、アムネスティ・インターナショナルは深く憂慮している。米およびイラ…

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