「連帯を求めて孤立を恐れず」
元反戦高協さん、レスいただいたこと、とてもありがたく、また嬉しく思います。
考えてみれば当たり前のことなのですが、赤ヘル3派系で闘った人にもいろいろな方がいるように、中核派(系)にも多様な人がいるのですね。
ご質問いただいた件につきましては、本文の中で少しだけ述べておりますが、私としては、これは左翼運動全体の問題であるという見解を持っており、「党派政治」だけの問題ではないし、ましてや中核派だけの問題ではないので、あまり特定党派の問題に矮小化していきたくないと考えています。元反戦高協さんの質問がなければ、以下のような話を書くことは決してなかったと思いますし、この問題については、戦旗派だって決して中核のことを、大きな顔をして批判できないのはご存知の通りです。その点で私はインター(系)の方々の「内ゲバ主義者の大衆運動からの排除」という路線とは異なります。詳しくはこちらのエントリーをご覧ください。私はこのエントリーで言われている「一元論」の立場に立っています。
さて、以上を前提として、元反戦高協さんのおっしゃる「実例」について答えていきたいと思います。
私としては、一応の実例として「共同声明サイト」の記述をリンクしておいたのですが、納得されておられないようなので、私が現実に身近で接した例をあげておきます。
「某大学」としておきますが、中核派のいわゆる外人部隊が情宣にやってきました。分裂直後のことです。で、その大学に在籍したいた私達と行動を共にする仲間の一人が、ビラをまいていた中核派の学生の一人に「三里塚が分裂するのは良くないのではないか」と話しかけたわけです。すると中核派の学生達はどうしたと思います?
彼らは討論することも話し合うこともなく、いきなり校舎内の廊下に大勢でこの仲間を拉致し、防火扉を閉めて監禁した上、数名で数時間にわたる暴行を加えました。密室で大勢から暴行を加えられて怪我をし、正常な判断能力がなくなったところで、解放の条件として「熱田派が裏切り者だとは知らなかった。今後いっさい学内で活動しない」という「自己批判文」を書かせて署名させたのです。
彼は「自己批判」を書いて(書かされて)しまったという負い目と恐怖から、このことをしばらく黙っていましたが、顔にいくつも殴られたとおぼしき怪我をしていることを強く問いただしたところ、やっと事実を話してくれました。それほどの恐怖だったわけです。
はっきり言って「たかがこの程度のこと」、分裂当時の学生戦線では、さして珍しいことではなかったです。それはインターと同じ大学で活動していた、当時の学生なら知っているはずです。とりわけインターへのテロが「解禁」されてからは、インターの活動家が学内を歩いている所を発見されるだけで、徹底的にマークし、暴行を加えられ、学内ではいっさい活動ができないように暴力をもって排除され、中核派系以外のいっさいの運動はパージされました。うちの大学に来た外人部隊は、同じ北原派系の解放派(狭間)とさえ、「お前らは学内から出て行け」とつかみ合いの喧嘩をしていました。こんなんで、運動が発展するとも思えませんし、そんな運動に人民が自己の未来を託するとも思えません。
その他にも、まだ分裂問題など影も形もないころですが、私達が成田駅前(だったと思う)で、三里塚二期阻止の署名をとっていると、中核派の学生部隊がやってきて、私達一人に一人づつ貼り付いて、署名の妨害をはじめたのです。私達が通行人に署名を求めて、その方が署名をしようとすると、私に貼り付いている中核の学生が私を突き飛ばして(たとえでなく本気で思い切り突き飛ばされました)、きょとんとしているその通行人の前に自分の署名用紙を突き出し、「署名はこちらです」と言いながら、その方へのオルグをはじめるわけです。そういうことが2,3回も続いたので、私は中核の学生さんに「そういうことは良くないんじゃないか」と言いました。だって大衆から見て、非常にみっともないんですもん。すると、長髪のアフロヘアーに丸いサングラス、「中核」と書かれたヘルメット姿といういでたちのその学生さんは、「なんだと、こら。貴様!革共同に敵対すんのか!」って、署名しようとしている大衆の前で言い放ったわけですよ。もう論理も糞もありません。
あれはねえ、そう言えばこちらがビビると確信した言い方だったと今でも思います。きっと学内では他勢力をそうして脅して効果をあげてるんだろうと、私は思っちゃったわけです。そう思うと私も頭に血が昇って、「この、左翼の風上にもおけない腐れ外道め!」と思ってしまい(思っただけね。笑)、場合によっちゃ殴ってやろうかと考えて、一歩前にふみだしたわけです。幸か不幸か、回りの仲間が飛んできて、私の手や肩を押さえて引きずり、そいつから引き離してくれたんで大事にはいたりませんでしたけれども。
その後ですか?私は仲間を振り切って、再び近づくと、今度は中核の彼ではなく、一度は署名しようとしながら、完全にビビっているその大衆(女性だったと思う)に向かって「署名用紙は同じですから、是非、署名だけはしてください」と声をかけて引き返してきました。中核の彼は一瞬、きょとんとした「理解不能」の顔をしてから、それでもうなづいて署名してもらっていました。彼の心の中に、何かが残っていればと祈るのですが・・・。
他にも「小さな」ことを言えば、ステッカーやポスターを貼る時、他にいくらでもスペースがあるのに、必ず自分達以外の団体のステッカーの上に貼って、大衆から見えないように隠すとかね。やってるほうは何とも思ってないと思う。しかし、やられてみればわかるけれども、あれはめちゃくくちゃに悔しい。本当に自分は中核でなくて良かったとさえ思う。同時に、「当時のまんまの中核派」が権力を奪取した世の中になど、普通の人民はとうてい住めないだろうと思いますよ。
かなりおとなしい、ちっちゃな話ばかり書きましたが、だいたい当時(今も?)の学生戦線の人たちが、中核派をどんな目で見ていたかは伝わると思います。そういうノンセクトだって、私達が情宣をすると「学外団体の活動は認めない」と恫喝していたわけですが、同じく学外団体であるはずの中核の外人部隊が情宣に来ると、みんな自治会室に鍵をかけてたてこもって震えているわけです。結局は、中核の支部が存在する大学では、中核(系)以外の運動は衰退・滅亡していき、かと言ってそのぶん中核(系)が増えるわけでもなく、もし中核が消えてしまおうもんなら、後は草木も生えない学生運動不毛の地と化してしまうわけです。
以上は私の経験です。他の方の経験が必要であれば、いくらでもエゲツない話を集めてきます。そういうエグイ体験をした人が、私の「身の危険」を案ずるのは、決して「ネットウヨのデマに類すること」ではありません。が、、そんなことを「今」言いつのっても、何か積極的な意味があるでしょうかね。もう一度言いますが、私の個人的な経験における中核派、解放派、巨大ノンセクト、はては民青に対してさえ、過去のわだかまりはすべて捨て、白紙の状態で対話したいと考えています。
もう寝ないとやばいので、「植民地」という表現の意味するところは何かという質問には、明日(?)回答することにします。
●関連リンク
◇党のあり方って何だろう?(アッテンボロー)
◇全三里塚勢力の対話と団結を求めます(旗旗)
◇元反戦高協さんへのレス(1(旗旗)
◇年中行事、あるいはアホのひとつ覚え(despera)
◇「共同声明全記録あとがき」(鹿島拾市)
◇小林さんの文章を手掛かりに- 戦旗派体験総括への道(1)
◇「規約」の思い出(三里塚など)
◇蔵田さんの回答書への読書感想文
◇つうかあんたらまだコミュニストなの?
あけましておめでとうございます(遅) 駄Blog管理人のRRです。今年もニュースや教科書は教えちゃくれない、物事の裏側とか歴史とか、いろいろな知識を吸収できる事を楽しみにしております。草加さんの文章は整理されてて、なおかつ膨大で、活字中毒な自分としては楽しみにしてここに来させてもらっています。最近は雪とか寒波とかで大変ですが、お体に気をつけてご活躍ください。それでは☆
ちなみに故人であるうちの親父も学生運動やってて、うちにも公安のデカさんとか来てたりしたそーです(商売やってて寝泊りするところもあったので仲間で集まってたそーです)。草加さんの暴露話を読むと「へえ、あのうちの親父がこんな世界にいたんだなあ」と、興味津々で読みふけってしまいます。あまりヤバい話を出すと草加さんの身も心配ですが、そこまでいかないぐらいのお話なら楽しみにしています☆
関西も、ひどかったですよ。あたしは、今も、中指が動きません。
草加さんの仰る「小さな」類の事件は、
いまでも嫌ほどよくあるはなしです。
中核派党員もそんなやつらばかりではなく、
私の印象では、労働現場などでこつこつ
地道な活動をしている人はとてもいい人です。
草加さん、長大なレスありがとう(と言うかありがた迷惑ですが…)
実例と言うより、こんな事よくある話ではないでしょうか。政治党派に限らず人の特定集団は外部に対して攻撃的であり、防衛的であるし、同じ作用は集団内部にも作用します(一般論ですが)…まあ左翼の場合、理性とかが作用し、理不尽な、あるいは反人権な暴力の行使に批判する手前、自らをあえてそのような暴力の行使を積極的に言わない。積極的に言う場合それは必ず政治的位置付けがなされていると言うことでしょう。このあたりの議論も、消耗な各種内ゲバ議論で観念議論として再三再四言い使われておりますが…
で、このような議論は意味がない、と言うより建設的ではないと言うことは草加さんご自身はよく認識されておられるはずだと思います。また、このような問題の多くは”程度の問題”といっても差し支えないことでしょう。程度の問題とは、基本的に集団関係の矛盾が暴力的形態となるもの、政治の延長であると思うからです。
さて、左翼の場合一般的に言って政治の問題とは、それを対国家権力との関係を基礎にしておくべき課題でしょう。例えば敵対党派との関係を位置付けた時、敵対の度合いにおいて対応が異なるのもその時の政治情勢であり、そこにおける政治的判断でしょう。三里塚闘争はその意味で国家権力との関係が極度の高まりを見せ、引くか、引かないかと言う闘争の瀬戸際まで国家権力に”強制”される、と言うのが3・8分裂だったのではないかと思います(ここでいきなり3・8分裂ですが)。
反対同盟は分裂・脱落を生みつつこの国家権力の策動を粉砕し現在に至っております。ですから問題は基本的には国家権力との問題であり、例えば二重対峙という戦略設定も、第一が国家権力との関係だと言うことです。つまり当たり前のことですが、対カクマル戦も国家権力との関係下で捉えることであると言うことです。
もしも草加さんが言われる、左翼大連合構想もこの国家権力との関係で考えるべきであると思います。私自身左翼大連合はあまり積極的ではないのですが、現実の運動局面で結果的に”大連合”ができれば、そこから意識的に党派連合を考えることはやぶさかではないのです。
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RRさん>
おひさしぶりです。あいかわらず元気そうでなによりです。
このエントリーの一部をご自分のブログに引用しておられるようですね。確かに私が書いたとおりに引用されておられますし、それにどういう意見や感想を持たれるかは自由です。第一、私だって人の意見を引用することだって多々ありますからね。RRさんを非難することはできません。
けど、やはり過去の中核派の行動に論及した私の文章が、現在の中核派の大衆運動への不信感を増幅するような文章に引用されてしまったことは忸怩たる思いがします。質問されたので止む無く書きましたが、こういうことがあるから本当は書きたくなかった。
ここに書いたような80年代後半から90年代前半までの中核派の「恐怖支配」の拡大は、かなり学生戦線と三里塚闘争に限定されていたことを、最近になって知りました。もちろん、こういうことを擁護する気はさらさらありませんが、それでも労働戦線などの中核派活動家は、かなり柔軟で人の意見にも耳を傾ける、要するに普通の人が多いことも書き添えておきます。
元祖趣味者さん>
>あたしは、今も、中指が動きません。
うわ、それは酷いですね。権力にやられた傷なら、決して後悔も暗い思いもなく思い出せるんでしょうが。私は幸いにも肉体的な攻撃は受けたことがありません。そうさせないように努力していました。怖いとかではなくて、もし、そういう内ゲバ事件が発生してしまったら、その後の学内大衆運動総体が死滅に向かうしかないという認識があったからです。
一度は学内で企画した反権力の集会を中止に追い込まれました。内ゲバを回避するためでしたが、本当はたとえ襲撃されようとも受けて立ちたかった!人数的にもこちらは相手の3倍はいましたから、もし激突していても負けることはなかったと思います。それでもこちらが一方的に引きました。なめきった尊大な態度であらわれた彼らは(今にして思い出せば)こちらの人数を見て顔をひきつらせていました。こっちが「集会は中止した」と告げると、「ああ、そう、それならいいんだ」と慌てて引き上げていきましたっけ。
「運動の大義を内ゲバで汚さないため」と必死の思いでこらえましたが、本当に悔しくて、いくら我慢してもボロボロと涙がこぼれて止まりませんでした。今思い出しても、怒りで体が震えて奥歯がガチガチなるくらいです。私はこのブログで何回もこういう過去のことを「赦す」と表明していますが、それがどんなに困難なことだったか!!共産党を含む彼らはそれがちっともわかっていないのです。
きっと、襲撃者のほうは「これくらい小さなこと」と思って、たいして憶えてもいないんでしょうね。本当に私のしている「対話の呼びかけ」なんてのは、むなしい努力なのかと悲しくなります。
だめおとこさん>
>草加さんの仰る「小さな」類の事件は、いまでも嫌ほどよくあるはなしです。
>中核派党員もそんなやつらばかりではなく、私の印象では、労働現場などでこつこつ地道な活動をしている人はとてもいい人です。
いつも反WTO関連の情報投稿ありがとうございます。
とりわけ左翼の活動家が「いい人」なのは当然ですよね。この右翼一色のご時世で、しかも自分にはまったくなんの得もない活動を、正義感から生活と体を削って続けておられるのですから。それはどこの党派でもそうでしょう。かつて内部にいてそれがわかっているからこそ、ますます悲しくなるし、何とかしたいと思うのですよ。
元反戦高協さんにはまた別エントリーにて。
>草加さん
>かなり学生戦線と三里塚闘争に限定されていたことを
了解しました。書き加えておきますねー。