リビング新聞の家計診断コーナーにキレる

「家計はどこへ」フィリピンの風刺画

はじめに

 実は今、私の職場では、「サンケイリビング新聞」の「家計簿診断」というコーナーが、ちょっとしたブームになっております。で、今回のエントリーは、私の職場の「パートのおばちゃん」達が、リビング新聞を読みながら大きな声で話していた内容を、左翼的に翻訳してみようという試みであります。さらに、その文章形式を、2ちゃんねるで一般に『吉牛コピペ』とか『小一時間問い詰めたい』とか呼ばれているテンプレートに当てはめて作りました(これが一番しっくりきたので)。

本文ここから…吉牛コピペ

 そんな事より1よ、ちょいと聞いてくれよ。スレとあんま関係ないけどさ。
 「リビング新聞」って知ってる?産経が出してるフリーペーバーなんだけどさ、そこに「家計診断」っていう相談コーナーがあるわけよ、で、このあいだ、それを読んでみたんです。
 そしたらなんか、毎回、新聞を破って踏みつけたいようなアホな「相談」が一杯あるんです。
 で、先日読んだやつには、夫月収60万、妻月収25万、子供二人の夫婦からの相談で、必要なものを買うとお金が残らないので「どうすれば貯金ができるようになるでしょうか?」とか書いてあるんです。

 もうね、アホかと。馬鹿かと。

 お前らな、月収が85万円ないと買えない「必要なもの」っていったい何なんだよ、ボケが。
 世の中には、その「妻月収」の25万以下の収入で、一家4人が立派に生活している家なんて普通にあるんだよ。15万とか18万とかで暮らしている家だって、ちっとも珍しくなんてないんだよ。そんな家でも、将来の子供の教育費とか言って、ちゃんと毎月コツコツ貯金してたりしてるんだよ。
 サンケイ側の相談員も相談員で、こんなアホな質問に「資産運用という観点が必要です」とか言いながら、大真面目に答えてやんの。おめでてーな。
 そんなに貯金したけりゃ、「妻月収25万」だけで生活して、「夫月収60万」を全額貯金すればいいじゃねえか。相談の回答、一行で終わりだよ。

 また、別の日の相談には、夫月収80万円の妻から「老後を考えると将来が不安です」とか書いてあるんです。
 もう死ねと。夫が月に80万稼いでも遣り繰りできないような人に、どんなアドバイスしても無駄だろうと。もう諦めて野たれ死んでしまえと。

 で、たまにはまともそうな相談もあるんです。夫月収15万、妻月収10万で、妻が出産のために一時的に仕事を辞める予定だから家計が心配とかね。これなら理解できる。相談したい気持ちもわかる・・・とか思っていたら、この夫婦、夫のこづかいが月5千円なのに、自動車の維持費関係で月に3万も使っているんです。生命保険にも月2万5千も使っている。
 お前ら実は、「家計が苦しい」つーよりは、下層労働者階級なのに「中流」のふりをしたい、自分が「中流」だと思い込みたいだけじゃないのか、と問い詰めたい。
 小1時間問い詰めたい。

 お前ら貧乏人だろうが、下層階級だろうが、資本主義社会のすべての富を作り出している労働者階級の誇りを忘れたのか、貧乏人のくせに車なんか持つから苦しいんだよ、保険だって、労働者階級は全労災なんかの医療保険が基本なんだよ、「家計が苦しい」なら、団結して搾取された分を資本家から取り返せや、ボケが。

 こういうやつらばっかりだとしたら、そりゃ小泉が支持されんのも無理ないわな。
 そうやって「左翼の主張なんて、現実性がないよネー(☆´・ェ・)(・ェ・`★)ネー」とか言いながら、ホリエモンだの村上タイガースだの、上ばっかり見て暮らしとけ。現実性があるかないかは、単なる力関係の問題。さんざん長時間・低賃金・不安定雇用で働かされて、それでも政府を支持しときながら、最後は「貧乏なのは自己責任じゃ、国家や資本家にたかる怠け者共め」とか言われて捨てられてんだよ。
 それでも支持し続けるってか?どんな貧乏人泣かせの政策でも国家のために「痛みに耐える」ってか?マゾだな、おまえら。

 元左翼崩れの俺から言わせてもらえば今、貧乏人のとるべき道はやっぱり、
 労働者階級の団結、これだね。
 これを「古い」とか「抵抗勢力」とか思いこまされている段階で、もう貧乏人の負け。
 繰り返すが、「現実的」かどうかは力関係の問題にすぎない。

 ひょっとして自分が「上」の仲間だと思ってないか?規制緩和・自己責任・機会の平等とかの「呪文」を唱えていれば、いつか自分にも「運」が向いて、大金がころがりこんで「上」の仲間になる機会があるかも~、とか思ってないか?そこまでアホでなくとも「上」の人々を支持して、「国家」に自己を投影しちゃったりしてないか?それで自分よりさらに「下」の人々を差別したり見下したり排外したりして安心しちゃったりしてないか?

 実は「上」と「下」は利害が対立する。で、実はこの世の富は、全部「下」が生産してる。これが通の認識。
 だから「下(労働者階級)」同士で団結して「上」と闘う。これ。
 で、それを会社単位の組合だの、正社員と臨時雇いだの、既存組織の枠だの、国ごとの個別利害だのを超えて、国際的な「階級利害」でつなぐ。これ最強。

 これをどうやって実現するかって?本当にしごく簡単。想像力を働かせる方向を、「上」じゃなくて「下」を見るようにする。これだけ。
 正社員は臨時雇いのパートや日雇い労働者を、普通の貧乏人(自称:中流)は言い訳無用の本物の貧乏人を、本物の貧乏人は最下層の貧乏人を、最下層の貧乏人はホームレスの野宿労働者を、日本国籍の市民は在日外国人を、一般地域の人は被差別部落の人を、戦争のない国に住んでいる人はイラクやパレスチナの人々を、それぞれ自分「だけ」の利害を離れて想像力を働かせ、全力をあげてしっかり守る。で、それが結局は回りまわって自分に返ってくる。
 なんのことはねえ。昔から言われている「情けは人のためならず」ってこった。そんな人として当たり前の人情を「古い」と侮蔑すんのが、「新自由主義」の本質だと俺は思うねえ。

 しかしねえ、右翼ばかりじゃなくて、左翼もねえ、こういう当たり前の精神を忘れて、何だかわかんないヘンチクリンな「理論」を組み立てては、常識はずれの結論ばかり出してきたからねえ。決して「新自由主義」だのなんだのを笑えないってこったね。もう、今さらこういう大衆運動を左翼が旗ふってみても、大衆は不信を持つばかりで拒否するという、諸刃の剣。いっそ左翼組織なんていないほうが・・・なんて思うこともある今日この頃ってわけだな。

 まあ、あんまり「票」にはならないだろう(選挙で革命はできません)から、議会主義・正規組合員主義の既成野党さんにはお薦め出来ない。
 まあ遠回りに見えても、そういう方向に脱皮しない限り、どんどん衰退していきなさいってこった。

本文ここまで…ですが

 やはり「格差社会」なんですかねえ・・・。
 ま、資本主義が格差社会なのは当たり前です。ここで成功するためには、「投資」という方法もありますが、基本的には「自分以外の誰かを働かせて、その誰かが生み出した富を搾取する」ことがどうしても必要です。「投資」だって、この搾取した富を流通させているに過ぎないわけですね。

 そこにおける資本主義国家の政府の役割は、かつては露骨にこの「搾取する側」の利害を守ることでしたが、それでは階級対立が激しくなって、資本主義そのものが崩壊してしまう。そこで現代ではむしろ、「搾取される側」が我慢できる範囲に資本主義を安定運用する(国家独占資本主義政策)ことが中心です。これを社民勢力は「福祉国家」とか呼んで賛美していましたが、そんな人はあらゆる意味で左翼でも社会主義者でもありません。

 で、「新自由主義」というのは、この国家独占資本主義政策を「社会主義だ!」とか、わけわからんこと言ってた人(たとえば竹村健一さんとか小室直樹さんとか一昔前の人々)が源流だと私などは思っておるわけです。最近でこそ、こういうわけわからん不正確なことを言う人はほとんどいませんが、80年代には結構いました。それで要するに、社会全体を、もう一度「搾取する側」が自由気ままにふるまえる方向に舵を切り直していくという主張ですね。「搾取される側」が我慢できる範囲に資本主義を調整するため、生み出された富を少しは還元したり、露骨で横暴な搾取に規制を加えて「ソフトな搾取」にとどめるための政策を廃止してしまえというわけです。当然に格差は拡大します。

 こういう「新自由主義」の根拠は、「市場原理にまかせて放任すれば、すべてはうまくいく」という信仰です。私から言わせれば、これは昔の社会党左派に顕著だった「社会主義になればすべてはうまくいく」という信仰と大して変わらん。左右の二大宗教としか言いようがないもんです。「他人のふり見てわがふり直せ」と申しますよ。お互いにね!

 今のところ、統計数字に劇的な変化が表れるほどにはなってないようですが、「景気が回復している」と言われ、それを「証明」するかのような変化が現れていながら、一方で、当のサンケイリビングのアンケートでは、「家計は以前より苦しくなった」という人がいまだに増えていると言います。つまり「格差社会」は一般市民レベルで言えば、今のところ「体感的」なもののようです。「格差社会の方向に向かって進んでいる」くらいが正確な表現かもしれません。
 しかし、カツカツの生活をしている一般市民にとって、たとえ「体感的」なものでも、死活問題になりかねないのは言うまでもありませんが。

参考(トラックバック先など)

「格差社会」を普通に考察してる系

「格差社会」5~勝ち組・負け組~ (僕らから時事放談)
小泉首相「格差は悪いことではない」発言(アンカーポートは怪しいのか?)
格差社会(日本連邦)
会社員に想う~辞めたいときもあるさ(想い出横丁)
格差社会(ハイカラハクチ)
ますます格差社会になるんでしょうか(Yoh cool!! Diary)
格差社会(流水)
「格差社会」についての毎日新聞の論点(飯大蔵の言いたいこと)
格差と貧困(常世国往還記)

「格差のどこが悪い」または「格差なんてない」系

格差社会というけれど(ねこまんま)
SAPIO新ゴーマニズム宣言(雑誌いろいろ雑感いろいろ)
格差社会とグローバルスタンダード(青い炎の日記)
正社員が減って、派遣・請負が増えるのは悪いことか?(つらつらブログってみます)

いわゆる「ニート」「フリーター」の方々のつぶやき

中高年フリーター、か・・・(崖っぷちニートのこれから)
格差社会・3(コウイチブログ)
私の行く末かな?(気まぐれでもいいじゃない)

「格差社会」糾弾!系

ざっと捜してみたけど、「ホームレス問題」「グローバル化」などの個別課題をのぞけば、格差社会全般への批判は一件も見つからなかった。まだまだ平和な段階ですねえ(笑)。

小泉後継に関しても、自民党内ではこれまでのような「小泉改革断固継続!」みたいな過激派よりも、小泉改革での格差やひずみ、しわ寄せを緩和するような穏健な人を選んで、しばらく調整しようという空気が強まっているらしい。まったくこれだから自民党は手ごわい。すぐに皆だまされてしまう。民主党の出る幕などありゃしない。

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6件のコメント

こんちはー、ネット右翼でございます。
いや、笑わせてもらいました。草加さんに改変ネタの才能があるとは新たな発見であります。よければ続編も希望(笑

>RRさん
あ、どもども。恐縮です。続編ですか?まあ、あまり挑発的なことは書きたくないけど、たまにはいいかって感じで、そのうちに:mrgreen:

 すばらしいです、こんなすばらしい吉野家コピペを見たのははじめてです(笑)。
 やはり、原則的な左翼でいることは正しい。資本主義の続く限り、左翼的批判は基本的に正しいことを確認させてもらいました。

えーと、皮肉なのか本気なのか(笑)
どう考えても皮肉のように思えるんですが、万が一本気でしたら失礼ですので、お礼申し上げておきます。

つーか!あたしゃどう考えても「原則的な左翼」ではないんですが、何か?(笑)

教育基本法改悪や共謀罪だけでは無い-「死」の領域にも「格差社会」の論理が?「脳死」・臓器移植、「尊厳死」について
今国会は教育基本法改定案をはじめ、入管法改定案や「共謀罪」の法制化、医療福祉制度「改革」など、まあ「悪法」のオンパレードの感がありますが、私は以下で触れる人の「命」「死」を巡る議論の行方にも非常に注目しています。

【「脳死」・臓器移植の問題】

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