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五、八六年階級闘争の政治的獲得目標
以上述べてきた政治的組織的な総括点をふまえて、次に八六年階級闘争の闘い方につき、ガイストとなるべきことをまとめたい。
まずわれわれが到達すべき政治的地平としてめざすものを明確化させるなら、第一に八五年成田用水攻防においてその契機をつかみとったといえる、政治の手段として暴力と戦争を駆使しえる組織体にまでの自己止揚の追及である。
われわれはこれまでも戦争論・暴力論の主体化作業において、戦争の「目標」と「戦争」の目的の概念を区別し、戦争の目標は戦争自身の法則に従う、つまり「敵の完全な打倒」と「敵戦闘力の撃滅」にあるが、戦争の目的は「相手に我が方の意志を強要する」ことにあり、軍事行動の目標として措定される前者は、後者の実現のための手段の位置にたつことを対象化してきた。
つまり直接の戦闘行為においては、敵の防御を完全に無力ならしめねばならず、この目標を実現することが軍事行動の課題となるわけだが、それは政治目的の達成のための手段として位置し、相手に自らの意志を強要することが窮極の目的である。その場合、戦争目的において「敵の完全な打倒をめざす」戦争=絶対的戦争こそが、論理上措定される戦争の原基的在り方であり、プロレタリア階級闘争はブルジョア階級の打倒をめざし、ブルジョア社会の根底的転覆をはかる意味においては、「絶対的戦争」として闘いぬかれるべき性格を有しているのである。
これらの命題は、ただ学習されるというだけでなく、主体化され、政治に内在化されることが必要であり、「武器をもってする政治の継続」として戦争や暴力を行使すること、つまり大衆的実力闘争やゲリラ・パルチザン戦闘を政治目的を達成するための手段として駆使しえるようになることこそめざされるべき地平である。
八五年階級攻防においては、成田用水闘争の組織化において、わが同盟はこの論理を物質化することを志向し、9・29辺田大会戦では徹底抗戦し、権力機動隊をせん滅することを軍事行動の目標とした戦闘を実現しつつ、この9・29の切り拓いた地平を熱田派反対同盟に持ち込み、熱田派全体を用水粉砕闘争に巻き込むことを追求し、それに勝利した。
八六年階級攻防の課題としていえることは、この命題の更なる徹底化をはかり、大衆的実力闘争やゲリラ・パルチザン戦闘を、自己満足的なものに押しとどめてしまうのではなく、大衆動員や組織結集、政治展開の環として活用し、わが同盟のプレゼンスを高め、政治的ポジションを形成する手段として駆使しぬくことである。それを可能とする政治的器量を身につけた組織主体にまで高まっていくこと、これが必要なのだ。
八五年の勝利は、この点ではまだ全く端緒的な位置にたつものでしかない。暴力を政治の手段として駆使するためには、その行使に耐え抜く思想的確信を有した主体の構築が必要であり、かかる主体の構築は度重なる実践による習熟を必要とするのである。
八六年は3・21チーム・スピリツト86粉砕闘争、3・23三里塚警備道路粉砕・二期着工阻止集会、4・29天皇在位六十年式典粉砕闘争、5・4東京サミット粉砕闘争、6・15反安保闘争など、どれをとっても第一級の課題が日白おしにならんでいる。
ここにおいてわが同盟は、日帝権力との政治攻防を徹底作り上げるなかで、日本労働者階級人民をプロレタリア革命運動の勝利にむけ領導する、その最高の手段として大衆的実力闘争やゲリラ・パルチザン戦闘を行使する革命主体への飛躍を、何が何でも克ちとっていかなければならず、又それを可能とする条件をつくりあげていくことが問われている。
八六年をもひとつのステップにするわが同盟の伸張、わけても政治的レベルにおける本質的飛躍の実現のために、「暴カを政治の手段とする」ことを徹底学びぬき、その規範にもとづいた攻防を作り上げていくべく奮闘することを、政治的獲得目標の第一の課題として確認したい。
第二には、あくまでもわが同盟は日帝権力との政治攻防を第一の課題におき、革命運動のスターリン主義的疎外を克服する闘いについては、帝国主義打倒闘争の内容性の問題として把握する、かかる観点にもとづき闘いぬいていく必然である。
つまり八〇年代革命運動の特質として党派闘争が激化し、内ゲバが構造化される情勢下にあるわけであるが、わが同盟は独自の観点としてこれをできる限り回避し、もって戦旗・共産同は帝国主義国家権力と闘い抜く党派であり、人民内部の矛盾の処理については防御を枠組とした対処をなす勢力だということを、徹底人民に対しアピールしきっていかねばならない。
カクマルのように〈反帝・反スタ〉をお題目化しつつ実際は帝国主義国家権力とは闘わず、現代日本の権力構造の打倒にとり直接には関係のないソ連スターリン主義へのポーズ的な批判をもって反スタぶっても、その内実は他党派解体であり、権力と闘う者をうしろから撃つことを党是としているのでは、本質的な意味における革命運動のスターリン主義的疎外の克服には連なっていかないのである。
ゆえにカクマルは、密教的な宗派集団としては存在理由を持ちえても、もっと広い、何十万という大衆のドラステイックな決起には結党以来無縁な存在であり、結局は日本革命運動を歪めている元凶としてしか自己を定立していない。わが同盟は決してこうした陥穽に落ち込むことなく、人民の正義と大義を体現する革命党として己を定立することで、人民の信頼をかちえていく方向をとらねばならないのだ。
また、中核派のテロリズム路線、市民社会における人民の生活的実存そのものにまでターゲットを拡大し、たとえば国鉄本社や運輸省を攻撃することによってではなく、それ自体は無防備な国電の駅舎を襲撃し、それを国鉄分割・民営化阻止の闘いであるといいくるめるようなあり方も、その意味では、本質的にいって人民の正義を体現する勢力の闘い方とはいえず、早晩矛盾をかかえこみ、例えば八三年三里塚3・8分裂にみられるような闘う人民内部からの遊離や反発を招来させざるをえないであろうことも、目に見えている。
わが同盟はそうした諸派の陥穽に対し、あくまでも人民の正義を体現することを希求し、そこにおいては敵をもたじろがせるような闘いを実現することによって、独自の階級的地歩を築き上げていく必要があるのである。
そうした点からいっても、党派闘争の激化という今日の情勢下にあっても、わが同盟は独自の思想性、プロレタリア革命観の発現として、日帝中曽根ファシスト政権との闘いを普遍的命題としてかかげ、安保-日韓体制打倒潮流としてのプレゼンスを発揮していくことを確認したい。
第三には、全国党建設の勝利にむけ闘いぬくことである。
党機関紙誌の自力発行体制をつちかい、本部ビル建設にも勝利し、八五年末には負債の全額返却もやりきった位置に現在われわれは立っているわけであるが、「党のための闘い」として措定される課題性からいえば、依然わが同盟は青年期の党派であり、ひとつずつ解決すべき問題が山積みされている。
わけても全国党体制の確立は、非常に遅い進展をしかみせていないのであり、関東・東海・関西の三地方にのみ地区党体制を確立するに至ったという本州党のレベルに未だとどまっているのである。
これは一九七三年六月のアダチ分派問題において北海道地区委員会を城山グループ(現在の労学実)が、九州地区委員会をアダチグループが掌握し、その各々を根拠地に分派を形成していった後退を、十二年間たった現在もなお克服しきっていない現実を示している。
この全国党体制の確立にむけた人員の配置のためには、八〇年代革命運動の激動に耐えぬく主体的構えを持った多量の力ードルの養成が必要とされているのであり、これを課題として闘い抜いていかねばならない。しかもなおこの作業は、全国に普遍化するためには、一層の中央の強化、組織と戦線の拡大に対処し、それを維持しぬく指導を貫徹する中央指導部の育成と弁証法的な連関を持つのであり、この二つの任務を、順序としては中央の強化から物質化する方向でおしはかっていかねばならない。
全国党をつくるからといって、諸地方にただ人員を送り込めばよいというわけにはいかない。総体としての現在の組織勢力を保持し拡大しつつ、外に広がっていかねばならないのであり、上級から下級への組織形成が必要である。
ゆえに八六年にあっては、わが同盟が存在する各地方・県において、その支部数をまし、アミの目のような組織配置を作り上げていくことからこの闘いの物質化をはかっていきたい。
これを全国党体制の確立へむけた一階梯として地区党がやりきらねばならない。具体的には、組織的メンバーなら五~六人を一支部の単位と考え、それを上回る場合には別の支部を作る発想にたつことが必要である。又動員数については党組織のメンバーの三倍、労共闘メンバーまで含めた場合には二倍を組織基準とする。この数は現在のわが同盟の実体的力量において、大地区といわれるところでは基本的に実現されており、そうした実状に支部がなっていない場合には、その政治集約や運営、或いは活動形態などのいずれかに支障をきたしているものと考えねばならないのだ。
いずれにしても、ごく近い将来に、わが同盟は組織戦術的に全国党建設の闘いに取り組み、地区党数を大幅に増大させるべき必要性にかられており、これがきわめて大きな課題であることを確認しておきたい。
第四には、革共同系列とか第四インター系列ではない、全く自前の政治潮流としての形成確立に一層尽力すべきことである。この闘いは八四年七月の「連帯する会」の脱退以来開始された闘いであるが、どんなに困難を強いられようと自力更生・刻苦奮闘の旗を守り、独自の政治潮流として闘い抜く方向をとるべきこと、これを確認しておきたい。
要するにわが同盟はアダチグループみたいな植民地党派には絶対になり下がらず、虎の威を借りるキツネみたいな対処をとらず、独立した革命党としての尊厳を守って政治攻防を切り拓いていかねばならないのである。
それを基軸とした上で統一戦線の形成をはかり、共闘関係の豊富化をはかっていくのだ。ひとつの党を守り、はぐくむためにはこの観点は党是として守られねばならず、ソ連や中国の大国の干渉によって翻弄される小国の共産勢力化しては絶対にならないのである。
つまり軍事戦闘にしろ、ゲリラ・パルチザンにせよ、わが同盟は困難でも自力で闘うことを骨格とし、その力を形成することを基軸にすえたうえで、共闘関係に対処していく。
10・20にみられたアダチグループのように、自派では武器の調達さえできず、中核派の用意した武器をもらい、最後には石を拾ってせっせと中核に渡してるような闘い方をやって、「権力機動隊を撃滅」などと有頂天になってるのでは余りにもお粗末だ。なおかつ11・25用水闘争の過程でみられたように、中核派の存在を背景にしたときだけわれわれに内ゲバをしかけてくる卑屈さは、革命党としての尊厳をみずから傷つける行為でしかないのである。
わが同盟戦旗・共産同は、ゆえに断じて植民地党派には成り下がらず、自カ更生・刻苦奮闘の旗を守り抜いて闘い抜く。その気概をもって全党の同志諸君があらゆる政治攻防に対処すること、これを訴えたい。
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