2013 劇場版「標的の村」予告編

投稿者:草加 耕助

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アメリカ軍・普天間基地が封鎖された日

全国ニュースから黙殺されたドキュメント

映画「標的の村」 日本にあるアメリカ軍基地・専用施設の74%が密集する沖縄。5年前、新型輸送機「オスプレイ」着陸帯建設に反対し座り込んだ東村(ひがしそん)・高江の住民を国は「通行妨害」で訴えた。反対運動を委縮させるSLAPP裁判だ。[※1]  わがもの顔で飛び回る米軍のヘリ。自分たちは「標的」なのかと憤る住民たちに、かつてベトナム戦争時に造られたベトナム村[※2]の記憶がよみがえる。10万人もの人々が結集して民意を示した県民大会の直後、日本政府はまるでそんなことなどなかったかのように、電話一本で県に「オスプレイ」配備を通達した。このヤマト政府の態度に、ついに沖縄の怒りは爆発した。

 2012年9月29日、強硬配備前夜。台風17号の暴風の中、人々はアメリカ軍普天間基地ゲート前に身を投げ出し、車を並べ、22時間にわたってこれを完全封鎖したのだ。この前代未聞の出来事の一部始終を地元テレビ局・琉球朝日放送の報道クルーたちだけが記録していた。唯一記録されたドキュメント映像は放映と共に反響を呼び、高江ヘリパッド問題の背景や歴史を加えて91分に再編集した完全版が全国の劇場で公開された。

映画「標的の村」 真っ先に座り込んだのは、あの沖縄戦や米軍統治下の苦しみを知る老人たちだった。強制排除に乗り出した警察との激しい衝突。闘いの最中に響く、歌。駆け付けたジャーナリストさえもが排除されていく。そんな日本人同士の争いを見下ろす若い米兵たち……。

 本作があぶりだそうとするのは、さらにその向こうにいる何者かだ。復帰後40年経ってなお切りひろげられる沖縄の傷。沖縄の人々は一体誰と戦っているのか。抵抗むなしく、絶望する大人たちの傍らで11才の少女が言う。「お父さんとお母さんが頑張れなくなったら、私が引き継いでいく。私は高江をあきらめない」。奪われた土地と海と空と引き換えに、私たち日本人は何を欲しているのか?

・2012年度 テレメンタリー年間最優秀賞
・第87回 キネマ旬報ベストテン 文化映画部門第1位
・第18回 平和共同ジャーナリスト基金奨励賞
・第4回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル大賞
・ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞
・平成25年度 民間放送連盟賞 九州沖縄地区報道部門最優秀賞
・平成25年度 民間放送連盟賞 テレビ報道番組部門優秀賞
・2013年日本ジャーナリスト会議JCJ賞
・山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 市民賞
・山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 日本映画監督部会賞
・PROGRESS賞 九州沖縄地区第1位
・2015年度 浦安ドキュメンタリー映画大賞

[※1]SLAPP訴訟
国策に反対する住民を国が訴える裁判。力のある団体が声をあげた個人を訴える弾圧や恫喝を目的とした裁判をアメリカでSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)裁判と呼び、多くの州で禁止されている。市民参加を排除するための戦略的訴訟、威圧訴訟、恫喝訴訟。

[※2]ベトナム村
1960年代、ベトナム戦を想定して沖縄の演習場内に造られた村。農村に潜むゲリラ兵士を見つけ出して確保する襲撃訓練が行われていた。そこで高江の住民たちがたびたび標的としての南ベトナム人の役をさせられた。

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