投稿者: 司 宮二
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強制連行訴訟原告ら、労働現場跡訪れ献花 広島
第2次大戦中に強制連行され、広島県内の水力発電所建設現場で過酷な労働を強いられたとして、雇用主の西松建設を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の中国人原告5人が29日、同県安芸太田町の現場跡を訪れた。裁判は27日に最高裁で敗訴が確定したが、判決は同社に被害者の救済を求めており、原告らは今後も同社と交渉を続けていくことを誓った。
元労働者2人を含む原告らは、当時、犠牲になった労働者らに献花して判決を報告。労働中の事故がもとで両目を失明した宋継堯(ソン・ジィヤオ)さん(79)は「交渉で勝利するように守って下さい」と声を振り絞った。建設に使う石を川から運んだという邵義誠(シャオ・イチェン)さん(81)は「交渉の権利はあるので、戦い続けなければならない」と決意を語った。
…(中略)最高裁は戦後補償問題は日中共同声明で決着済みで、個人が裁判で賠償を求める権利はないとして訴えを退けたが、同社に安全配慮義務を怠る不法行為があったことは認め、「被害者の救済に向けた努力を期待する」とした。
朝日新聞記事全文(2007年04月29日)
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強制連行訴訟、中国人元労働者らの請求棄却 最高裁
第2次大戦中に強制連行され、広島県内の水力発電所の建設現場で過酷な労働をさせられた中国人の元労働者ら5人が西松建設を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が27日、あった。最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は「72年の日中共同声明は個人の損害賠償等の請求権を含め、戦争の遂行中に生じたすべての請求権を放棄する旨を定めたものと解され、裁判上は請求できなくなった」と初めての判断を示し、原告側の請求を棄却した。
…(中略)一方、判決は「被害者らの被った精神的、肉体的苦痛が極めて大きく、西松建設が強制労働に従事させて利益を受けていることにかんがみ、同社ら関係者が救済に向けた努力をすることが期待される」と異例の付言をした。
… (中略) 日中共同声明の「戦争賠償の放棄」に関する条項は、サンフランシスコ平和条約などと違って個人の賠償請求権までも放棄したかどうかが明記されていないため、その解釈が分かれてきた。
… (中略) 日中共同声明について「戦争賠償や請求権の処理で、サ条約の枠組みと異なる取り決めが行われたと解することはできず、あえて個人の請求権処理を未定のままにせざるを得なかった事情はうかがわれない」と指摘。「同声明5項はすべての請求権を放棄する旨を定めたものと解される」と結論づけた。
… (中略) 原告らは98年1月、広島地裁に提訴。一、二審とも原告らが44年ごろに日本に連行され、同県加計町(現・安芸太田町)の「安野発電所」を建設するため、昼夜2交代で導水トンネル工事などに従事させられたと認定した。
朝日新聞記事全文(2007年04月27日)
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