「俺は殺人犯と一緒っちゃ…死刑にしてくれんね」
死刑冤罪・袴田事件。無実の罪で死刑囚とされた袴田さんと、彼の無実を確信しながら死刑判決を書かなければならなかった熊本判事、映画は二人の人生を重ね合わせて裁判の闇を描き出す。監督は 『TATTOO<刺青>あり』『光の雨』などの高橋伴明。
袴田巌は勤めていた味噌工場の強盗放火殺人犯とされた。理由は、従業員の中で彼だけが「よそ者」だったこと、元プロボクサーであったことだった。公判で犯行を否認する巌に驚いた熊本は供述調書を精査。供述の異様な変遷に気がつく。さらに、取調べ時間の異常な長さ。強引に自白を強要したことは明らかだった。さらに裁判途中で唐突に提出された「証拠」への疑念。
だが、裁判は三人の合議制だ。二人の裁判官が有罪を主張し、多数決で死刑と決まる。しかも、判決は主任判事が書く慣例になっている。ただ一人無罪を確信した熊本が死刑判決を書かなければならないのだ。
袴田事件は現在、第二次再審請求審が進行中である。獄中の袴田さんは73歳。死と隣あわせの拘禁症状のため精神状態に困難を抱えている。
裁判員制度が施行された今、袴田事件と熊本判事の苦悩は、今や誰にとっても他人事ではなくなった。
あなたなら、彼に「死刑」と言えますか?
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