辺野古は「迷走」でなく世論と権力の「拮抗」
普天間基地の問題について、鳩山首相は現実的な解決策である「撤去」ではなく、非現実的な「移転」に固執しているために結論が出ません。マスコミは永田町だけを見て、その現状を「迷走」などと言いますが正確ではありません。
鳩山首相は「昨年のうちに『辺野古』を強行決定して楽になりたかった」と、先日の党首討論でも本音を明確に吐露しています。しかし「政権交代」を実現した世論がそれを許さず、これでもかとばかりに次々と連続して示される民意の力で押し返している。つまり「政府の明確な意思を世論の力で阻止し続けている拮抗状態」というのが正しい表現です。
そんな中、ブログというもののスピード感からしますといまさらな感じになりますが、4月6日~9日の「県外移設の不履行は絶対に認めない!ウチナンチュ官邸前行動」に参加してきた時のことを書いておこうと思います。これは沖縄の人々も含め、すべて個人の資格で行動し、同じ個人として行動を共にしてほしいという呼びかけでした。私は最終日の9日だけ、どうにか終日参加することができました。
実はここのところ医者に通って薬を飲んでいます。あまり出歩けるような感じではありませんでしたが、沖縄の人々がわざわざ東京までやってきて座り込んでいるというのに、地元に住んでいる自分が、最終日まで家でじっとしていることのほうが、罪悪感と焦りでよほど精神状態が悪化しそうでした。せめて今日くらいはと思って無理をしましたが、結果的にはそのほうが精神的にはよかったと思います。
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「移設」より「撤去」が現状でもっとも現実的だ
その日はちょうど行動がはじまったところで合流できました。写真は午前10時半頃、首相官邸に向かってシュプレヒコールをあげているところ。このあと、知花昌一さんや、知花盛康さんの発言がありました。
知花昌一さんは、「かつて沖縄はその地政学的な位置から、米軍にとって手放せないと言われた」とおっしゃっておられました。ああ、そうそう、私が現役左翼だった時代には右も左もそう言ってましたねえ。「沖縄は日米安保のキーストーンだ」と。実はそのことは、安保や在日米軍が、「ソ連の脅威」から日本を守るものでは全然なくして、アジアや中東に睨みをきかせる、極めて侵略的(攻撃的)な性格を持っていることを示していました。ところが今は誰も「沖縄の地政学的な重要性」なんて言わなくなったじゃないかと。
それは米軍再編による機動力重視の中で、米軍は別にどうしても沖縄にいる必要がなくなったというのです。それがいいか悪いかは別にして、もう米軍は「地政学」なんて考えなくても、地球上のどこにでも宅配便のように軍隊を派遣・展開できるようになった。そのためには沖縄でもグァムでも別にかまわない。
彼らが沖縄にいるメリットというのは、もはや米軍が私たちの税金から「思いやり予算」がもらえるだけのことだという話でした。だとすれば私たち日本人は、米軍から足元をみられ、たかられているだけの話であって、「無条件撤去」は誰にとっても現実的な選択であるわけです。少なくとも、沖縄の反対で全く計画がすすんでいない、未だに砂一粒の埋め立てさえ許していない辺野古案を、このまま強行するよりは、よっぽど現実的です。
さて、その後は警察の指示だと思うのですが、官邸前から離れ、国会裏手の歩道に移動しました。ここにはいろいろな請願や運動の人々がひとまとめにされて陣取っているのですが、その中に右翼の一団がいるのが見えました。小沢糾弾とか、外国人参政権がどーたら見えるので、「在特会」かと身構えましたが、そうではなく、普通の右翼団体の人たちのようでした。私たちの一団はその間を通っていきましたが、ごく普通にビラとかいただきました。
「顔は写さないようにしますので、写真撮ってもいいですか?」と尋ねると、「どうぞ、ご自由に撮ってください」と言われました。それがこの写真ね。まあ、すぐに殴りかかってくる「在特会」がいかに特殊な集団なのか、あらためてよくわかりました。
その右翼の一団とは路地ひとつはさんだところに「改憲阻止の会」のみなさんがいました。さらにその向こうには「9条連」のみなさんがおられ、沖縄の人たちはその間にはいります。「9条連」の方々は独自に行動されておられたようですが、解散後は沖縄の人々の官邸前行動に合流してこられる方も多かった。
シュプレヒコールをあげたり、マイクを開放していろいろな方の発言をうけたり、知花昌一さんによる三線(さんしん)の弾き語りなどが続きましたが、このあたりで特に体調が悪化し、あまり頭に残っていません。
目からウロコの発言が続くフリートーク
なかでも「伊達判決を生かす会」の方の発言は、政権交代の一つの肯定的な側面なんでしょうが、最近になって公開された、安保改訂や沖縄返還当事の機密文書の分析を通じたお話で、重要な点がいくつもあったと思います。もし、当事にこれらの事実が明るみに出ていれば、きっと大騒ぎになっていたろうなと思ったことだけは覚えています。また、「外務省機密漏洩事件」で不当弾圧された西山さんが勝訴したという一報が届き、傍聴されていた方からの報告もありましたが、これもはっきり内容に集中できなかったです。
横田基地周辺の住民の方の、騒音のお話はリアルでした。50センチくらいのテーブルをはさんで座っている人の会話が全く聞こえないとか、毎日聞いているヘリの音に異音がするなと思ったら墜落事故があった、それ以来、同じような音(年に数回あるらしい)がすると、家から飛び出るようになったとか、なるほど騒音などの被害は、実際に住んでいる人から聞かないとわからないものだと思いました。同時に、普天間市民はいったいどんな状況に叩き込まれ続けているのか、その思いと怒りが想像できました。
あと、時期が時期だけに、ほかにも沖縄の県会議員さんなどが東京に来ておられ、官邸前行動のことを聞いて何人もの方が挨拶をされていかれました。ですがまことに失礼ながら、はっきりとお名前を覚えているのは宜野湾市長の伊波洋一さんだけです。
伊波さんは、「米軍はすでに沖縄の戦力をグァムなどに移すことを前提に行動している」ことを暴露され、そのことを証明する資料などを市のHPにアップされておられます。では今沖縄にいる米軍は何をしているかと言うと、アジア各国で軍事同盟を結んでいる国々と、年に一回ずつ恒例で行う演習への派遣要員、つまり「運動会部隊」であると。しかも実際に常に基地の定員の半数は不在という状態で、「防衛」のための実戦部隊なんか、沖縄にはいないんだというお話でした(と思う)。
途中で官邸前記者クラブの食堂でカレーを食べました。東京は手頃な価格の定食屋さんなどが少ないので大変。やっと見つけてもすごく高いです。午後になりますと、再度、道路をはさんで官邸の正面に移動し、シュプレヒコールや、 次々と立ち寄った方によるアピールが続きました。
安里英子さんは、「鳩山さん、あなたは(野党時代に)何度も沖縄にきてくださって、私たちと対話していただいたではないですか、なのに一番大切な正念場で何をふらついているのか」と訴えられました。
知花盛康さんは、「米軍による少女暴行事件が発覚した時、私たち沖縄は4万の人々が抗議集会に結集した。あの時の怒りは米軍に向けられていた。25日には10万の人が集まるだろう。だが、その怒りは鳩山さん、今度は日本政府に向けられているのです」と訴えました。
まさしく選挙前は民衆の「チェンジ!」への願いを受けて政権の座につきながら、いまさらその民意を切り捨てて居直ることは許されないと思います。
一貫して沖縄の熱い期待を裏切り続けた本土政府
知花昌一さんは、80年代には沖縄国体での日の丸焼き捨て事件で弾圧を受け、そのことで話題になった反戦地主のお一人ですが、「その私でさえ、その前には日の丸を打ち振って本土への復帰を目指していたのだ」とおっしゃられました。復帰前の沖縄は、アメリカの憲法も日本の憲法も適用されない、そんな無権利状態の中でアメリカの軍隊に踏みにじられてきたと、だから平和憲法の日本への復帰は沖縄の人々みんなの悲願であり、それは「解放」そのものだったのです。
「だけど実際にはどうだったか、復帰しても基地は今まで通りで何も変わらない。やっと基地の縮小が実現されたと思ったら、それは縮小ではなくて単に新しくて豪華な施設への移転だった」「もう我慢の限界だ」「もし県内や徳之島などへの移転で終わるなら、その時は体を張って何が何でも阻止する、そういうことを沖縄では誰もが言うようになった」「本当に問題が解決することを心から望んでいる。解決できないのなら、沖縄の人々はコザ暴動のような闘いをもっても対抗するだろう」と結ばれました。
沖縄ではこの4月25日、「県内からの基地撤去を求める沖縄県民大会」が開かれます。
これは政治党派で言うなら自民党から共産党まで保革を超えた県議会全会派が結集し、おそらく10万人規模の大会になると見込まれています。翌週には100人規模の県民大会代表団が、鳩山政権への申し入れ陳情にやってきます。国会前での代表団座り込みが27日に予定されています。
東京でも圧倒的な人々で国会前を埋め尽くしましょう!鳩山政権の思惑を押しとどめるだけでなく、押し返し、そしてもはや鳩山内閣を倒してでも、普天間基地の撤去を勝ち取ろう!
こんにちは。
はてなブックマーク見ていたら、
http://bund.jp/md/wordpress/?p=2309
が上がっていたので、何があったのかなあ、と思ってしましました。
さて、本題です。
『地政学的な位置』という言い方が、侵略的であることを表しているといったふうに読めましたが、自分の知る限り、地政学と言うものは侵略・防衛を問わず適用できるものであると思います。
何しろ、侵略側にとって重要な拠点は防衛側にとっても重要ですからね。
>>もう米軍は「地政学」なんて考えなくても、地球上のどこにでも宅配便のように軍隊を派遣・展開できる
と言っておられますが、軍隊というのは最前線の手前に根拠地が無ければ戦えません。幾ら軍隊をデリバリーできたとしても、到着した土地に軍を置いておくスペースが無ければ補給ができないからです。
自分は沖縄の反基地運動に賛成も反対もできません。
何故なら、反基地運動、つまり自分たちの生活を護ることは誰にも存在する権利であると思うからです。
しかし、沖縄から軍事基地を撤去すれば、軍事バランスが崩壊し、軍事的最前線が台湾から沖縄に移動するという結果になる可能性も大いにあります。
そうなれば、戦争防止の歯止めがまた一本抜け落ちます。
さて、正直言いますと、沖縄の基地問題を解決するのは日本政府には不可能であると考えます。何故なら、どういう形に落ち着けようとしても『最前線の後背地』であるという根本を解決しない限り、最終的には沖縄にしわ寄せが来るからです。
最前線を移動させると言うことは
・台湾の向こうに緩衝国を作る
・沖縄を含む西日本を中国の勢力圏に置く
……ということになるのかなぁ?
BY君の二代目か?
アメブロネタだけでは閲覧者に申し訳ないと、もう一つエントリー。
岩下俊三のブログ に行ったら、あるエントリーにこんなコメント が。
サラリーマン 2010年04月26日
>平成の脱税王が嫌疑不十分で不起訴決定。真面目な納税者は許しません。沖縄県内の絆がズタズタになりました。沖縄の民意は基地移転県内40%は賛成なんでなないでしょうか 子供手当と扶養控除配偶者控除廃止はセットの約束。外国人がみんな子供手当を目当てに役所に殺到。結局民主党に靡いたところにコンクリートとお金のプレゼント。自民党の55年体制と比較する以前の問題。嘘つき政党。
>沖縄県内の絆がズタズタになりました。沖縄の民意は基地移転県内40%は賛成なんでなないでしょうか
県内40%は賛成だと、60%は反対なのかい? 自民党時代、すでにズタズタだったの? ここへきてズタズタなの?…
どろさんの「護憲的安全保障論」を読む
しばらく前に、『軍隊の「存在の是非」と「本来あるべき姿」と「逸脱した現実の姿」と、それらをめぐる論議についてのメモ』という記事を書いて、安全保障や軍隊をめぐる改憲論議について整理する試みをしました。
それらを一つ一つ解きほぐして現実の論議を整理し、議論の内容を具体化し、高めていかなければならないのですが、日本の政治や論壇の中にある議論や政策論はなかなかそういう方向になかなか向かっていないように思われます。日本の政治、政治家、マスメディア、論壇、世論について私が物足りなく思うところで…