今回の地震で被災された皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。私はちょうどその時刻、都内のビルの9階にいましたので、もう半端ないくらい激しく揺れました。しかも揺れの時間が異様に長く、いつまでもおさまるどころかどんどん強くなってきます。「やれやれ」と思いながら、セオリー通りゆっくりと机の下に入りました。やがて目の前に次々と物が落ちてきて、ドアの向こうの隣の部屋からも、棚が倒れる激しい音がしました。どこからか女性の悲鳴も聞こえます。
私はとりあえず頭をかばいながら、これはいつもと違う!本物だ!と思いました。阪神大震災の映像が思い浮かび、ビルの倒壊があるかもしれないと思いました。「ひょっとして、とうとう来たのか?だとしたらここで死ぬのかなあ、痛いのは嫌だなあ、どうせ死ぬなら、長く苦しまずに死にたいなあ」などと、激しい揺れの中で不思議と恐怖もなく漠然と考えました。「これでやっと楽になるのかな」という考えも頭をよぎりました。そのとき、ふと親の顔が浮かんできました。年老いた両親を実家に残して、わざわざ東京に出てきて地震で死んだ。はたして親類縁者がなんと言うか、だいたいわかりそうな気がしました。親孝行は「結果責任」だと思いますから、何と言われても仕方がない。次に三里塚、そして鈴木加代子さんのことを思い出しました。「やはりまだまだ死ねん!頑張らないと」そう思い直しました。この間約1,5秒。
そのうちに揺れがおさまり、机の下からはいだして、同じ建物にいた人たちと顔をあわせます。とっちらかった部屋を見ながら、お互いに「いやあ大変でしたねえ、驚きましたねえ」と、見知らぬ者同士を含めて笑顔で語り合いました。窓から下を見ますと、なんだか人通りがどんどん増えてきます。そのうち何かのお祭りかと思うくらいになりました。ここは出先でしたし、ここでの仕事はもういいということで、いったん会社に戻ることにしました。車はほとんど止まっていまして、歩行者が車道にまであふれています。ですが少なくとも一階部分の店もだいたい営業を続けているようで、まあ、たいしたこともなくてよかったなと思いました。駅までいきましたが、電車はすべてが止まっているということで、私鉄の中にはホームへのシャッターをおろしている所もありました。まあ、しょうがないかと、えっちらおっちら会社まで歩きはじめました。途中、コンビニによろうかと思いましたが、レジの前に長蛇の列ができているのを見てやめました。
会社もすでに混乱はおさまっていて、明日の段取りやその変更に追われていました。かなり仕事の中止が入っているらしい。また、電話がさっぱりつながらないので困っているとのこと。私が明日入るはずだった仕事も中止だと聞かされました。私の仕事は日給計算なので、「君にはいつも無理を聞いてもらって頑張ってくれるから、なんとか君の仕事だけでも確保したい」と言われましたが、私は大急ぎで「いえ、休みでいいです!」と大声で返事しました。なんか勘違いされているみたいだけど、別に休むのが嫌なんじゃないよー。もう2週間も休んでないし、直前には昼勤→夜勤→昼勤と、二日で3勤務してるしね。逆にちょっとは休ませてほしいくらいだったから。
会社から自宅までも歩いて帰りました。幸いにもそれほど距離があるわけでもない。歩道は同じく徒歩帰宅する人々でいっぱい。災害用の白ヘルメットを持っている人もちらほら見ました。その一人は花粉用のでっかいマスクに白ヘルメットをかぶって歩いておられましたので、一瞬ギョっとしました。歩く方向もだいたい同じですし、ふだんはまばらな横断歩道も、信号が青になるとターミナル駅なみの人がどっと渡ります。みなさん三々五々に大声で(ハイテンションで)会話しながら歩いておられました。なんというか、この時の歩行者には「共通の体験をしたもの同士」みたいな雰囲気がありまして、まだこの時点での私は被害の状況も知らず、まあ、たまにはこんな雰囲気もいいかなくらいの能天気なことを思って歩いていたのでありました。
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自宅近くのコンビニは、すでに長蛇の列はありませんでしたが、お弁当などの類はすべて売り切れ状態でした。かろうじて残っていたサンドイッチを買って自宅(下宿屋みたいな構造の古アパート)に戻りますと、気配を察知した大家のおばあさんが奥からでてこられました。どうやら一人で話し相手に飢えていた模様。「いやあ、大変でしたねえ、どこにおられました?」と話しかけてこられ、そのまま長話におつきあいです。私も地震の時の状況などをお話しました。その中で、関西では有感地震なんて年に一度もないこと、そのせいで地震に関してはすごく鈍感なこと、東京に行くと言ったらまっさきに「地震は大丈夫か」と言われること(ただし阪神大震災以降はあまり言われない)ことなど、世間話としてかわしました。
私が子供の頃って、「日本沈没」ブームの影響もあり、「東京大地震の恐怖」って煽られていましたからね。そのせいで私も子供の頃(阪神大震災まで)は、「たまたま東京にいたその日に地震があったらどうしよう」「それってめちゃくちゃ悔しいやん」みたいな会話を普通に聞いて育ちました。関西で災害と言えば台風のことでした。自治体も台風対策はしていましたが、地震対策は申し訳程度だったと思います。火災保険の地震特約に入っていない人も多かった。その意識の低さが阪神大震災での被害の拡大を招いたということもあるのかもしれません。大震災以後は対策をとる人や自治体も増えていますが、一方で「いやー、もうわしらが生きているうちに大きな地震なんてないやろ」という声も聞きます。
部屋に戻ってから被害の深刻さもよく知らずに、その大家さんとの会話をそのまんまミクシィとかで「つぶやき」してしまい、ものすごく怒られました。本当に申し訳ない、大変に無神経なことをしてしまいました。不愉快に感じられた方にはあらためて心よりお詫び申し上げます。すみませんでした。件のつぶやきは、恥は恥として、それを「なかったこと」にはせず、自身の戒めのために残してありますが、さらに多くの方を不愉快にする前に消しておくべきなのか迷っています。
部屋に入った時、流しの前の窓が全開になっているので驚きました。侵入者でもあったかと思いましたが、その後も続く大きな余震のたびに、この窓が数センチずつ開くのを見て「はあ、なるほど」と思いました。その余震のたびに古いアパートの柱という柱が「ギッシギッシ」と大きな音をたてるので、なかなかスリルがありました。ネットでニュースをちらちら見ているうちに、これは予想以上に大きな事態であることがわかってきました。実は阪神大震災の時は京都にいたのですが、ものすごい揺れでタンスが倒れそうになりました。なんでてっきり「京都の地震」だと思っていたのですが、一夜空けての高速道路が倒れているニュース映像を見てびっくりしました。そういうことがあったんで、揺れがおさまったときに、「ひょっとして」という不安はありました。名古屋あたりが壊滅しているのではないだろうなと思い、名古屋の知り合いの顔を思い出して不安になりました。宮城東北方面だったとは!
そのうち疲れが噴出してきて、いつのまにか服を着たまま倒れるように寝てしまったみたいです。起きてから、昨夜は電話回線を使うのを遠慮していた実家に、「無事です」の電話をいれます。ニュースを見て、電話してもつながらなくて心配してたろうなと思いきや、開口一番、「何?なんか用か?」と言われてしまった。電話なんぞした様子はまったくなし。逆に「なんかアメリカの空母が東京に来ているらしいが何をしてるんだ」とか聞かれて寝起きの私なんそ「は?」と思ってしまった。それから「もう(津波警報の)赤い線が黄色になってるし、別になんともないんだろ」とか言ってた。
これだよ。本当に関東・東海の人には信じられないくらい地震のニュースに鈍感なんだよな。そういや、阪神大震災の翌朝、東海地方に長く住んでいた妻が小学校に電話すると言い出した。「なぜ?なんのために?」と私はいぶかりましたが、妻が電話すると案の定、学校の先生も「はぁ?学校ですか?普段通りですが何か?」という反応だったみたいで、妻は「大きな余震とかあったらどうする!休みにして当然だろ」とすごく怒っていました。でも、おそらく、その朝に大きな余震があったとしても、そんなもん学校は普通に休みにならないだろうと、まだその時の私は思いましたが、妻の剣幕がおそろしいので黙っていました。
そのうちにまたなんだかボーッとしてきて少しうとうとしました。起きるとひさしぶりに頭が割れるように痛い。常用していた頭痛薬を切らしていましたので、熱いコーヒーを飲み、サンドイッチもいっしょに食べました。少し痛みもおさまったところで、いまさらながらテレビをつけると(テレビはめったに見ない)、福島第1原発での爆発事故を報じていてまたびっくり。津波の映像やら、各地の市町村が壊滅状態というニュースが次々と入っていました。死者・不明者は1500人ということですが、阪神大震災の時は最終的に6000人を越えましたので、今回はそれを上回るかもしれません。枝野官房長官の「爆発的事象があった」という発表がものすごくイカガワシイものに思えました。クリントン元米大統領の職場内不倫疑惑における「不適切な関係」という説明を思い出した。「爆発」と「爆発的事象」と具体的に何が違うんでしょうか。要するに原発が爆発したのでしょ?避難勧告も、当初の原発から10キロ圏内が、20キロ圏内に拡大したようです。と言っても、もし「最悪の事態(チェルノブイリ)」になれば、都内全域でも充分に汚染(被爆)の範囲内ですから関係ありません。
まあ、事態が事態というか、原発で大事故となれば、もう被害範囲が大きすぎて、途中経過だけをへたに流して煽るとパニックになるというのはわかります。ですがそれにしても、情報が小出しで状態がさっぱりわからない。これだけわからないと逆に不安が大きくなりやしないかと心配です。さきほど「ふっとんだのは外側だけで、炉心はじぇんじぇん大丈夫だぉ」という枝野さんの発表がありましたが、ここまでくるともう何が本当かわかりゃしない。
もっといろいろ書くつもりでしたが、まだ頭が軽くズキズキしますのでもうやめます。考えが何もまとまりません。とりあえず無事です。ぜんぜん大丈夫ですという報告だけ。昨日は三里塚(成田)空港は地震で閉鎖中というニュースもあった。いっそのこと、そのままにしてくれたらいいのに。三里塚や千葉の人たち、農家の被害や、木の根ペンションの状況も心配です。今日も都内で余震を感じました。テレビをつけていますと、宮城県あたりで「今、余震がきています」とアナウンサーが言った数秒後にアパートがギシギシ揺れるみたいです。原発も心配ですが、いまさらジタバタしても仕方がありません。とりあえず、全力で大事にならないように現場の人は頑張っているのだろうと信じて、事態が拡大しないように祈るしかないです。何にしても話はそれから。都内まで汚染地域になってしまうと知って少し不安ではありますが、すべては無事に事態が収拾されてから教訓として、原発政策を考え直すべきことですね。とりあえず明日は仕事にいきます。事態の推移をみながら、自分にできることをじっくりと考えて行動します。
ネット上では流言蜚語が飛び交っているようです。ネット上で流通している情報はすべて疑ってかかること。「拡散希望」などと書かれているものを安易に流さないこと。それが正しいものか、あるいは(たとえ善意でも)個人の見解や推測にすぎないのか、さらに悪質なデマなのかもわかりません。また、仮にちゃんとした出所からの本当の情報だとしても、事態は刻々と変わっているのですから、古い(場合によってはほんの数時間前の)情報はデマに転化しかねません。
リンク
◇大地震ーみんな無事ですか?(どこからどこへ)
◇東日本大震災での安否確認(アフガン・イラク・北朝鮮と日本)
◇地が揺れた日(壊れる前に…)
◇帰宅しました(つぶやき手帳)
◇生存報告(非国民通信)
◇巨大地震に何をなすべきか?(土佐高知の雑記帳)
◇橋本で帰宅困難者(ムキンポの忍者ブログ)
◇あらためて地震・津波は恐ろしい(たたかうあるみさんのブログ)
◇オノ・ヨーコ「東日本大震災で被災した日本のみなさんへ」(イルコモンズのふた)
◇地震で在日朝鮮人によるレイプの恐れを警告しているアホがいる(反米嫌日戦線)
◇地震のどさくさに差別をたれ流す人々(togetter)
◇放射線に怯えた日(壊れる前に…)
◇M8.8の大地震の危機(どこからどこへ)
◇【緊急】全ての原発を直ちに停止せよ!(たたかうあるみさんのブログ)
◇地震と原発と天皇。。。(風の歌が聞こえる街)
◇「杞憂」が「現実」に (「たかしズム」!)
◇政府、官僚の姿が見えない(天木直人のブログ)
◇東北・太平洋沿岸地震と福島原発重大事故(保坂展人のどこどこ日記)
◇アフター・フクシマの時代(イルコモンズのふた)
◇他人の不幸で楽しむ輩(反米嫌日戦線)
◇すべての原発を即時停止せよ! 労働者人民の命もてあそぶ菅政権許すな!(「前進」速報版)
◇福島第一原発 枝野官房長官の記者会見を聞き 京大原子炉実験所の小出裕章さんから(薔薇、または陽だまりの猫)
◇原発制御不能で水漬け(土佐高知の雑記帳)
草加さん、ご無事で何よりです。何かできることがあれば、言ってください。もし京都に帰って来るとかなら、しばらくお泊めすることもできると思います。とりあえずは、余震もあなどらずに、気をつけて。
うにさん>
ありがとうございます。なんとなく涙でました。
歩いて帰宅する大勢の人々を見ました。なぜだかわかりませんが、なんとなく元気になる光景でした。とにかくできることをするだけです。とりあえず明日は仕事にいきます。どうなるかわかりませんが。
いつも拝見していますが、初めて書き込みます。都内在住の運転労働者です。とにかくご無事でなによりです。草加さんは日本の左派の宝だと僕は思ってますんで、まだまだ楽になってもらっては困ります。僕は休みで家にいましたが、草加さんみたいに本当に死ぬのかと思いました。
怒られたとかいうツイッター(?)はまだ見ていませんが、ご自分でまずかったと思うなら消されたほうがいいと思いますよ。潔くないという気持ちはわからないではないですが、草加さんもおっしゃるように、残しておくことでさらに人を不快にすることもありますよ。
僕はたまたま高校まで大阪にいましたから草加さんのおっしゃることはわかります。東京で地震にあうなんて、立ち入り禁止の火山を見物にいって、火口に落ちて死ぬくらいの扱いでしたよね。大阪人の反権力とか反中央の性質のあらわれでもあると思いますが、それで東京を侮辱しているなんて気はさらさらなかった。けど僕も、東京に来た当初に草加さんみたいに怒られました。こちらでは、侮辱することとネタにする(いじってあげる)ことの区別なんてつかないんで、なんでもマジに受け取るんですよ。いじりは愛なんて言っても通じませんよ。今回は時期も悪かったですね。
どうか気にしないで(でも反省はしっかりして)これからも頑張ってください。心から応援しています。
草加さん、ご無事だったとのことで、とりあえずは良かったです。
東北・北海道はもとより、関東・甲信越でも大きな被害が出たそうですが、メディアで、具体的な被害の様相を目にするたびに、衝撃的な思いでいます。
もちろん大変なのは、被災された皆さんの方ですが。本当にお見舞いにかける言葉が見あたりません。
皆さん、ともかくいまはお体に気をつけてください!
こちらにコメントするのは久しぶりの、福島県いわき市在住のときわです。
リンクのあった「前進」の記事を見ましたが、菅政権や自民党連中への怒りよりも、「チェルノブイリ」の文字を見て被曝の恐怖の方が勝ってしまいました…もし中核派内部にいたら除名ものですね(苦笑)。
まあ、事態が落ち着いてから改めて糾弾に動いても被災者となってしまった以上は大丈夫かなとも思いますが(笑)。
そんなわけで(?)お互い体に気をつけてこれからも力強く生きてゆきましょう!!
ではでは失礼しました!
買いだめした者は恥を知れ
「買いだめをするのはやめましょう」 ではない。
買いだめした者は恥を知れ
私は13日に書いた。
昨日は自宅の近所のコンビニから、おにぎりやパンの類が全部なくなっていました。入荷できないのか買いだめかはわかりませんでしたが、もし買いだめだとしたらそれはやめましょう。まだ被害状況の全貌さえも判明しないなかで私たちが「日常」をエゴイスティックに損なうと、いま緊急に救援活動に向かう人々を間接的に阻害…