by ときわ列車
旗旗ではご無沙汰しています。ときわ列車です。この間も色々と動いていましたが、今回はそれらについては敢えて触れず、今日(日付は昨日)地元・福島のローカル紙で報じられた常磐線広野~竜田間再開と、それに伴う福島県楢葉町の「帰町宣言」について書かせていただきます。
ローカル紙での報道は下の2つです。
・福島民報…「広野-竜田(楢葉)来月1日再開 常磐線 双葉郡の復興加速期待」http://www.minpo.jp/news/detail/2014051015581
・福島民友…「常磐線・広野-竜田駅間、6月1日に運転再開で調整」http://www.minyu-net.com/news/news/0510/news1.html
今回の日記は、恥かしながら僕がこの問題を扱った某反原発団体(まぁ、文脈からバレバレかもしれませんがw)の全国版広報誌に寄稿予定の文章をもとに、旗旗用に編集した文章から書きます。旗旗の皆さんにもぜひ知っていただきたいと思い、某誌では文字数制限の関係で盛り込めなかったことを加えてここに掲載します。
【以下、寄稿文を原案とした文章】ーーー
去る4月22日、JR東日本水戸支社は動労水戸(国鉄水戸動力車労働組合)に対し、常磐線の広野~竜田間の営業運転を6月1日から再開することを提案しました。この区間には福島県楢葉町があり、ほぼ全域が現在「避難指示解除準備区域」となっています。国はこの区域の「除染が終わった」として避難指示を解除する方針を打ち出しており、町長も5月下旬には帰還時期を「判断する」としています。水戸支社はこれらを受けて運転再開の準備をするため5月10日には試運転も行うとしています。
しかし、その「除染」とは環境省から指示された「施工」の方法にしたがっただけのものです。省のホームページでは楢葉町の除染は全域で「除染終了」となっています(http://josen.env.go.jp/area/details/naraha.html)が、いわき合同ユニオンの組合員である除染作業員によれば町内には山林や除染に同意していない町民の家などまだ手つかずのところが多く、毎時2マイクロシーベルトを超えるような場所も未だ点在しているとのことです。
さらに、楢葉町に作られようとしている「焼却灰処理施設」の問題もあります。この施設は、国が富岡町にある民間の管理型処分場へ災害廃棄物(震災がれきなど)の焼却灰を搬入することを計画していることに伴うもので、処分場へ搬入する前に焼却灰をコンクリートで固める施設を楢葉町に置こうとしています。しかし、震災がれきには放射性物質が含まれていることはすでに広く知られており、焼却処分によって放射性物質を「濃縮」させたその灰はさらに危険な物のはずです。
ところが、福島県は原発周辺自治体の集まる双葉郡に国が建てようとしている「中間貯蔵施設」の候補地から楢葉町を外すための「取引材料」としてこの焼却灰処理施設の設置を「提案」したのです。「中間貯蔵施設候補地から楢葉町を除外」するのは外見上のパフォーマンスに過ぎず、「核施設」が作られるという意味では本質は変わりません。これは事実上の最終処分場たる「中間貯蔵施設」と密接にかかわる問題であり、原発再稼働とも一体の問題です。
以上のことから楢葉町へ住民を帰還させようとする意図はもはや明白です。東電は賠償を打ち切ろうとしており、国や県もそれを後押しするということなのです。つまり、福島第一原発事故の責任を放棄するということです。そしてJRはそんな東電と国のお先棒を担ぎ、国・県・東電・JRが一体となって住民とJRの労働者に無用な被曝を迫っているのです。そればかりか、賠償を打ち切った上で「雇用はここにしかない」として「灰処理施設」へ住民を動員することまで狙っているようにも思えます。それは大熊・双葉町での「中間貯蔵施設」の建設、そしてそこへの住民動員への足がかりとなるものです。
絶対に許せるものではありません!
すでにJRの運転が再開され避難指示も解除されている広野町の場合、総人口5,151人(2014年3月末現在)に対して帰還しているのは1,481人。割合にして30%にもとどきません。特に10代・20代の若い世代の帰還率は10%未満です(2013年12月04日 河北新報)。ここにおいて動労水戸が運転再開反対と当時広野駅に放置されていた汚染車両「K544」の検修反対を掲げてストライキで闘った過程もあり、国や町の「帰還運動」に対しする住民の視線は厳しいものとなっています。それにもかかわらず楢葉町の「帰還運動」を進めるということは、避難を続ける広野町の人びとにも帰還を迫り、「焼却灰施設」での被曝労働に広野町の住民をも動員しようとするものなのではないかという疑念まで出てきます。
私たちは動労水戸と共に立ち上がり、楢葉町長が出そうとしている「帰町宣言」に待ったをかけるべく運動を展開します。4月26日に東京都内で行われた楢葉町の町政懇談会において住民から「放射線量が高いのになぜ帰還を急ぐのか」「帰還後も3、4年は賠償の継続を」といった切実な訴えが出されました(4月27日 東京新聞)。
この声に応え、「無用な被曝」に絶対反対でたたかいます!
ーーー【終わり】
そして僕の所属するNAZENいわき(あ、ネタバレwww)で「帰町宣言」問題を扱ったビラを作成し、動労水戸作成の「竜田延伸反対」のビラと共に「いわき駅前アクション」などで配布を開始しています。
「帰町宣言」は「帰りたい」と思う住民の気持ちを思うかのようなものに見せかけて、その実国や東電に町が屈服するものであり、楢葉町がひいては福島県全体が国や東電によって切り捨てられるものだと言えます。アリバイ的な「町政懇談会」で「住民の総意」を歪めて線量の高い町に帰そうとすることが本当に許されていいのでしょうか?
そして正式にその宣言が出されていないにもかかわらず、先回りして試運転を進めて「6月1日運転再開」を進めるJR東日本も弾劾しなければなりません。「行くぜ、東北。」と言いながら被災した岩泉線は廃止、気仙沼線はバスで済ませ、震災後ではありますが豪雨で寸断された只見線は未だ再開しない中での常磐線竜田再開とは矛盾だらけもいいところです。
今回の竜田再開には、動労水戸が水戸支社との団体交渉の中で得たに情報よると38億ものコストがかかっています。一方只見線も復旧に莫大な費用がかかるのですが、その見積額はすでに復旧した区間を含めて85億で竜田再開の倍以上かかってしまいます。とはいえ只見線は沿線自治体の募金活動もあり、竜田延伸よりも明らかな「需要」があるはずです。団交でなぜより周辺自治体の要望が強くて避難指示もない只見線を先にしないのかと組合員が問い詰めたところ、「それは仙台支社のやることだから」と取り合ってくれなかったとのことです。しかし、この矛盾に満ちた再開路線の選別には支社だけでなく、本社の意向が反映されていることことでしょう。
拙速な「帰町宣言」など絶対に許さず、国・東電そしてJRの結託体制を共に打破しましょう!
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