野宿労働者(ホームレス)については、最近嫌なニュースばかりでしたが、読売新聞にホッとするような記事が載っていましたので御紹介したいと思います。
大阪の「野宿者ネットワーク」の活動を紹介するコラム記事なのですが、この団体は95年に野宿者が若者によって襲撃されて殺された事件にショックを受けた大人たちによって立ち上げられた運動です。野宿者たちを見回って安否を確認するなどの夜回り活動の他に、地域の小中学校などに野宿者の人たちと一緒に出かけて、子どもらに出張授業をする活動をしておられます。
そこで野宿者たちが空き缶集めなどの仕事で生計をたてているような、普段の生活の様子をビデオで紹介したり、野宿者の方たち自身による自己紹介、生い立ちや、なぜホームレスになったのかなどのお話、そして子どもたちとの質疑応答や交流などをしておられます。これまで訪れた学校は60校、2000人の子どもたちに授業をされました。ホームレス襲撃事件を引き起こした淀川河川敷の地元中学からも要請があり、訪問されたそうです。
野宿者支援活動…襲撃根絶願い夜回り
大阪市西成区の福祉施設に週1度、約10人の仲間たちが集まります。医師、会社員、大学院生、ホームレス経験者……。大阪の市民グループ「野宿者ネットワーク」のメンバーです。
発足したのは1995年10月。野宿生活の男性が若者によってミナミの道頓堀川に投げ込まれ、水死した事件の直後でした。野宿者を守ろうと、支援者らが集まり、安否確認の夜回り活動を続けているのです。 …空き家の前に止めたリヤカーで、毛布にくるまって休んでいた三重県出身の男性(53)は「エアガンで撃たれたことがあるんや」と自分の額を指さし、「わしら無防備やから標的にされやすい。寄ってくれて心強いわ」と頼もしそうです。
自らも日雇い労働で暮らす生田さんは、大学生のころから、西成区のあいりん地区で労働者の支援活動にかかわってきました。このグループに入ったのは2000年8月。発足から5年近く後のことです。
やはり、野宿者の死がきっかけでした。その前月の7月、「狩り」と称して天王寺区で男性を殴り、死亡させた高校生らが、「役に立たない人間だから駆除した」と供述していることを知ったのです。
「背筋が凍った」と言います。何とかしたくて夜回りに加わりました。足を運ぶうち、「また来てくれたんか」とたばこを差し出す人がいます。「頭が痛いんや」と相談も受けました。翌01年7月、日本橋で野宿者を狙った放火事件が3件、連続発生しました。2人がやけどを負い、うち1人は一命をとりとめたものの、皮膚の移植手術が数度に及びました。目撃者の話では、若者が現場から走り去ったそうです。
「またか」。生田さんは暗い気分で、見舞いに通いました。犯人を捕まえようと、現場付近で張り込みも続けましたが、事件はまだ解決していません。
同様の襲撃は他県でも後を絶ちません。愛知県岡崎市で昨年11月、野宿の女性が少年グループに鉄パイプなどで殴られ、殺害された事件を、覚えておられる方も多いことでしょう。「問題は、ストレスのはけ口を弱者に向ける社会にある。長期的視野に立って教育現場で訴えないと、根絶できない」。生田さんらはいま、大阪市教委にかけ合い、中学などで「出張授業」を行っています。
🙂 読売新聞記事全文
日給1000円でアルミ缶を集める姿を追ったビデオを上映するほか、野宿生活を余儀なくされた実情などを示した冊子も使い、現場で聞いた「声」を子どもたちに伝えるのです。
これまでに出張した学校は約60校。2000人以上に講義しました。2月末から3月初めにかけて襲撃事件が相次いだ淀川河川敷の地元中学からも依頼があり、訪れたばかりです。
とてもいい取り組みだと思います。全国でこういうことができればいいのにと思います。
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