1972 戦争しか知らない子供たち/頭脳警察~今日も明日も闘い続けるのです

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1972年のアルバム『頭脳警察1』に収録

 頭脳警察の「戦争しか知らない子供たち」は、当時大ヒットした「戦争を知らない子供たち」へのアンサーソングである。というか、言ってしまえば他愛もない替え歌ではあるのだが、元歌のヒットと、それに対する様々な反応などの背景を知らなければ、今の人には意味がわからないと思う。

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「戦争しか知らない子供たち」の背景

 男性の長髪などのファッション、マンガや音楽など、今につながる若者文化の原型(ヒッピーカルチャー)を、短期間で急速に作り上げた団塊世代に対し、大人たちは「戦争も知らない軟弱者が」「最近の若いもんは」と言い続けた。新聞に「今の大学生はアニメを見て漫画を読んでいる」という記事が載って話題になり、大人たちは驚いたり嘆いたりした。

 元歌の「戦争を知らない子供たち」は、それに対する若者からの「平和の何が悪い」という強烈な自己肯定であり、まさに「自分たちのことを歌ってくれた」ものだった。この流れは時間とともにメジャーな商業文化に(むしろ自分から)吸収されて今にいたる。いわば「大人」との和解、あるいは自分たちが「大人」になったわけだ。

 これに対して(単純に左翼という意味ではなく)現状を否定してそれと闘うという志向の若者潮流があったということだ。彼らは平和な自己肯定では満足せず、自分を含めた世界のあり方を問い直す、自己否定の文化をつくりあげた。自己肯定派と自己否定派の文化は、それを先頭で体現するような人たちは別としても、一般の若者たちの中ではわりと混ざりあっていたと思う。

 音源を聴くと、パンタが「僕らの名前を聞かせてあげよう、戦争しか知らない子供達さ!」とシャウトぎみに歌い上げるところで会場は優しい元歌への反発を込めて「そうだそうだ」とばかりに拍手と歓声があがる。つまりこれもまた「自分たちのことを歌ってくれた」歌だったのだ。同時に北山修はこの替え歌の音源化と発売を認めた(うけて立った)のだろうから、本当にエネルギーがぶつかりあうすごい時代だったんだと憧憬をこめて思う。

 自己否定的な潮流は世界を変えることを志向するわけだが、彼らの文化は発売禁止放送禁止など、ありとあらゆる場所で徹底的にメジャーな「大人たち」から抹殺されていく。発売禁止されてしまえば売り上げ枚数の記録も残らず、どんなに当時は多くの人に歌い継がれていようと、現在のよくある「懐かしのベストフォーク選集」的な企画の中にも、この時代の歌はほとんど一つも入っていない。

1966 土地に柵する馬鹿がいる/吉田拓郎
吉田拓郎

 よく言われていることで今さらだけど、吉田拓郎は当初的にはその両方に足場があって、若者たちを自己否定から自己肯定へと橋渡しする役割を果たした。だからある人にとって拓郎は(自己肯定的な)不良と反抗の象徴だったけど、ある人にとっては商業主義と堕落の権化だった。

 そういえば拓郎は「コンサート会場が帰れコールにつつまれることがよくあった」と80年代に見たテレビのインタビューで語っていたのを覚えている。「チケット買ってまで『帰れ』と言いに来るんですから、当時はすごいエネルギーでしたよ」と少し懐かしそうに語っていた。

 「結婚しようよ」の超ヒットは、この若者文化の流れが決まった象徴だったかもしれない。拓郎はカリスマとなり、やがて安保闘争や全共闘運動の挫折と歩調をあわせるように、自己否定派の文化は衰退していく。いや、吸収合併されていったというほうが正確だろうか。その後は「かぐや姫」などの「四畳半ソング」と言われる流れが続く。

「戦争しか知らない子供たち」の歌詞

1.戦争の時代に僕らは生まれた
 第一羽田、第二羽田

 10.21三里塚
 そして今でも戦い続ける

 僕らの名前を聞かせてあげよう
 戦争しか知らない子供達さ

2.平和にあこがれ 僕等は育った
 ゲバ棒 竹やり ヘルメット

 パイプ爆弾 ダイナマイト
 今日も明日も 闘い続ける

 僕等の名前を 覚えてほしい
 戦争しか知らない子供達さ

   

戦争を知らない子供たち/ジローズ

【作詞】北山修、【作曲】杉田二郎、【歌】ジローズ
1971年第13回日本レコード大賞新人賞、作詞賞受賞

男性の長髪が Love & Peace な反抗の象徴としてもあったことなど、若い人は知らんのだろうなあ。今は長髪どころか男が化粧する時代だもんな(笑)。

戦争を知らない子供たち ’83/ 坂庭賢

【作詞】北山修、【作曲・歌】坂庭省吾

当事(今も)問題になっていた、文部省検定による教科書改竄問題を受けて、同じ北山修が「戦争を知らない子供たち」の続編という位置づけで作詞した。

戦争を知らない子供たち '83/ 坂庭賢
ジャケット画像「ディスクユニオン通信販売」より

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戦争を知らない子どもたち (’70&’83) /ザ・ナターシャ・セブン

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1件のコメント

カオス知らない子供たち 

カオスを知らずに 僕らは数えった
カオスがあるのに 僕らはコスモスした
   おとなになって カオスを知らされ
   かぞえうたを くちずさみながら
カオスのあるのを  思い起こしているよ
カオスを知らない 子供(カオス)たちさ 

カオスを知らないからと 許されないなら 
子供(カオス)だからと  許されないなら
    今の私に    残っているのは
    かぞえうたを  歌うことだけさ 
カオスのあるのを 思い起こしているよ
カオスを知らない 子供(カオス)たちさ 

コスモスが好きで  いち に さん が好きで
いつでもコスモスで  いち に さん の人なら
   誰でも 一緒に  いち に さん しようよ
   きまりあるコスモスの 自然な数の道を
カオスのあるのを 思い起こしているよ
カオスを知らない 子供(カオス)たちさ
カオスを知らない 子供(カオス)たちさ

数の言葉の自然数は、カオスを帯同しているのを謳った替え歌のようだ・・・
数の言葉の自然数は、絵本 [もろはのつるぎ」(有田川町ウエブライブラリー)・・・

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