2001 韓国語ラップ「お父さんとチョンテイル」(日本語字幕付)

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※日本語字幕を表示してご覧下さい

ラップグループ、Z.E.N

(出典:レイバーネット「ZEN」の解説より一部を引用)
 お父さんとチョンテイルの歌詞

ラップグループ、Z.E.N
Z.E.N

 韓国の若者の間で人気爆発の労働ラップグループ、Z.E.N。
 […]この歌は、静かなインターナショナルのメロディで始まり、 労働運動で頑張っているらしいお父さんと娘とのかけあいから 韓国の労働運動の英雄、チョンテイルのエピソードが入り、 「お父さん、誇らしいわ」「労働者よ戦争を宣布しろ」と続き、 「整理解雇反対」というデモのシュプレヒコール…という、 なかなか凝った構成の作品です。 以下、歌詞の訳文を置いておきます。訳文は若干怪しい部分がありますが…

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全泰壱(チョン・テイル)とは

チョンテイルさんの銅像除幕式での母親のイソソンさん

 ここで歌われている全泰壱(1948-70)とは韓国・大邱の貧しい家庭に生まれた実在の青年。17歳でソウル平和市場の縫製工場に就職したある日、劣悪な環境でこきつかわれた幼い女工が、そのあげくに肺炎を患ったことを理由に解雇されるのを目撃。彼女をかばうと彼までが解雇。正義感の強い彼はそのことから独学で労働法を勉強しはじめ、当事の軍事独裁政権下でたった一人の孤独な闘いを開始する。 

 長時間労働の傍らで、同僚と勉強会を開いたり、工場の労働実態について調査し、それに基づいて労働庁に陳情。雇用者とも協議を重ねるなど、悲惨な工場労働者の待遇改善のために献身的につくしたが、全く改善の兆しは見られない。そこでこの状況に抗議するための小さな集会を開こうとすると、今度は機動隊に強制解散させられそうになった。

 ついに万策尽き果てて意を決した泰壱は、その場で全身にガソリンをかぶって抗議自殺を図った。「僕たちは機械じゃない」「労働者だって人だ」「日曜くらい休ませろ」「僕の死を無駄にするな」と叫びながら火だるまで十数メートルを歩いた。1970年11月13日、彼はわずか22歳の若さで息を引き取った。

 この全泰壱の焼身決起は、朴政権下での悲惨な労働者の実態を明るみに出し、それまで「奇跡の経済成長」ばかりがもてはやされていた朴正熙独裁政権の暗部に、国内外の目を向けさせることになった。また、学生・知識人中心だった民主化運動に労働者との連帯を生み出し、民主化実現の原動力となった。これは「経済発展」を続ける今の中国を考える上でも示唆深いことだと思う。

 焼身自殺から35年目の2005年、平和市場を見下ろす橋に、彼の彫像が建設された。民主化が実現したソウルで、年老いた彼の母親らが見守る中、彫像の除幕式が行われた。彼の死を賭した思いは成就したのだと思う。

動画素材出典:
映画「美しい青年、全泰壱」(아름다운 청년 전태일
The Dynamic Development of Korean Democracy

   

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