by 味岡修
書店が閉店していく動きが毎日のように伝えられます。致し方のないことですが寂しいかぎりです。散歩でなじみの古本屋さんもいつの間に消えていっています。これは言葉に関わる(意識的に関わる)とする人にはとても切実なことです。
書店に行けば『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子)や『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)が店頭を飾っています。百万部をこえるベストセラーですが、これは良いことだろうと思います。どんな形にせよ、本が売れ本屋が潤うのであればいいとことに違いないのです。それにしても、本や雑誌は売れないのが現状です。
『流砂』はあまり売れることを想定した雑誌ではありませんが、60年世代(1960年世代)の遺言として栗本慎一郎氏によって提起されました。栗本氏は体調もあって、共同編集者の三上治が主に編集・発行を担当し現在に至っています。今は14号を発売中です。
この手の雑誌を出していくには編集者や書き手、それに読者の間に、共通の思想的な主題やテーマがあって、そこが雑誌の成立基盤だと考えられていました。しかし、この基盤は解体というか、変容しています。ここに雑誌を出すことの困難性があるのですが、それについてはあらためて申しません。
こうした時代の中で書くとは何か、僕らの言葉は状況(世界)とクロスすること(相渉ること)はできているかを自問し続けながらやって行こうと思います。
『流砂』14号 目次ーーー
・個人や自由てのが大事なのだ | 三上治
・戦後史の宿痾(5)-占領期安保交渉の政治過程 | 伊藤述史
・続・水飲み鳥は「国体」「勅語」の上空を飛ぶ | 橋本克彦
・ミッシェル・フーコーと吉本隆明の対話について
-全体の考察、つまり、世界認識の方法にかんする〈覚え書き〉 | 中村明徳
・日本国憲法の前近代と超近代 | 中村礼治
・吉本隆明についてのセミネール14 | 柴崎明
・相模原殺傷事件と戦争・再論 | 高岡健
・教育勅語のこと | 彌永健一
・沖縄で何が起きているか その2 | 古木杜恵
・神聖政治から国家へ | 宮内広利
・吉本隆明のまなざし 死生観(6) | 佐竹靖邦
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