ニュース: JR不採用問題 与党と公明が解決案 270億円支払い、230人雇用

国鉄闘争全国運動6.9全国集会
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投稿者: 司 宮二

●JR不採用:与党と公明が解決案 230人雇用要請へ
毎日 2010年2月24日)

 87年の国鉄分割・民営化に反対した国鉄労働組合(国労)の組合員ら1047人がJRに採用されず、3年後に旧国鉄(国鉄清算事業団、現在は独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)からも解雇された問題で、与党3党と公明党の各担当者は23日、会合を開き、政治解決に向けた素案をまとめた。戦後最大の労働問題とされる不採用問題を巡っては、組合員側が解雇撤回などを求める訴訟を争っているが、約23年ぶりに政治決着する方向で大きく動き出した。今後、政府の最終的な解決案が焦点となる。

 関係者によると、担当者が各党に持ち帰って検討し、3月上旬に国土交通省など政府に要請する。素案は「人道的観点から救済する」とした上で、同機構が▽解決金として1世帯当たり約1600万円▽解雇で消滅した期間の年金相当分として約1300万円--など計約270億円を組合員側に支払う。また、不採用者が設立した18の事業体に各1億円の支援金を提供することや、55歳以下の組合員約230人の雇用もJR各社に要請する。

 組合員側によると、救済の対象となるのは現在、約910世帯。4党案を基本的に受け入れ、訴訟を取り下げる構えという。

 これまで組合員側が旧国鉄を相手取った訴訟では、「所属組合による採用差別があった」と認め、賠償を命じる地・高裁判決が計3件ある一方、「時効(3年)が成立」として敗訴したケースもある。いずれも双方が控訴したり、最高裁に上告している。

 鳩山由紀夫首相は2月4日の参院決算委員会で、「人道的立場から解決を急がなければならない」と前向きな姿勢を示している。

【ことば】JR不採用問題

 国鉄分割・民営化では北海道、九州の国労組合員を中心に約7600人がJRに採用されなかった。中央労働委員会は最終的に国鉄清算事業団にも解雇された1047人の大半について選考見直しや採用を命じたが、JR側は行政訴訟を起こし、03年に最高裁で「JRに採用責任はない」とした判決が確定。現在は旧国鉄を相手取った6件の訴訟が係争中。

◇解決へ「ラストチャンス」

 JR不採用問題について、与党と公明党が政治解決に向けたたたき台をまとめた背景には、国鉄分割・民営化から23年が経過した今も放置され、問題が長期化していることがある。国鉄改革の国会審議で当時の中曽根康弘首相は「一人も路頭に迷わせない」と述べたが、果たされないままで、国際労働機関(ILO)も政治的、人道的見地からの解決を促してきた。

 解雇された1047人は政治、行政、司法のはざまで翻弄(ほんろう)されてきた。全国の地方労働委員会はJRの「不当労働行為(採用差別)」を認めたが、最高裁は03年、「差別があった場合の責任は旧国鉄」と、JRを免責した。また、00年に自民、公明、保守の与党3党と社民党が「JRに法的責任なし」と認めた上で、雇用や和解金を検討するとの「4党合意」を示したことがあるが、国労が内部をまとめられず頓挫した。

 現在、平均57歳と高齢化した組合員の多くは「今回がラストチャンス」と受け止める向きが大半だ。4党合意時と異なり、採用差別を認めた三つの司法判断があるという支えのほか、左派系労組への抵抗感が強かった自民党が下野した今しかないとの思いもある。

 これまで裁判所が認めた賠償額は最大で1人550万円で、解雇無効とした判断はないが、4党案は「路頭に迷わない内容」を求める組合員側に一定の配慮をみせた。だが、鳩山内閣がたたき台を大きく後退させるようであれば、組合員側が裁判闘争にUターンし、自民党時代の「負の遺産」をいたずらに延ばす可能性も残る。

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●JR不採用、和解案協議 与党・公明、政治解決へ
日経 2010年2月24日)

 公明党の山口那津男代表は24日の記者会見で、1987年の国鉄分割・民営化に伴う国鉄労働組合(国労)組合員のJR不採用問題について、与党3党と政治解決に向けた原案を協議していることを明らかにした。裁判中の原告への一定の解決金支払いや雇用確保などを柱とする案を検討している。

 23日に4党の担当者が協議した。山口氏は「政権にいたときから政治解決を提案してきた。今なお重要課題なので政権交代後も与党に働き掛けていた。政府として予算措置も含めて見通しが立てば望ましい」と期待を示した

●JR不採用に287億円の解決金 与党・公明が素案
朝日 2010年3月4日

 1987年の国鉄分割・民営化に反対した国鉄労働組合(国労)の組合員ら1047人がJRに採用されなかった問題をめぐり、与党3党と公明党の実務担当者が3日、政治決着に向けた素案をまとめた。4党担当者は4日、前原誠司国土交通相に素案を提出し、政府の最終解決案を月内にもまとめるよう求める。

 戦後最大の労働問題とされるJR不採用問題では、組合員側が解雇の無効などを求めて訴訟を続けている。4党案は弁護士を通じて組合員側にも示されている。政府の最終解決案が4党案に沿う内容ならば訴訟を取り下げる見通しで、24年目の政治決着となる可能性が出てきた。

 4党案によると、国鉄清算事業団による旧国鉄職員への年金支払い業務などを引き継いだ独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の特例業務勘定の剰余金を活用し、解決金として1人当たり平均1650万円、生活補償金として1人当たり平均1300万円など、総額287億円を支払う。

 また、雇用対策として政府がJR北海道やJR九州などに約200人の雇用を要請するほか、JR関連企業などにも雇用を求める。JR不採用者がこれまでに設立した18事業体に平均1億円の支援金を支払うことも盛り込んだ。

 政治解決にあたり、4党案は「JRは道義的、社会的責任を重く受け止める」と明記。また、「政治的合意に基づきすべての裁判は和解する」とも記して係争中の裁判和解を条件に挙げた。

 4党の実務担当者は昨年末から10回近くの会合を重ね、素案を取りまとめた。与党関係者によると、組合員側は「路頭に迷わない内容」として1人当たり平均3300万円を求めていたが、平均年齢が50代後半と高齢化し、政権交代を契機とした政治決着に歩み寄ってきたという。

 鳩山由紀夫首相は2月初旬の参院決算委員会で、この問題について「人道的立場から解決を急がねばならない」と答えている。

●JR不採用問題で和解案提出へ 与党3党と公明党
47news 2010/03/03)

 国鉄分割・民営化に伴う国労組合員ら1047人のJR不採用問題で、与党3党と公明党は3日、国鉄の債権、債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構による計約287億円の解決金などの支払いを柱とした和解案を、4日にも国土交通省に申し入れることを決めた。近く鳩山由紀夫首相あてに和解案を提出する方針。

 解決金の対象は係争中の原告約910人。関係者によると、政府は機構に生活補償費、解決金として約287億円を拠出。JR各社には不採用の「道義的、社会的責任を重く受け止める」ことを求め、約200人分の雇用確保を要請する。すべての訴訟を原告側が取り下げることが条件。

 ほかにJR北海道、JR四国、JR九州、JR貨物の4社が不採用者を採用した場合、人件費などとして3年間程度、雇用助成金を機構などが拠出する。

 和解案にはJRの職員募集や採用手続きを定めた国鉄改革法、当時の政府、行政の対応を批判する内容の文書を添付する予定だったが、反対する一部議員や国交省に配慮し、取りやめた。

●JR不採用救済に287億円…与党・公明案
読売 2010年3月4日)

 1987年の国鉄分割・民営化に反対した国鉄労働組合(国労)の組合員らがJRに採用されず、旧国鉄清算事業団からも解雇された問題で、与党3党と公明党がまとめた組合員の救済案が3日、明らかになった。

 解決金などとして1世帯当たり平均2950万円、総額約287億円を支払うとともに、JR側に約200人の雇用確保を要請する。4日に前原国土交通相に申し入れる予定で、政府は検討に着手する方針だ。

 救済案は〈1〉賃金や利息分、慰謝料など相当分を解決金として平均1650万円〈2〉解雇によって消滅した期間の年金受給相当分を生活補償金として平均1300万円――を支払う内容。財源は、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の特例勘定から充てる。対象は係争中の原告912世帯。

●前原国交相:4党案に修正必要の考え示す 国労不採用問題
毎日2010年3月9日)

 87年の国鉄分割・民営化に反対した国鉄労働組合(国労)の組合員ら1047人がJRに不採用となった問題で、与党3党と公明党が政治解決に向けてまとめた素案について、前原誠司・国土交通相は9日、閣議後の会見で「裁判所の和解案よりかなり金額的に上積みされている。あのまま持って来られても、はい、分かりましたと言える内容ではない」と述べた。(後略)

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