「小説三里塚」第九章 仄々(後編)
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第九章 仄々(ほのぼの)後編 第67話 豪邸の中で(1) 武治の長男・和年は中学を出ると間もなく、札幌のある商事会社に勤めに出た。その関係もあって、次男の直次...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第九章 仄々(ほのぼの)後編 第67話 豪邸の中で(1) 武治の長男・和年は中学を出ると間もなく、札幌のある商事会社に勤めに出た。その関係もあって、次男の直次...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第九章 仄々(ほのぼの)前編 第62話 延びる魔の手 天浪共同墓地は第一期工区内にあった。公団としてはどうしても収用しなければ、空港にならないほど思要なポイン...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第八章 地に落ちて 第57話 代執行に備える 一九六九年一〇月三日、空港公団は、敷地内の測量は終わったと発表した。その実、反対同盟の土地には一歩も踏み入ること...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第53話 静子(1) 六月のある日――武治の家の前の坂を下ってくる女性がいた。リュックを背負ったスラックスの軽装で――。彼女は誰の紹介もなく、ひょっこり武治の...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第七章 錯綜 第49話 黄金爆弾(1) バリケードの傍には一人の男が、両手に何かを持って立っていた。彼の被るヘルメットから雨合羽には、米兵の服装に見る見事な迷...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第六章 欺瞞(後編) 第45話 逮捕 一九六八年四月二二日の払暁だった。岩山部落はまだ朝霧の中に、眠っていた。麻生禎和の妻まつが床を抜け出して、ようやく朝餉の...
戸村一作:著『小説三里塚』 目次へもどる/この小説について 第五章 欺瞞(前編) 第40話 勝利は目前? 駒井野を追われた東藤は、平和塔をやっと桜台に移すことに決まった。桜台には三里塚カントリークラブというゴルフ場があ...
空港公団の動きにつれ、全学連の学生運動が目立って活発化した。どこからともなく単身、頭陀袋を肩に、団結小屋を訪れてくる男女学生も現われた。彼等は二日、三日と団結小屋に寝泊まりしては、慣れない手つきで農家の手伝いをした。あまり精を出し過き、翌日は腰も…
一九六七年九月一日だった。若い二人の青年が、戸田の家を訪れた。いわゆる三派系全学連の学生で、中核派の秋山勝行と青木忠と名乗った。彼等は砂川基地反対同盟の山岡静雄の紹介状を持ってきた。それ以前にも戸田は山岡から二度ほど、全学連の砂川闘争における…
空港は通り魔だった。すでに三里塚に過ぎ去ったそれは、富里農民にとっては、まさに台風一過ともいうべきである。その反面、三里塚の農民は、混乱と不安動揺の中に投げ出されて、右往左往した。野良仕事には手もつかなかった。七月のある日だった…
1966年6月22日の朝だった。風薫る初夏の朝風が麦畑を渡って、武治の部屋まで吹き込んできた。青く出揃った麦穂がそよ風になびいて、波打っていた。武治は朝の五時には、必ず眼を覚ました。風邪でもひかぬ限りは、床を蹴ってむっくり起…
GHQによる農地改革は1946年3月15日から、一次・二次と相次いで実施された。千葉県三里塚の下総御料牧場は、その一次で解放されたものである。だが武治ら組織するむしろ旗一揆は、それに先立って次から次へと御料地を実カで占拠していった…
1945年8月15日-ついに日本の敗戦の日が来た。木川武治の郷里は芝山町菱田の辺田(へた)部落だった。武治がそこに帰ってきたのは、その年の10月25日だった。10月といえば農村は農繁期のさなかで、猫の手も借りたいせわしさだった。農繁…
このサイトの読者の皆さんは御存知の方が多いと思いますが、故戸村一作反対同盟委員長が生前に書き残された「小説・三里塚」を掲載いたしました。 これは他ならぬ闘争の当事者が、農民目線からの三里塚(成田)闘争をありのままに描...
戦後最大の住民闘争、三里塚。実在の開拓 農家をモデルに、敗戦、開拓、闘争と、そ の波乱の道のりを感動で描く。 .