めちゃくちゃな市東さんの勾留再延長

不当逮捕される市東孝雄さん

 こちらのエントリで三里塚農民の市東さんの不当逮捕についてお知らせし、こちらのエントリでは10日の勾留延長がついたことを取り上げました。そしてこの28日、市東さんの勾留が、再度10日延長されました。

 逮捕の口実とされたのは、成田空港株式会社(NAA)が、市東さん自宅前の市道(団結街道)に、根拠なく無断で「通行禁止」という立て札を立てようとしたことに対して、市東さんが抗議したことです。しかしNAAにはそんな立て札を立てて市道を通行禁止にする権限などなく、農民の抗議行動とマスコミの取材に対し、あわてて「通行禁止通告」を事実上撤回するというドタバタぶりです。つまり逮捕してみたものの、実は市東さんの抗議はまったく正当であったことが判明しているのです。そのため、前回(20日)の勾留期限でも、そのまま延長されずに釈放される可能性が高いと思われていました。それがまさかの再延長です。まさに弾圧のための弾圧です。

 この逮捕については、NAAが権限もなく市道を封鎖しようとしているその看板を、市東さんが蹴ったというのがその「容疑」らしいのです。「市東さんの農地取り上げに反対する会」の方が厳重抗議にいった際、成田署の警備課長に対して、果たしてそんなことくらいで逮捕されるものなのか、よしんば百歩ゆずって立件する必要があったとしても、任意で事情聴取すれば済む程度のことではないのかと問いただしました。するとこの警備課長は何と言ったか、それはそうだと認めた上で、「周りに人がいて騒然とした雰囲気だから逮捕しました」と言ったそうです!

 もう「はい?!」っていうか、目が点になりますよね。いったい何を言っているのか意味がわかりません。そんなの市東さん本人の「容疑」とは何の関係もないわけで、そんなことが「逮捕理由」になりようもありません。なのに警察の幹部が堂々とこういう妄言を吐く。「反対する会」の方も、この発言にはものすごく憤慨しておられました。さらには「私はその場にいなかったので、くわしいことはわかりません」と苦しまぎれの言い訳をするものの、逮捕時の写真をみたらちゃんとそう言った本人が写っていて、大嘘こいていたことが判明するといったありさま。要するにしどろもどろで何も答えられないということだと思います。そんな程度の状態で、人一人を逮捕して長期間勾留するなんて重大なことをしていいんでしょうかね。

 再度の勾留延長が伝えられた28日、反対同盟農民の鈴木加代子さんのブログに、以下のようなコメント書きました。

—(コメント転載ここから)—————————–

私たちみんなに突きつけられた弾圧だと思います (草加耕助) 2010-05-28 16:06:12

 ちゃんとした事情を正確かつ公平にすべて知れば、100人のうち99人は逮捕そのものが不当であると感じるだろう酷い事例です。そもそも自宅前の公道に、どこぞの株式会社が独断で「通行禁止」などという虚偽の道路標識を立てようとしたのだから、なんでこれに抗議して逮捕されなくてはいけないのか。そんなの市東さんでなくても、どこのだれでも同じことをしたであろう当然のこと。この道路標識が虚偽であったことは、当のNAAや成田市も事実上認めているではないですか。

 警察はNAAのたてた虚偽の道路標識を、「証拠物件」と称してすべて持ち去りましたが、これはNAAに対する助け舟です。それが証拠にNAAは道路標識を立て直そうとはしていません。つまりNAAは自分で虚偽の道路標識を撤去するという、自己の不当性を満天下に示す行為をしなくてすんで胸をなでおろしている。「証拠物件」というなら、それはNAAの違法行為の証拠以外ではありえないでしょう。

 つまり市東さんの行為は「器物損壊」の構成要件を満たしていない。そんなものはただの口実で、まさに誰が逮捕されるかは警察とNAAのツーカーの関係によって決まっている。法律もくそもない。逮捕された本当の理由は、反対派の農民だから、お上に逆らう民衆の一人だから、それゆえに国家権力によって弾圧されたということ以外の理由はありません。反対にNAAの違法行為は野放しなのですから。

 たとえ逮捕されたとしても、「証拠隠滅」か「逃亡」のおそれがある時以外は勾留してはいけないことになっています。法律や憲法は為政者が民衆に対して自分の支配の正統性を主張するためになした約束なのだから、その約束は守られないといけません。ところが実際には法や憲法で保障された権利が守られるかどうかは、現実の力関係で決まってしまっている。もしこれからも今回のように、警察・NAA・裁判所などが、すべてグルになって権力に逆らうものには法律もクソもないのだという態度を貫くのであれば、民衆の正当な権利として認められている抵抗権を行使し、現実の力関係によって、権力者に人権を認めさせていく以外にはないと思います。

 不当な弾圧には「のしをつけて返す」闘いしか選択肢はありません。これは三里塚農民だけの問題ではなくて、日本に住む私たちみんなの態度が問われている問題だと思います。国家暴力団に泣き寝入りせずに声をあげている農民の皆さんに心からの敬意を表して連帯します

—(コメント転載ここまで)—————————–

 反対同盟のビラもこのエントリーの巻末に転載しておきますので、あわせてご覧ください。「転載・マスプリ大歓迎!どんどん広めて下さい」とのことなので、サイトをもっておられる方は写真なども含めて転載などお願いします(⇒PDF版はこちら)。

 さらに5月24日の第3誘導路公聴会粉砕闘争では、これまた反対同盟農民の萩原富夫さんが、ふいにデモ隊列からゴボウ抜きにされ、道路の反対側歩道まで取り囲まれて拉致され、袋叩きにされた上で逮捕連行されました。私は比較的そばにいましたが、萩原さんは逮捕されるようなことは何もしていないと断言します。強いて言うなら周りの人よりも声が大きくて元気に抗議していたので、それなりに目だっておられたかな。それで公安刑事に目をつけられたというか、いまいましく思われたのかもしれませんが、「成田の反対農民」だというだけの理由で、たったそんなことでいちいち恣意的に逮捕される世の中なんて、たまったものではありません。

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 24日の逮捕直後の様子は、動画で撮影して手元にあるんですが、最近の「過激派」の皆さんは、顔も隠さず堂々とデモしておられる方ばかりでして、動画のプライバシー処理が大変でまだアップできません。フリーソフトでモザイクかけると、ものすごく手間なんです。部分モザイク機能がある動画編集ソフトを買いたいのですが、1万7千円もするので手が出ません。誰かカンパしていただけませんでしょうか(笑)。

 過激派の皆さんも、もうちょっと昔みたいにマスクやサングラスとかで顔を隠していただくと、後からネットで公開する者としては助かります(笑)。いまどき典型的な「過激派スタイル」で顔を完全に隠しているのは、公安私服刑事のほうなんだよね。両者が並んで歩いていたら、絶対に目付きが悪いといか、独特の雰囲気の公安刑事のほうが「過激派」にしか見えませんよ。実際やってることは彼らのほうがむちゃくちゃというか本当に過激なわけなんですが。


資料】反対同盟の最新ビラ

許せぬ暴挙!営農破壊 市道閉鎖に抗議の農民を不当逮捕!
白いシャツに帽子をかぶっているのが市東孝雄さん(手前右から二人目)。千葉県警がパトカーに連れ込もうとするところを、体を張って阻止する反対同盟・萩原さん

NAAが突然カンバン「3日後通れぬ、迂回しろ」

 成田市民のみなさん、市役所職員のみなさん!
 17日午後4時30分、成田市天神峰で市道廃止に抗議する農民(市東孝雄さん)を不当に逮捕するというとんでもない暴挙が強行されました。

 この直前、成田空港会社は突如、3日後の20日から市道十余三・天神峰線の一部を閉鎖する旨のカンバンを立てました。これによって甚大な被害を被る市東さんが、かけつけた農家・支援者と共に猛然と抗議。すると機動隊数十人がよってたかって拘束し、支援者1名と一緒に不当逮捕したのです!なんという非道!権力犯罪!

【写真:白いシャツに帽子をかぶっているのが市東孝雄さん(手前右から二人目)。千葉県警がパトカーに連れ込もうとするところを、体を張って阻止する反対同盟・萩原さん】

「オレは本気だ!勝手は許さぬ」(市東孝雄さん) ただちに釈放しろ!

 「廃止する道の一部がすでに空港会社の所有だから、通行止めにしてかまわない」というのが空港会社の主張です。しかし一部の通行止めは、事実上の閉鎖そのもの。閉鎖される道の先には市東さんのもうひとつの畑があり、営農にたいへんな打撃を受けるのです。
 「閉鎖は5月20日の管理期間を過ぎて1~2ケ月後、空港会社に払い下げて後」と市当局は説明していましたが、まったくウソ。市東さんの怒りは正当、闘いは正義です。
   
 反対同盟は5 ・20緊急闘争で、道路の一部閉鎖を阻止しました。他方、千葉地裁は、市東さんの勾留を不当に決定勾留理由開示公判は25日です。5 ・25千葉地裁、傍聴闘争へ!

地図(航空写真)

※農家の作業揚から畑まで500メートルの直線道を廃止して、畑とは逆方向に1・8キロもトラクターを走らせる道を、空港会社と成田市は代替ルートに指定7した。交通量が多い道路をピンカーブさせ、危険な道をわざと走らせる。空港予定地で闘う農家への屈服移転の強要だ!

市道封鎖地点の地図

参考リンク

市東さんの勾留延長弾劾!(反対同盟ブログ)
市東さんへの新たな勾留延長の攻撃弾劾!(関実・三里塚)
緊急(農家だより)
どうして?市東さんの勾留が延長(市東さんの農地取り上げに反対する会)

6件のコメント

新たにたたかいを開始!街宣だ~

鳩山の裏切りに怒りをたぎらせ、沖縄の人たちは闘っている。
しかし、今後は政治家や官僚が沖縄や徳之島で「基地建設容認派」工作を押し進め、また地元住民の絆を破壊し、2重3重に苦しめていくだろう。

沖縄本島の面積は、日本の国土の0.6%しかないのに、米軍基地は75%もある。当然、基地に対する闘いもまた、沖縄の人たちのみに推しかかってくる…基地が沖縄に集中しているのは、「本土」に住む私たちが「抑止力は必要!」という虚構を信じて、沖縄の足を踏み続けてきたからだ。この期に及んで黙っているわけにはいかない…

ううっ辺野古の闘いを新たにはじめたのに(ささやかなもんですが)、三里塚情勢も緊迫している…というか、本当にむちゃくちゃですね。
ここ1週間ほど、街宣の準備(といっても、ホームセンター行って材料を買い、ボードを作るだけ)で、三里塚情勢もフォローできません。
人間の体は一つ、時間もみんな平等、そして農地も海も、命も一度失われたら、どんなにお金を使っても、どんな科学技術をつかっても、元に戻すことはできないのです。

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