不当逮捕への基本的対処
はじめに
本稿においては党の武装の強化の一環として、強まる破防法弾圧の下、不可避ともいえる不当逮捕に際し、これに屈せず、勝利していくための原則、実践的対処を意志統一していきたい。
たとえば八四年における七・五フレームアップ(でっちあげ冤罪)をもくろんだ埼大弾圧、芝山町議会闘争に対する事後弾圧、九月全斗煥来日阻止闘争における集会場入口での「公妨」による不当逮捕、そして九・二九成田用水粉砕実力決起に対する無差別大量逮捕といった事態をみれば明らかなように、党と人民の闘いの前進に対し敵の密集した反革命が形成され、兇暴な弾圧にうって出てくることは階級闘争の必然である。
三里塚二期決戦をはじめとした八五年階級闘争の大爆発を闘いとるにあたっては、敵権力の凶悪な暴力との肉弾をもっての対決、破防法弾圧との激烈な攻防は必至であり、その渦中における不当逮捕攻撃に屈せずに断固たる獄中闘争を貫徹していく決意をうち固めることが全ての同志に求められている。
このような現実を怜悧に見すえた上で、そうであったとしても逮捕も投獄も恐れぬ実力決起をつくり出していくこと、不当逮捕に対しては管制塔戦士をはじめ昨年の闘いにおいて全ての獄中同志達がかちとってきた完黙・非転向の闘いの内実を全党が共有することを通じて、われわれは勝利を積み重ねていくことができるのである。
全党の同志は本稿を闘いの武器へと転化し「たとえわが身は朽ち果てようと、人民の大義に生きん」とする武装せる蒼生=第三世界人民の革命的実存をわがものとすべく、敵権力に対する非妥協・不屈の闘いを貫く決意をうち固めよ。
不当逮捕との闘いとは何か
では完黙・非転向の闘いの内実とは何か。不当逮捕に対していかに闘い勝利していくのか。
不当逮捕とはまさに(1)日帝の侵略反革命政策と国内人民支配を許さず、これを実力をもって打ち破っていくわれわれの闘いの前進に対し、国家暴力の発動(警察・検察・裁判所・監獄等の司法官僚機構による刑事弾圧)をもっての対応しか残されていない権力支配の危機の表われとして、(2)なによりも革命党と闘う人民の存在そのものへの権力の恐怖の表現としてある。
このような不当逮捕の目的は、(ア)直接的には個々の闘争、戦闘の封殺として、(イ)本質的には闘争主体の権力への屈服・転向をひきだし、(ウ)革命党の闘い、組織、団結の破壊をもって、(エ)日本階級闘争を解体し、日本人民を侵略の尖兵へと組織していくものである。
このような敵権力による不当逮捕攻撃と闘い勝利していく獄中闘争の核心こそ、完黙・非転向の闘いであるわけだが、その内実につき観ていくならば、第一に完黙・非転向闘争は、権力に対し一ミリだに屈伏せずに、反帝反侵略・人民解放へ向け闘い抜かんとする己の思想性の獄中における体現そのものに他ならない。
不当逮捕との闘い=獄中闘争こそは、自らの闘いの不可欠の一環であり、現代において日帝のアジア再侵略と対決し抜かんとするものにとり避けては通れぬ闘いである。それは敵国家権力との最も凝縮した闘いが問われる階級闘争の最前線であり、いかなる口実・理由によるものであっても、逮捕されたその瞬間より、獄中闘争を己の唯一最大の任務としてすえきり、自己の闘いと思想性の一切をかけて闘いとっていかなければならないのである。
そこにあっては、組織と闘いの現場から切り離され、権力の日常的監視下におかれるという、現象的には圧倒的に優勢な敵の真只中においてかけられてくる転向強要に対し、まさに『不屈』におけるグエン・ドック・トアンの闘いに学び、権力への非妥協・不屈、第三世界人民連帯のわが思想性において敵を圧倒しきっていくことが問われるのである。一片の正義性もない権力に対し、この身は拘束されようとも、われわれの闘いの思想性と人民の大義には指一本ふれさせない完黙・非転向の闘いの貫徹こそは敵を震撼せしめるのである。
第二に完黙・非転向闘争は党と人民と己を守り、闘争の成果を守る獄中における最大の武器である。
不当逮捕を利用した権力による革命党破壊、闘争圧殺に抗し、文字通り敵に対する一切の幻想を捨て去り、何一つ与えない闘いが必要である。拷問・どう喝・甘言・泣き落し等あらゆる手段を用いて供述を引き出し、はては雑談の一言半句をとらえてデッチ上げ、闘争の成果の破壊・弾圧の拡大・革命党破壊を狙う権力に対する最大・唯一の武器は完全黙秘である。
獄中における取調べ官は弾圧を職業としている。まさに頭のてっぺんから足の爪先まで、帝国主義の手先としての権力機構そのものである。闘争の正当性の主張も弾圧の手がかりとしてしか考えることができない哀れな存在であると共に、ウソはもとより否認(それがまぎれもない事実であったとしても!)をもデッチあげに利用していく弾圧のプロである。われわれはこのような権力に対するこみあげる怒りを完黙の貫徹を通じて体現し、そのことをもって闘争の成果を防衛し、党を守り弾圧の拡大を粉砕していかなければならない。それが次の闘いの勝利を保障するのである。
かかる権力に対しては、まさに完黙・非転向の闘いこそ、獄中闘争における勝利の鍵である。それは獄中において帝国主義と対決し人民の解放に貢献していかんとする自己の思想性を生き抜き、敵権力に対して一歩も退かずにイストヘの飛躍を実現していく最高の闘争であるとともに、党と人民の闘いを防衛しきる唯一・最大の武器なのである。そこにおいて完黙とは何よりも自己との闘いなのであり、この試練にうちかち完黙・非転向の闘いを貫徹し、不当逮捕を粉砕していく決意を打ち固めなければならない。
次に完黙の留意点を確認していく。
(1)完黙とは弁護士に選任を要求する以外権力と一切口をきかないことである。事実に関してはちちろん住所・氏名もいわない。正当性も言わない。いいわけも否認もしない。ウソも言わない。雑談もしない。
(2)どのような事態になっても、たとえ全て権力にわかっていたとしても言わない。
(3)絶対に調書を作らせない。調書をデッチあげられても、署名・指印をしなければ粉砕できる。
(4)「差入れ簿」に受けとりの指印をする以外一切の署名・指印はしない。
(5)黙秘権は現行法においてさえも認められている人民の権利である。無制限に行使していこう。
以上をふまえた上で、われわれは不当逮捕後の経過をおさえ、獄中闘争の実際につきみていきたい。「敵を知り己を知れば。百戦危うからず」なのである。
獄中闘争の実際
(1)逮捕時の闘い
逮捕には現行犯逮捕・令状逮捕・緊急逮捕の3種類があるが、そのいずれであれ、またどのような口実・罪名によるものであっても、逮捕された瞬間より獄中闘争が自己の最大の任務であることを自覚し、最後まで闘い抜くことを決意しなければならない。獄外に残してきた諸問題につきあれこれ考えてみても何もはじまらないのであるから、それらは全て獄外の同志を信頼してまかせきり、獄中闘争に専念すべく決意することが重要だ。
※現行犯逮捕--用水決戦弾圧のような大衆的実力闘争や、ときには全斗煥弾圧のように通常の集会・デモに対してさえ「公務執行妨害」等をコジつけてなされることがあるので注意する。逮捕状はいらないことになっている。無関係な所持品まで全てを証拠と称して押収されることもある。
(2)警察署での闘い
いよいよ獄中闘争のはじまりだ。完黙・非転向の闘いをもって毅然として権力と対峙していこう。逮捕現場から警察署へ警察官により手錠をかけられ連行されてから、まず逮捕警官と並んで写真をとられる。その後、
1)犯罪事実の告知--いつ、どこで、どのような事実によりいかなる罪名にあたり逮捕したかを警察官が告げるので、少くとも罪名をしっかり覚え、のちの弁護士接見の際弁護士に伝える。これは敵の弾圧の性格をとらえ、有効な反撃をなしていくために重要である。
2)弁護士選任(弁選)--われわれは完黙を闘い抜いていく訳であるが、唯一の例外がある。それがこの弁選であり、獄中という密室を利用した権力の際限ない弾圧を許さず、また新たな弾圧の拡大を阻止するためにも、獄内外を結ぶ唯一の接点である弁護士接見を克ちとるためにぜひともなさねばならない。
警察官が「弁護士を選任できるがどうするか」と言ったら、断固として、「03-3591-1301(サアゴクイリイミオーイと憶える)救援連絡センターの指定する弁護士を選任する」とだけ言い、あとは一切完黙する。このとき、警察は弁護士選任に様々ないやがらせをしたり言ってくることがあるが一切対応しない。また妨害を許さないために、選任を告げた相手の警察官の氏名を次に述べる弁解録書を見て覚えておくこと。「弁護活動の妨害」は現行法においても重大な問題となるので、責任を追及できるようにしておくためである。
3)弁解録取書--以上のやりとりを警察官は弁解録取書という調書に書きこむので、事実が書かれているかを確認すると共に、末尾に記載されている相手の氏名をしっかり覚えこむ。この時氏名・住所等の人定事項や「弁解したいことはないか」等と聞いてくるが、これは取調べの一種であり完黙する。また弁解録取書を作成すると署名・指印を求めてくるが、後に述べる調書と同様断固拒否する。
4)指絞の採取・写真撮影・身体・所持品の検査--その後指絞採取・写真撮影をされたのち、身体・所持品の検査が行われ、留置場へ入れられる。女性の身体検査は医師または成年女子(婦警)の立合でなければできないことになっているが、男の警官が女性被疑者の身体検査をして問題になったことがある。その場合は「婦警を呼べ!」と大声で抗議する。房内には小型ハンカチ1枚・チリ紙若干の他は原則的にもちこめない。証拠品は押収、それ以外は領置となり釈放のときに返される。このときの手続きにおいても署名・指印は拒否する。
(3)身体拘束(勾留)期間
不当逮捕された場合、われわれは二十三日間の獄中闘争を決意する必要がある。警察・検察・裁判所一体となって口実をもうけて、現行法で認められている期限いっばいに勾留を延長することが通例だからである。
その内訳は四十八時間が警察の持ち時間で、この時間内に検察官送致(送検)をしなければ釈放となる。
検察官はニ十四時間以内に勾留請求するか釈放するかしなければならない。勾留請求がなされると警察・検察のいいなりの裁判所は機械的に勾留状を発し勾留請求の日を含め十日の勾留がつく。その後さらに十日間の勾留延長が適当な口実をもってつけられるのである。
われわれは日数の長短、警察・検察・裁判所の思惑に気をとられることなく二十三日間の完黙・非転向闘争を貫徹していくことが重要である。
ただし勾留請求時には若干の対応が必要なので、次にあげておく。
1)勾留質問(裁判所)--勾留請求が出されると裁判所に連れていかれ裁判官に被疑事実を告げられ氏名や事件について聞かれる。これを勾留質問という。裁判官はこの勾留質問と検察官の意見を検討して、勾留状を発するか釈放するかを決定する建前なのであるが、実際には機械的に勾留を認めており、裁判所に対する幻想は一切許されない。従って勾留質問に対するわれわれの対応は、弁護士の特別の指示がない限り完黙である。
2)弁護士接見--勾留質問の前に裁判所における弁護士接見を獄外弾対部は追求する。大量逮捕のときなど各自の接見時間はわずかなものとなるが、場合によっては勾留期間を通じて唯一の接見の機会となるかもしれないので、獄外の同志に伝えたい事をよく整理しておき、接見の入ったときにはそれを弁護士に適確に伝え、また弁護士の指示をしっかり聞く。
3)勾留の理由--法的には、A住所不定、B証拠いん滅、C逃亡の恐れの3つがあげられているが、実際にはほとんどでたらめな口実をもって勾留が決定されている。われわれはこれに対し、獄内外の交流を目的とした勾留理由開示裁判を勾留期間中に行うことがある。
4)接見禁止処分--弾圧の強化の中で勾留決定と同時に獄内外の分断をもくろむ接見禁止のつくことが恒常化している。接見禁止がつくと弁護士以外とは原則的に接見ができず、(ここでも権力は本人の動揺・屈服をひき出すために家族の接見は積極的に活用する)弁護士との接見も妨害が多く、書籍の差入れも不便を生じるが、だからこそわれわれは怒りもあらたに権力の如何なる攻撃にも屈しない決意を培っていかなければならない。
(4)取調べとの闘い
何度も確認してきたように、取調べに対する対応は唯一完黙である。完黙・非転向闘争の貫徹をもってあの手この手を使って口を割らせようとする取調べの名をかりた権力の転向強要を粉砕することができるのである。
参考までに権力の手口をみていこう。
1)最高裁判例を持ち出し「住所・氏名は黙秘権のうちに入らない」とか「名前がわからなければ差人れが入らない」とかのデマをとばす(実際にはウソである)。
2)「しゃべったら起訴しない」など、口からでまかせのウソによる甘言のたぐい。
3)大声でのどう喝や、耳元で暴言を吐きながら座っている椅子や机を蹴り飛ばすなどの脅迫、時には直接的な暴力もふるう。大阪の西成署では、被疑者を署内の柔道場で立てなくなるまで投げ飛ばしてから「自供」を強要した事例がある。
4)救援連絡センターの弁護士を解任させる攻撃。弁護士の接見が間に合わなかったり、自分たちが妨害しているのを利用して「お前は外部から見離されている」「呼び出すことはできるが弁護士はただではこないぞ、あとから莫大な金が請求されるぞ」と不信をあおり、センターの弁護士への誹謗中傷をくり返す。
5)「やっていないならしゃべれ」と言って完黙をくずそうとする手口。
6)「あいつがしゃべったからお前も言え」と人間不信をあおる。ニセの調書を偽造してつみあげる(公文書偽造)ことすらある。いくら指印が押してあっても信用してはならない。
7)「やったことなら男らしく話せ」「主義主張が正当だと思うなら堂々としやべれ」「オレは警察の中で社会変革をめざしている。今の警察のあり方に批判があれば言ってほしい」等の論争をふっかけて口を開かせようとする手口。
8)「わかっていることだから話してもいいじゃないか」と言った説得。では逆に「わかっていること」をなぜ話させようとするのか。完黙をつき崩すこと、本人の「自供調書」を狙っているだけのことである。
9)なにげなく世間話や郷里が同じとか同じ出身学校とかからはじめる誘導尋問や雑談でしゃべらせようとする手口。
10)自分で差人れを妨害しておいて「お前には差入れもこないじゃないか」といったいやがらせ。
11)家族の接見や家族の話を使っての調べ。無理やりに面会させられた場合は拒否すること。その場合の家族に対しては「獄中闘争が終ったら全て話すから、今は二度と会いにくるな」ときっぱりと言う必要がある。
12)「クビにしてやるぞ」「学校(大学)に知らせるぞ」等、職場・学園をダシにした脅迫。そもそも我々は職と生活をかけ決起したのだ。党と人民と共にある我々は、いまさら何を恐れることがあろうか。
13)組織・同志に対する誹謗・中傷。「おまえは組織に利用されているだけだ」「誰それはおまえの悪口を言っている」「おまえたちに闘わせて幹部は遊んでいる」といったかく乱戦術は、必ず出てくる権力の常套手段だ。自らのブルジョア的思考でしか人を理解することができない哀れな権力に、主体的決起を基底にすえたわれわれの組織的・同志的団結を破壊することなどできはしない。
以上をふまえた上で、なお時に気のゆるみや孤立感・弱気などから雑談に応じてしまったり、一部自供してしまったりすることも生じうる。その場合権力は、そのきっかけが何であれ次から次ヘとしゃべることを要求し、全面自供をめざしてくるわけであるが、そこでわれわれに問われることは何よりも闘いの原点にたちもどることである。そして自己の弱さを見すえきり、完黙をつらぬくことがその克服の第一歩であることを確信しなければならない。小さな敗北が大きな完敗の原因となるか、それとも勝利への飛躍台となるかは、いつにかかって主体の構えにある。この点をはっきり確認しておきたい。
(5)供述調書
取調べの最後に供述調書がつくられる。これは黙秘した場合にも「黙秘調書」がつくられる。不当起訴にもっていこうとする場合、これを証拠として弾圧の武器に使ってくる。大事なことは、どんな供述調書であっても本人の署名・指印がなけれは証拠として扱われないことである。
われわれは完黙を貫徹するのみならず、いかなる供述調書への署名・指印をも絶対に拒否していかなければならない。このことにより、ニセの供述調書によるデッチ上げをも粉砕することができる。
(6)接見・差入れ
獄中において獄外との唯一の接触の機会が接見であり、現実には弁護士接見のみが可能である。弁護士接見の時間は1回15分~20分に制限されることが多く、回数もよくて一週間に1度と考えておいた方がよい。したがってこの時間を最大限有効に使うように、獄外に伝えたいことを整理しておき、また弁護士の指示を注意して聞く。
差入れが入ると、看守が「差入簿」に指印を求めてくる。様々な事情から未知の人間の名前で差入れが入ることもあるが、不安にならないこと。また差入れ人との関係を聞かれても完黙で対応する。
われわれは獄中において一切の署名・指印を拒否するが唯一の例外がこの「差入簿」である。その場合、よく「差入簿」の内容を理解して、確認した上で指印に応じること。
(7)起訴攻撃との闘い
二十三日間の完黙・非転向の闘いを戦取することにより、われわれは権力の一切の反革命的目論みを粉砕し、獄中闘争に勝利する。検察官は最長でもこの二十三日間のうちに起訴または釈放をなさねばならない。
われわれを屈服させることができなかった敵権力は、何らの「自供」もないままに、不当逮捕を正当化しわれわれの獄中闘争の勝利に対する報復として理不尽な起訴攻撃をかけてくる場合がある。ここにおいてわれわれは自らの獄中闘争の勝利を確認し、迫いつめられた敵の姿を看破するなかで、長期勾留にも屈せずに闘い抜く新たな決意を打ち固めていかなければならない。そこにおける獄中闘争の位置と勝利の核心は今まで確認してきた通りである。
ただ起訴後は取調べを拒否することができ、身柄はまもなく拘置所に移監されることになるため、権力との緊張関係が切れることによる闘いの姿勢の後退といった陥穽(かんせい)が待ち受けている。われわれは獄中闘争の原点を常にとらえ返しつつ自らを律し、イストヘの飛躍をあくことなく追求する闘いを、獄内外を通底するものとして、貫徹していかなければならないのだ。
獄中の同志の闘いに応えんと断固たる政治組織戦を展開し、その下で高額保釈金攻撃を打ち破る保釈奪還闘争をかちとらんとする獄外同志に連帯し、一切の怯懦を捨て獄中闘争を担い抜く、そのような同志的団結をもって起訴攻撃を粉砕し抜いていくこと、公判の場をわれわれの宣伝・煽動・暴露の場として権力を逆に追いつめていくための戦場と化すための準備をなしていくこと、これを起訴攻撃に対する回答としなければならない。
未成年者の場合
未成年者の場合(未成年であることが判明した場合)は少年法の適用があるので一般の勾留とは取扱いが異なるが、不当逮捕に対する闘いとして、完黙・非転向を基調とする闘いの原則にとくに変わりはない。
むしろ権力は若き「未成年」たちが闘いに決起してくる姿には心底恐怖し、「非行」の名の下に必死になってこれを徹底的に侮辱し弾圧しようとしてくるものである。その所業に怒りをもって対決し抜き、若きボリシェヴィキとして自らを打ち鍛え、人民解放の戦士として闘い抜いていこうではないか。
ともあれ未成年者の場合、次のような点をふまえておかねばならない。
1)家裁送致--未成年者であることがわかった段階で家庭裁判所送致になるのが原則だが勾留満期になるまで家裁送致を遅らせるといった攻撃がなされることがある。
2)仮審判--家裁に送られると裁判官の面接がある。ここでも弁護士が特に指示しないかぎり完黙する。家裁では弁護士は「付添人」と呼ばれる。面接結果と検察官の意見を資料にして、送致をうけてから二十四時間以内に仮審判が行われる。仮審判の内容にはA少年鑑別所送致、B家裁調査官の観護に付する、C審判不開始の3つがある。BとCの場合身柄が釈放されるが、ただしBの場合はその後家裁調査官の調査のために呼出しを受け、さらに本審判を受けることになる。
3)鑑別所送致--仮審判でAの決定がなされたときは身柄は少年鑑別所に収容される。収容期間は2週間または4週間であり、その間に本審判がある。
4)本審判--本審判の内容としてはA検察官送致(これを「送致」という)、B保護処分(少年院送致、教護員または養護施設への送致、保護観察所の保護観察に付す、の3種類がある)C試験観察、D不処分、の四種類がある。
どのような処分が下されようと、自らの闘う思想性と人民の大義を守り抜き闘うならば、その過程において家族問題、友人関係の革命的止揚をかちとり、不当逮捕を粉砕して勝利をもぎとることができるのである。
不当逮捕に抗する組織的準備
最後に各地区において準備する不当逮捕への対策を確認しておきたい。
(1)弾対力-ドの作成
不当逮捕があった場合、これに対して迅速・適切な対処をなすために必要である。メンバー全員のものを必ず作成しておくと共に管理は最高度の秘匿性を要する。
その内容は、
(1)組織名・所属・本名・生年月日・性別
(2)住所・電話番号・自宅付近の地図
(3)職場(学校)その電話番、休暇のとり方、信頼できる職場(学校)の友人、その人とのコンタクトのとり方
(4)家族構成と氏名・住所・連絡先、職業・オルグの進展状況
(5)過去の逮捕歴、起訴歴、執行猶予の有無
(6)持病の有無、健康状態
(7)緊急に差人れの必要な物
(8)引き継ぎ事項(任務・オルグ対象者等)
(2)職場対策
官公労などでは逮捕即クビとはならず、判決などの処分が確定するまでとりあえず休職または休暇扱いとなるのが通例だが、民間においては権力と結託した上でクビにするところがほとんどではある。しかし逆に民間であるがゆえに全てを了解したうえで職場復帰をかちとれる例もある。
ともあれ就業規則・労働協約や職場関係、職場におけるオルグ状況等、各メンバーの職場対策を把握しておく。
(3)家族対策
各メンバーの家族関係、オルグ状況を把握する。
不当逮捕の際における差入れ、権力による家族切り崩しに対する反撃、保釈時における身柄引受等における判断の基礎となる。
※くわしくは『家族・職場への介入とその対策』を参照のこと
(4)闘争参加時の意志統一
1)個人的判断によらず決められたことを守り、組織として闘い組織として勝利する観点、個別の任務の他は部隊行動をとり、責任者の指示に従う意志統一をかちとる。そのことにより味方の力が優勢の場合は密集した組織戦により闘争現場において不当逮捕攻撃を粉砕することもできるのである。
2)闘争現場に必要のないものは一切もっていかない。やむを得ない場合でも敵に情報を与えないように処置しておく。A内部文書・手帳・日誌・アドレス帳など本人及び組織・闘争の内情がもれるもの、B定期券・身分証明書・運転免許証・名刺など身元が判明するもの、ネーム入り衣類・マッチ・レシートなども要注意である。
3)逆に身につけておく必要のあるものは、若干の現金・ハンカチ・チリ紙等である。不当逮捕後差入れが遅れても、しばらくは自前でやっていけるからである。
(5)獄中闘争の経験の蓄積と交流
1)獄中闘争の意志統一をふまえ、地区などで獄中体験者の経験を組織的に共有していくための交流。
2)獄中闘争の政治・組織・思想的討論の組織化。
3)参行文献
実践--『救援ノート』(救援連絡センター)、『反弾圧ノート』(労働者法律センター)
思想--『不屈』1~4(新日本出版社)、『愛と死の肖像』(青木文庫)、『あの人の生きたように』(新日本新書)、『希望の冬』(戦旗社)『試練としての苦行-武装せる蒼生』(戦旗社)
まとめ
われわれは本八五年日本階級闘争の激烈な攻防を三里塚二期決戦必勝、安保・日韓闘争の大爆発をもって全人民の最先頭で切り拓いていくにあたり、不可避ともいえる敵権力の破防法弾圧の激化、不当逮捕攻撃を身をもって打ち破る強固な意志統一を本稿を通じ打ち固めてきた。
ここにおいてつかみとった獄中闘争の勝利の核心を武器に、組織的・主体的準備をなしきり、いかなる弾圧にも屈しない戦旗・共産同の怒濤の進撃を開始していこうではないか。
獄中闘争は闘争の単なる事後処理でもなければ、知識の量によって勝利できるものでもない。まさにそれはわれわれの思想性を問う闘いであり、死を賭して闘う韓国学生、「革命か死か、われわれは勝利する」と澎湃(ほうはい)と決起する中南米人民と真に連帯しうる革命的実存を生きぬく闘いとして、完黙・非転向の実践的完遂をもって勝利しうるものなのだ。
今こそ、史上最強といわれた米帝軍隊を放逐したベトナム人民の闘いを想起せよ。「北で生まれて南で死ぬ」と決起する少年兵、「トラの檻」におけるグエン・ドック・トアンの闘いがさし示す人民必勝不敗・刻苦奮闘の思想性こそが人間の無限の可能性を切り拓き、勝利をたぐりよせるのである。
7年になんなんとする獄中闘争を党と人民の最先頭で生き闘う、わが管制塔戦士、水野・山下・佐藤同志に続こうではないか。
弾圧はわれわれを断じて屈伏させることはできず、逆にわれわれを打ち鍛える。
日帝との鉄火の攻防の只中に身を投じ、自らの革命的共産主義者への飛躍をなんとしてもかちとるべく奮闘せよ!もって日本革命を領導しうる戦旗・共産同のボリシェヴィキヘの飛躍を実現すべく自らを動員せよ! 中曽根ファシスト政権打倒!三里塚二期決戦必勝!チーム・スピリット85粉砕へ向け実力決起の戦列を整えよ!
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