○ 1985年の労働者派遣法制定等で始まった中曽根による「戦後政治の総決算」「戦後の 労働法制の全面的見直し」から30数年を経て、いま「日本型雇用システムの見直し」即ち新たな労働者支配システム構築策動が進み、私たちはいまや「労働法制はひとまずその使命を終えつつある」(神戸大教授大内伸哉)現実に直面しています。
○ 新たな労働者支配システム構築は、「生産性を最大限発揮できる働き方」「柔軟で多様 な働き方の拡大」として、労働者を不安定で様々な分断状況下におくことであり、それは「雇用によらない働き方」としての個人事業主、個人請負、フリーランスの拡大、副業・兼業の拡大等の政策です。しかしこのような働き方がいかに不安定であり、切り捨て可能な存在であることを今回のコロナが露呈させました。
○ 新たな労働者支配システム構築にとって重要な政策の中に位置づけられているのが以 下の二つです。私たちはこの二つの検討について厚労省前で「検討をやめろ」との声を月に1回ペースであげ続けています。コロナ禍以降は、解雇・雇い止めされている労働者への救済対策を講じろ、との声もあげてきました。
■ 解雇自由化ー解雇の金銭解決制度を阻止しよう!
○ この制度の狙いは解雇自由化、リストラ促進、労働者の解雇撤回闘争・集団的労使紛争未然防止・労働組合弱体化です。18年6月新設「解雇無効時の金銭救済制度に係わる法技術的論点に関する検討会(御用学者6名)」で検討が行われています。
○ この「検討会」第10回が11月16日に開催されました。昨年12/16第9回以来11ヶ月 ぶりです。議題は「議論の整理」で制度強化の論議になっています。第9回で示された制度の骨子は、対象は「全ての解雇・雇止め」、解雇無効=原職復帰を拒否、労働者の請求で「労働契約解消」=解雇、「解消の対価」としての「労働契約解消金」としています。このような制度を「金銭救済制度」と呼び金銭で労働者を「救済」してやる、などという使用者の労働者見下し姿勢を露骨にした案となっています。
○ 第10回では、「労働契約解消金」の算定方法について「上下限を設けることが適当」、 「考慮要素」として「勤続年数、給与額、企業規模、年齢」が挙げられ、使用者が望 む予測可能性へと踏み込んでいます。安倍政権時の7/17「成長戦略」ではこの制度 について「可能な限り速やかに・・・検討を行い・・・労政審の最終的な結論を得て所要の制度的措置を講ずる」としています。許すわけにはいきません。
■ 8時間労働制解体-裁量労働制対象拡大を阻止しよう!
○ 裁量労働制とは「実際の労働時間とは関係なく、労使で予め定めた時間働いたものとみなされる」長時間労働・ただ働き・過労死促進の制度です。
○ 政権は18年「働き方改革関連法案」から「不適切」データ発覚で対象拡大法案を下ろし、新設「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を経て再度の法案提出を狙っています。いま4/6第6回で提案された二次分析が行われているようです。
○ 7/17「成長戦略」では裁量労働制について「労働者が職務の範囲内で裁量的・自 立的に業務を遂行でき、企業側においても・・・成果型の弾力的な労働時間管理や処遇ができるよう・・・制度の在り方について検討を行う」としています。使用者責任の放棄、労働者への責任転嫁、労働の更なる自己責任化です。許すな!
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12・16厚労省前昼情宣
■ 日時:2020年12月16日(水)12:00~13:00
■ 場所:厚生労働省前
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1丁目2−2
■ 主催:労働法制改悪阻止・職場闘争勝利!労働者連絡会
東京都板橋区板橋2-44-10-203 北部労法センター気付
TEL/FAX03-3961-0212
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