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八三年春夏大攻勢の勝利の地平を以上述べてきたわけであるが、秋期総反撃の勝利のために獲得すべき春夏で残された課題をつぎに確認しておきたい。
その第一は中核派に対してではなく、熱田一氏を代表とする三里塚反対同盟に対し「三・一八」後のわれわれの不対応性、つまり三里塚闘争へのかかわりにおける三大方針の貫徹に関する不作法とでもいうべきものを今後克服していかねばならないという問題である。
三里塚反対同盟に結集する農民達は、たしかに度量ある人々であった。われわれが反対同盟にとっては全くの自分勝手な都合から一坪共有化運動から遠ざかる姿勢を見せ、中核派との党派闘争を回避せんとこの三~五月において対応したことに対し、それを寛容し、包摂しようとして対処しているのであるから。
われわれには自分達の陣容を作りかえるための時間が必要であり、後退は必然でもあったのであるが、しかしここで示された反対同盟の政治性、包摂力は学ぶべき規範であり、ここでの借りはいつか必ず償還しなければならないものである。闘う人民の信義に応えざることなくして革命の未来などない。
八・七パイプライン供用開始阻止闘争への全力をもっての取組みは、その償還の第一弾にすぎず、この秋の闘争過程にあっては、自分達の力量に見合った形においてではあるが、われわれは責任党派としての責務を果たすことを心がけなくてはならない。それは三里塚闘争と反対同盟の防衛をなしきるということであり、未だ克服しきれていない「三・一八」をめぐっての反対同盟との齟齬を解消すること、それをまずもって実践にうつさなくてはならない。
今や中核派と反対同盟との対立は、一坪をめぐる対応の枠をこえており、「脱落派」ときめつけてかかる中核派系列のなしていることは、そこに結集する農民、支援勢力の存在そのものさえ許さないというものに極限化されようとしている。そこにおいてなお、われわれが例えば九・一五横堀集会の防衛さえおなざりにする対処をなすのであれば、もはやわれわれは政治をうんぬんする以前に「卑屈」な存在に成り下ってしまうのであり、如何なる困難をものりこえて闘争の防衛をなすこと、これは絶対に必要なことである。
ゆえに帝国主義の戦争策動に抗する八三年秋期総反撃においては、われわれが三里塚農民に対し信義に応える闘いを実践し、中核派系列との党派関係においても節目をつける闘いが内包されるべきことを確認しなければならない。
八・八パイプライン供用開始により、ジェット燃料輸送路を確保した敵政府・公団は、六月参院選遊説中の中曽根の二期発言(=六月二十一日、千葉市にて「空港二期工事は地元の皆さんの協力を得て是非促進していく」「わたしも過去に運輸大臣をやり空港問題に取組んできたが、外国からの要望も強いので用地買収など円満にすすめながら、積極的にやっていく」など)をうけ、運輸省が七月二十九日「早急に地元との交渉に入りたい」なるコールサインを出して、八九年完成(B滑走路三五〇〇メートルとC滑走路三二〇〇メートルの建設、および第二旅客ターミナルの建設)にむけての、対話・切り崩し攻撃に一挙的に出る態勢の下に現在ある。
八月十二日には成田市長・長谷川縁太郎が故小川明治氏の盆供養にかこつけて、木の根部落の小川源・小川直克両家を訪問するなど対話攻勢は激化しているし、成田用水事業についても七~八月の外郭測量をひきつぎ、九月本格測量、十一月本工事着工が宣言されているのである。事態は今や早急に二期決戦必勝の戦闘体制をつくりあげねばならない情況下にあり、そうした情況下においてなお中核派系列が「脱落派」「二期攻撃の尖兵」などときめつけて反対同盟への批判を集中し、日帝権力との闘いに勝利すること以前に、熱田派反対同盟の解体が三里塚闘争の第一義的闘争課題であるかのような対処をとりつづけることは、敵を見誤った許しがたいスターリン主義的背信行為であるといわねばならない。
インター、プ口青が尻押しした形での青行隊のエコロジー的変質、ひいては三里塚闘争そのものの「空港との共存運動」への変質の危険に対して、八・七パイプライン供用開始阻止闘争への取組みの準備などにおいて説得とオルグを続けてきたわれわれであるが、秋期総反撃の過程にあってはそうした右傾化、脱闘争化を阻止し、「空港廃港・農地死守」の闘争的原点を守り抜くためにも、中核派系列の理不尽な攻撃に対し、責任党派として反対同盟を防衛する責務を担うこと、もって三~五月過程で反対同盟との間に生じた齟齬を解消し、信義を再構築すること、これを厳密な計画性のもと実践しぬかなければならない。
春夏大攻勢の勝利は党の陣容を作りかえ、武装を促進し、動員を拡大した点に主要な内実かあり、統一戦線や共闘関係での交流においての陣容の作りかえ、「三・一八」で生み出した不満の解消にまでは未だ至っていないのである。その場合の第一義的課題としてあることが反対同盟との信義の完全回復であり、それはわれわれが再度「一坪共有運動の尖兵」になるといった無理な対処をとらなくとも充分に可能なことである。
問題の核心は中核派系列の横暴に対し曖昧な態度をとりつづけないという点にあり、アダチ・グループなどが中核派の尻馬にのって大学拠点を襲撃してきたり、街頭情宜の暴力的邪魔にくるといったことに対してまで、いつまでも回避の対応を取りつづける必要はない。われわれは反撃の権利を留保しつづけているのであるから、この秋期総反撃の過程での「攻撃」に対してはしかるべく対処しなければならない。
もちろんわれわれは「人民内部の矛盾の処理」を原則的観点とし、「反対同盟の再統合」をかかげつづける。又「権力を前にしての内ゲバ事態の生起」といったことも極力避ける立場をとりつづけねばならない。問題は防衛、自衛権の行使を原則的になす必然性であり、われわれがその責任を回避しつづけることは八・七闘争の現実を例証するまでもなく、反対同盟および三里塚闘争そのものが死滅してしまう危険性を内包しているのである。これを春夏大攻勢で残された課題、秋期総反撃で実践すべき懸案としておさえておきたい。
第二には七・五ゲリラ・パルチザン戦闘に対するヨコスカ市民グループの反発、あるいは青労実への参加形態をめぐる「労働情報」派遣の第四インターHの反対策動などのさい問題となったことであるが、われわれがヨコスカ現地において何らかの内在的な運動的関わりを持ち、又職場拠点の参加をもって青労実に加わっていたならば、第四インターがなした矮小な市民運動家、組合活動家づらした敵対はことごとく事前に粉砕しえたはずであることへの実践的回答をつくりあげることである。
これは七・三一政治集会への「労働情報」H氏の不参加、或いは全港湾K氏の不参加問題にさいしても言えることであるが、「労働情報」、青労実、ヨコスカ市民グルーブなどに内在的にかかわれる運動形態をわれわれが創出していないことが、こうした事態を生起せしめている根拠である。
すべてを一気に実践化することはできないわけであるが、少くとも秋期総反撃の過程において青労実運動などに内在的にかかわるような職場拠点(=職場労研、職場労共闘)の建設にメドをつけること、それを当該地区において実現することが必要なのだ。それは地区労共闘運動とは相対的別個の運動体を、阻止連にひきつぎ、将来の労組連をめざすものとして形成していくということであり、戦旗派組織建設の第二段階への突入として意志統一されねばならない。
職場拠点はとりあえずは地区党系列下に作りあげていかざるをえないわけであるが、将来的には産別委員会に発展していくものとして、総評労働運動の右傾化、産報化に抗する闘う労働運動の構築拠点をつくりあげていくものとして取組みたい。長期の展望にたつ組織建設への着手であるが、革命党としての計画性においてこれを是非ともやりとげていこうではないか。
もっとも職場拠点建設については春夏大攻勢以前からの懸案であり、八二年夏期より取組んでいることも忘れてはならない。にもかかわらず地区労共闘運動を中軸とし、政治闘争への戦略的決起を基本とするわれわれの闘い方にあっては実体的な運動構造を創造しきれない問題をかかえており、バリエーションとしての運動形態の確立がいそがれているのである。
具体的には所属労組青年部運動へのかかわりの問題、執行部への選挙運動、組合活動そのものの保障など多々あるわけであるが、それへの実践的解決形態を見出すことを秋期総反撃の過程において実現する課題として設定しようではないか。
他方のヨコスカ市民グループにおけるインターの七・五反発を解消するための闘いについては、地区労共闘として地区闘争への取り組みをなしていき、実践的に県レベルにおける共闘関係に加わっていくならば実現できることであり、各地区労共闘がまずもって共闘関係担当者を選出し、一定恒常的な関与の構造をつくりあげていくよう奮闘しなければならない。各地区党において、必要とあれば常任活動家をふやすことによってそれは保障できることであり、既にわれわれの闘いの広がりはそこまできているのである。中央機関のみならず各地区党レベルにおいてまでアマチュアリズムを排した専門家、プロ意識をもった専従活動家が創出される必然の下にあるということなのだ。これらの課題の実現は革命党を創造していく現実的な闘いであり、「党のための闘い」として組織戦術的に実現されていくべき事柄である。
中央の提起する政治方針への大衆動員、結集という大衆運動上の課題の遂行のためにだけ各地区党、戦線が機能するのではなく、革命党の有機的な一翼を実体的に創造していくという意識性、目的意識的な対象化か組織戦術的に追求されていくこと、それが最早必要である。
主体形成とか自己変革というのはただのお題目化されたスローガンであってはならず、経験の蓄積をつうじ、闘争主体における実体的な能力、政治的観点が高めあげられ、それまでとは別個の対象との関係性、位相の下に各主体が入り込んでいくということでなければならない。対象を変革しうる自己の創造は、党を有機的に構成する各主体、各組織、機関においてつらぬかれるべきことであり、地区党構造に書記局機能が内包されるべき発展段階に、もはやわれわれは達しているのだという認識にたって、困難ではあっても当該地区にあっては職場労共闘、および闘争展開の保障のために必要な地域住民闘争へのかかわりを、深めていこうではないか。
ボリシエヴィキ党の創成の道は険しいが、やりがいのある全力をつくすに足る偉大な事業である。
春夏大攻勢からひきついでいく課題として最低限以上二つを確認し、秋期総反撃の大勝利を実現していこう。