パトロール活動について

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はじめに

83年レーガン来日阻止闘争 いうまでもなく、日本革命の推進のうえで革命党と人民にとり自らの武装は必須の課題であり、それを避けたところにはプロレタリア革命の展望は切りひらけない。革命党、労働者人民の武装こそ、われわれの追求すべき方向であり、その物質化によりはじめてわれわれは革命的な主動性・能動性を手にし、政治展開の可能性をおし広げることができることを確認しなければならない。

 その意味で、C(注:中核派)のテロに対し、動揺し混乱を深め、「やられるのを座して待つだけだ」といった対処しかできなかったI(注:第四インター派)の組織的弱さを反面教師としつつ、われわれ独自の戦争の論理にもとづく党の武装を今後とも一層強固なものとすべく闘いぬいていくことが必要なのである。

 その一助として、ここでは昨年(83年)三月以降、全党的に遂行されているパトロール体制について整理し、内容の共有化をはかっていきたい。

政治的意義をきちんと意志統一する。

 パトロールに際してはまず第一に、パトロールに出る前に権力―警察や対立党派から組織メンバーとアジトを防衛し、政治的な牽制を行うという意義を意志統一することが重要である。そのことにより政治目的が明らかとなり、同志達の意識が不断に喚起されることになるのである。

 意志統一において注意しなければならないのは、現実の階級情勢に応じたヴィヴィッドな意志統一をめざし、毎日行うことから生ずる危険のあるマンネリ化、内容の空洞化を克服していくことである。具体的な例をあげると、一・九のCのIへのテロ後においてはCの襲撃から組織を防衡することを第一義的な課題とし、二・二二GP戦闘後には、権力の直接的ガサ入れ、張り込みが予測されることから対権力ということを主目的としてパトロールを行うことを意志統一していくといった具合である。

 そして、パトロールの目的に応じ、何を主要に注意しながら行うのかをはっきりさせることである。権力のガサ入れへの警戒の場合には、アジト周辺に警察関係のパトカーや公安の車が駐車していないか、私服の張り込みはどうかということに注意しながらパトロールを行わなければならない。また権力―警察のアジトを摘発する場合には、周辺の家、ビル、アパートの出入り、動静をかなり長期にわたってチェックしていくことが必要となる。

 パトロールの意志統一においては、以上のような政治的意義と具体的目標を明確にさせることに留意し、組織メンバーの意識性を高めあげるべく努力しなければならない。

パトロールは複数の人員で行なう。

 第二に、パトロール隊は事務所・アジト等から出て行動するため種々の危険にさらされることが多いので、必ず二人以上で行動するよう心がけることが重要である。

 夜のパトロール時に権力と遭遇し、職務質問をされることはしばしば起こることである。その場合権力は二人以上で行動しているため、バトロール隊が一人のときには強制的に交番や警察署に連行されることも充分あり得る事態なのである。

 全党的にパトロールを開始した当初、ある事務所から一人で夜のパトロールに出たメンバーが、いつまでたっても戻ってこないということがあった。残ったメンバーが不審に思い調査した結果、朝になって××警察署に連行されていることが判明したのである。われわれはすぐに厳重に抗議して釈放させたのだが、このパトロール員は途中で二名の警官から職質されそのまま警察署につれて行かれたのである。
 このような場合、パトロール隊が二人以上いれば警官と論争し、強制的連行を実力で打ち破ることも可能であり、またたとえ連行されそうになったとしても、そのうちの一人が事務所やアジトヘの連絡に走り応援を求めることもできるのである。そして生起した事態にたいし、ただちに組織的に対処することが可能となるのである。

 またCなどの対立党派の襲撃に対しても、パトロール隊の人数が多ければ多い程、反撃が容易であり、逆に軍事的な牽制ともなることを見ておかなければならない。
 軍事論的に見て、「兵力三倍の法則」というのがあるが、一人を襲撃する場合には、三人以上、二人のときには六人以上の人員が必要とされている。レポ・兵たん・輸送などを含めるとこれを数倍する人数を動員しないと、襲撃が困難な訳である。これはあくまでも一般則であるが、攻撃の一つの目安と考えられるものである。
 それゆえ、襲う側からすれば、相手が一人の場合には十名程度の部隊の動員ですむが、二人、三人になれば二十人、三十人の部隊を動かすことになり、パトロール員が一人の場合に比較して非常な困難を強いられることになるのである。襲撃の現実性が高い場合に、パトロールの人員を増やすことは、それゆえ襲撃を回避し、反撃を組織していくうえできわめて有効な方策である。

現実の情勢に合った武装を追求する。

 第三に、パトロールに出発するときは何らかの武装をしていくことが必要なのであるが、しかしながらその武装も常に同一ということでなく、状況に応じ柔軟に変化させていかなければならない。

 Cなど対立党派の襲撃が予測されるときには、工具類を準備し携帯しなければならず、必要ならばそれらを使用する体制をとってパトロールを行なわなければならない。
 一方、二・二二戦闘の後のように、われわれの闘いによりCが内ゲバを仕かけてくることがより困難となり、他方で権力のガサ入れ・弾圧がすでに予測される状況においては、職質等を警戒し、軽犯罪法違反での逮捕を避けるためにも防犯ブザー、エアーサロンパス等のみを持ってパトロールを行う方が良いのである。

 ここで注意しなければならないのは、パトロールで携帯する工具等については、形式的に持っているというのではなく、常に使用することを前提として準備をしなければならないということである。例えば、素手で持つと実戦ではすべって使いにくい場合、ゴム付軍手をはめるとか、布テープをまくとかして現実に使用可能な状態にしておくことが必要である。こういう準備をすることにより、同時にパトロールのメンバーの心構えが形成されることにつながるのである。

パトロール中は責任者の指揮にしたがう

 第四に、パトロールの遂行にあたっては、軍事的規律をもった組織的行動をとらなければならない。

 パトロール隊は責任者のもとに組織され、隊員はその指揮に従うことを規律として形成していくことが必要である。なぜならば、パトロール中に生起した事態に対しては、パトロール隊は直ちに対処しなければならず、その場合全員で相談して決めるというようにはならない場合の方が多いからである。その場合には責任者の判断と指示に従って組織的行動をとる以外ないのである、
 われわれはパトロール活動を通じ、党の武装の一環をなすものとして軍事的規律を意識的に確立していくことを追求していかなけれぱならないのである。

コースは法則化させない。

 パトロールの目的は権力や対立党派の動向の把握であり、牽制である。従って第五に、われわれのパトロールを構造的につかまれることは厳として避けなければならない。パトロールが同じ時間、同じ場所を通るとするならば、権力や他党派はそのパトロールを容易に避け、あるいは待ち伏せすることが可能となるのである。

 それゆえパトロールのコース、時間はできるだけアプリオリなものとしなければならない。例えばコースについてはA・B・Cの三コースを設定し、適時選択するとか、時間もPM十一時に固定するというのでなく日によって十時に行ったり、十二時に行ったりして権力や他党派が予測できないようにするのである。

職質にあったときの対処を確認しておく

 第六に、パトロール中の権力の職質に対しては、基本的には責任者が対応しなければならないが、他のメンバーにも事前に意志統一しておくと全体での対処がスムーズにいく。

 たとえば、対Cとの関係で工具などを所持しているときに、「職質にあった場合は車が故障したので見に行くと言う」などと全員に意志統一しておくというのがその例である。
 また万一、権力に逮捕された場合の対処も確認しておく方が良い。

パトロールの結果について集約・分析して整理しておく

 第七に、パトロールが終了した後には、その結果について記帳するなどし、それへの対応を全体で確認しておくことが大切である。

 パトロールで権力の張り込みが発見された場合、次の日にガサが入るであろうことが予測されるので、その対処をきちんとやり切っておくとか、権力のアジトの摘発の場合には不審者の出入り場所を報告してチェックするなどである。また権力の張り込みをチェックし、車のナンバーをひかえ、一覧表を作成して警戒を強めることも有効である。

 さらにパトロールの結果をその日だけで確認して終わらせるのではなく、永続的に集計し、分析して、権力や他党派の動静の把握に努めることも重要である。そしてパトロールの継続により権力のアジトが発見された場合には、その摘発なども考慮していくよう努めなくてはならない。

おわりに

 以上述べてきたことは、昨年三月以降中央機関、地区で行ってきたパトロール活動をまとめたものであり、その内容については今後の階級情勢の推移とともに更に豊富化されるべきものに他ならない。

 パトロールを日常活動にくみこみ、実践的に担い切ることにより、われわれは武装に対する構えを実体的に形成し、意識性を高めあげることに勝利しつつある。この地平をひきつぎわれわれは今後ともパトロール活動の徹底化を追求し、武装し闘う革命党としての確立を全力を傾注して闘いとっていこうではないか。

(一九八四年三月)

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